ブログネタ:部活入ってた?
参加中私は入ってた 派!
あの頃の僕は、バレーボール部にいた。夏休みは練習に明け暮れるつもりでいた。ただ、ちょっとだけ気持ちの上で腐っていた。
夏の大会で、試合中に怪我をしてレギュラーを外されてしまった。控えに回るようになって、あんなに夢中になっていたものが、どうでもよくなってしまった。
高校で一番仲が良かったT君がいた。T君の家は、高校に向かう途中にあった。よく部活の帰りに遊びに行っていた。
この日は部活だったが行く事をやめてT君の家に向かった。
「今日は練習早く終わったの」とT君は聞いた。
「いや、今日はサボり。」と答えた。
「そういう事もあるよね。青春だ。」と言った。この「青春だよね」がT君の口癖でもあった。
その時、横から「こんにちは」と声がした。僕は声の方を振り向いた。
女の子が立っていた。目の大きい白い肌の子だった。T君は今、一つ上のミクという名のイトコだと紹介した。そして、僕の事を手短に同級生で仲良しの少年Aと手短にミクに説明した。
T君は、ちょうど映画の券が2枚手に入ったから観に行く所だと言った。手に入ったんではなく、自ら購入した事を僕は気付いた。
僕はなんとなく邪魔したら悪いと思い、ここで帰ろうとした。すると、ミクは
「少年Aも暇なら、観に行かない。Tちゃん、連れて行って上げても良いよね。」とTに聞いた。Tは邪魔だなーというオーラを出しながらも、しぶしぶ頷いた。
「でも、お前は実費だぞー。」と言った。
「いきなりの出費は仕方ないか。これも青春だものね」と僕がそう言うとミクは笑った。
僕らが見た映画は「南極物語」というタロー・ジローという南極犬の映画だった。田舎の映画館なので、話題の映画が数ヶ月遅れて上映されたり、昔の作品が気まぐれ的に再上映されたりしていた。
映画の内容はほとんど覚えていなかった。ぼーとしながら、これから部活をどうするか考えていた。犬の仲間たちと白熊との格闘シーンの時、
ミクは僕の手の甲に自分の手を置いた。僕はハッとして横を向くとミクは反対の手の人差指を口にあてて、静かにと合図をした。
僕は手の甲を返して、ミクの手を握った。僕は何も考えられなくなった。時間だけが止まってしまい、ミクの手の温かさだけを感じていた。
この日は、映画館の通りはお祭りで、通りには屋台や露店が立ち並んでいた。お神輿が通りを行ったり来たりしていた。そのお神輿を追うように人の流れも行ったり来たりしていた。
ミクを真中に僕とT君ははぐれない様に手を繋ぎながら歩いた。途中、T君が水風船を買い、ミクに渡した。僕はその間にべっ甲飴を買った。
僕が握るはずである手に水風船を持たす。僕はT君やるなーと思った。2人が手を繋ぎ、その後ろに僕が付いた。
僕らが進む方向とは逆に人の流れがこっちに向かってきた。その時、ミクはT君の手を離した。僕の腕を掴み掛け出した。
「Tを置いてちゃうの」と言うと、
「Tちゃんとは、この後も家で会うから」と言って笑った。
しばらく掛け出して、人の通りが少なくなった所で、タバコを取りだした。メンソールの煙草だった。口に咥えて火をつけた。ゆくっりと一息吸って、僕の前にタバコを差し出した。
「少年Aも吸う」と聞いた。
「ここで吸わなかったら、ガキと思うかい。」と聞いた。
「うん、少年Aだ」と笑っていた。
「ガキじゃないけど、アスリートだからタバコは吸わない。」と言ってミクの咥えたタバコを掴み地面に捨ててもみ消した。
彼女はムッとする訳でもなく、ジッと見つめながら、
「じゃーキスしようか。」と言って、静かに目を閉じて顔を上げた。
さっき買ったべっ甲飴を袋から取り出して、彼女の唇に充てた。
「まだ、少年Aで良いから。」と言った時に、
ドドーンという大きな音と共に打ち上げ花火が上がった。
http://www.youtube.com/watch?v=1ozqeJoDBdA
ホワイトベリー 『夏休み』
