トングのブログ~H25新司法試験合格体験記~ -20ページ目

トングのブログ~H25新司法試験合格体験記~

日々の勉強内容を書き記していきます。そしてH25新司法試験合格体験記となる予定です

第1 甲の罪責


 1 行為の個数


(1) 甲は乙に対し素手で殴ったり、足で蹴るなどの攻撃を加え加療1ヶ月の怪我をさせるとともに、乙を車から転落させることによって乙に大怪我を負わせている。2つの行為は甲乙のにらみ合いをから始まる一連の行為と考えられないか。


(2) 行為の個数については、行為が主観と客観の統合体であることから、主観と客観の両面から考える。


(3) 本件についてこれをみるに、前者は甲が興奮のあまり先制攻撃をしたものである。一方、後者は乙がナイフを持って襲ってきたので、それに対応する意思である。また、素手等と車を使った攻撃という全く別の態様である。したがって、主観的にも客観的にも別の行為といえる。


(4) よって、上記2つの行為は別の行為として検討する。


 2 乙に加療1ヶ月を負わせた素手等の攻撃


 (1) 上記行為に乙に対する傷害罪(刑法(以下、略)204条)が成立しないか。


(2) 「傷害」とは人の生理的機能の侵害をいうところ、加療約1ヶ月を要する顔面打撲等の怪我はこれにあたるといえる。また、甲は興奮のあまり手をだしたといえ、傷害の故意はあるといえる。正当防衛(36条1項)のような事情もない。


(3) よって、甲には乙に対する傷害罪(204条)が成立する。


3 丙の腹部や大腿部を右足で2回蹴った行為により加療1週間の腹部打撲等の怪我を負わせた行為


上記行為は「傷害」といえる。また、丙に向かっていったのだから、傷害の故意はあるといえる。よって、甲には丙に対する傷害罪が成立する。丙が甲の胸を強く押した行為については、後述のように正当防衛が成立し、甲には正当防衛を疑わせる事由はない。


4 乙を車から振り落として大怪我を負わせた行為。


(1) 上記行為に対して、甲は乙に対する殺人未遂罪(203条、199条)が成立しないか。


(2) 甲は、乙が窓ガラスの上端部分を左手でつかみながら、蛇行運転をし、時速50キロメートルまで加速することは、頭を打ち付け人の生命の現実的危険が生じる行為といえる。そして、乙は意識不明になり、将来意識を回復する見込みもないと診断されている。また、甲は「乙が路面に頭などを強く打ちつけられてしまうだろうが、乙を振り下ろしてしまおう」と考えていることから、殺人の故意も認められる。


(3)ア 甲は乙のナイフによる攻撃から逃れるために乙を車からり落としているのだから、正当防衛(36条1項)が成立しないか。そもそも甲が先制攻撃したことにより、乙がナイフで襲ってきたのだから、もともとの原因が甲にあるのに、「急迫不正の侵害」として正当防衛を認めてよいか。


イ 正当防衛は緊急状態下では退避する義務がないとして、法の自己保全をみとめたものである。そうだとすれば、退避する義務を課すことができないような場合、すなわち侵害が自己の攻撃から考えられる攻撃よりも大きく、予期したものよりも大きくなった場合には「急迫不正の侵害」といえる。


ウ 本件についてこれを見るに、甲は素手等の攻撃であったのに対し、乙はナイフで攻撃してきている。甲は乙が少年時代から凶暴な性格で知られ、何度か傷害事件を起こして少年院への入退院を繰り返していることは知らない。そうだとすれば、甲は乙がナイフを所持していて襲ってくるとは考えていない。丙は乙にナイフで攻撃するのはやめろと叫び、これが聞こえているにもかかわらず、乙は「急迫不正の侵害」が存在するようにも思える。


 しかし、乙は甲車内の運転席シートとドアの間にナイフを落としてしまっている。そして、甲の車は社交の高い車であるから、ナイフを取り返されるおそれもない。そうだとすれば、甲がナイフで攻撃してくる危険性はなくなったといえる。素手による反撃は、甲の攻撃すなわち侵害が自己の攻撃から考えられる攻撃よりも大きく、予期したものよりも大きくなったとはいえないから、「急迫不正の侵害」はなくなったといえる。


エ よって、甲には正当防衛が認められない。「急迫不正の侵害」がない以上、過剰防衛(36条2項)も認められない。


(4) よって、甲は乙に対する殺人未遂罪(203条、199条)が成立する。


 5 罪数


   甲の乙に対する傷害罪、殺人未遂罪、丙に対する傷害罪は併合罪(45条前段)となる。

第1 設問1


 1 権利自白について


権利自白とは、請求の当否の判断の前提をなす先決的な権利・法律関係についての自白のことをいう。本来、私的自治の反映である弁論主義が適用されるのは事実についてであり、法律レベルの話については裁判所の専権に委ねられるものである。民事訴訟法(以下、略)179条も「自白した事実」という文言となっている。そうだとすれば、原則として権利自白については撤回が認められると解される。


もっとも、売買や所有権といった日常的な法律概念についての自白は、一般人にも理解ができることから、例外的に自白の拘束力(179条)が認められる。


 2 権利自白の撤回


  (1) 事実の自白の撤回制限効の根拠


  自らに不利益な事実をあえて認めた場合、このような事実は真実である蓋然性が高い。また、自白によって相手方に生じた立証負担軽減の利益の保護する必要がある。そして、裁判所は自白を前提として審理を勧めることから、審理の遅延などの訴訟経済の観点からも自白の撤回を認める必要がある。以上が、事実の自白の撤回制限効の根拠である。


 このような根拠からすれば、事実の自白は①相手方の同意がある場合、②刑事上罰すべき他人の行為により自白がなされた場合(338条1項5号参照)、③自白内容が反真実であり、かつ自白が錯誤に基づく場合に認められる。


(2) 権利自白の撤回


権利自白が認められた趣旨は、一般人にも認められる法律概念であり、事実の自白と同視できる例外であることである。そうであれば、事実の自白の撤回制限効の根拠が同様に当てはまる。そこで、①相手方の同意がある場合、②刑事上罰すべき他人の行為により自白がなされた場合(338条1項5号参照)、③自白内容が反真実であり、かつ自白が錯誤に基づく場合に権利自白の撤回は認められる。もっとも、訴訟においては弁護士がつくこともあるところ、弁護士は一般人よりも法律に詳しい。そこで、③の錯誤については、本人訴訟の場合は事案を応じて本人に酷といえるかどうかによって判断する。


3 本件へのあてはめ


   本件についてこれをみるに、①、②のような事情はない。また、Cは③の主張を認めた後で、弁護士Qに相談していることから、いわゆる本人訴訟であるが、Cが③の主張に同意したのは、Aがことあるごとに自身の所有を主張したことにある。所有権があるかどうか登記や契約書によって本人でも簡単に調べることができる。そうだとすれば、Aに所有権があること自体は理解していたといえるので、本人に酷とはいえない。①の消費契約につき契約書がないからといって、反真実であるともいえない。


4 よって、被告側の権利自白の撤回は許されない。


   


第2 設問2


 1 独立当事者参加(47条1項後段)


(1) 「訴訟の目的の・・・主張する」(47条1項後段)場合とは本訴請求と参加人の請求が両立しない場合をいい、請求の趣旨レベルで判断する。なぜならば、本条の趣旨が三者間の矛盾のない判決を得ることにあり、請求の趣旨レベルで両立しない場合に初めて矛盾のない判決を得られるといえるからだる。


(2) 本件においてこれをみるに、Bの請求の趣旨は、「DはAに甲土地の所有権移転登記手続をせよ」である。一方、Fの請求の趣旨も「DはAに甲土地の所有権移転登記手続をせよである。そうだとすれば、両方の請求の趣旨は同じである。したがって、請求の趣旨レベルで両立するといえる。


(3) よって、Fは独立当事者参加をすることはできない。


2 共同訴訟参加(52条)


(1) 「訴訟の目的が・・・合一に確定すべき場合」(52条1項)とは、本条の趣旨が裁判の矛盾を回避することにあるから、判決効が当事者及び第三者に及ぼさなければならない場合をいう。                                                                        


(2) Fは、Aのメインバンクであり、Aに対して医療機器の購入資金や医院の運転資金などを貸し付けてきており、現在、FはAに対して2500万円の貸付金残高を有している。そうであるならば、甲土地は無資力のAに対して、貸付金の担保としての役割を担うこととなる。一方、Bも訴訟1において債権者代位訴訟(民法423条)を提起したのは、Aに対し土地購入資金1200万円を貸し付けていたからである。そうだとすれば、F、B共に甲土地の所有権をAに移転させることで、貸付金の担保にしようとする目的をもって訴訟を提起している。そのためには、判決効が当事者及び第三者に及ぼさなければならない場合といえる。


(3) よって、Fは共同訴訟参加をすることができる。


第3 設問3


 1 原則


 (1) 通常共同訴訟か必要的共同訴訟か


ア L、MはKの子であり、Kの配偶者はすでに死亡しているため、L、MがKの訴訟を相続することになる(887条1項、896条)。本訴請求の認諾と中間確認の放棄がどのように扱われるかについては、L、Mが相続した訴訟が通常共同訴訟(38条以下)か必要的共同訴訟(40条1項)かによって異なる。通常共同訴訟であれば放棄が認められるが、必要的共同訴訟であれば、合一確定の要請から放棄が認められない。そこで本件訴訟が通常共同訴訟か必要的共同訴訟かが問題となる。


イ 通常共同訴訟と必要的共同訴訟の区別は、第1に、民事訴訟法が民事法上の問題を処理する法であることから、実体法上の観点から合一確定の要請を考える。第2に訴訟法であることから、訴訟経済についても無視できない以上、訴訟法的観点から合一確定の要請を判断する。


ウ本件においてこれをみるに、L、Kは相続財産を共有する(民法898条)。共有とは、民法249条以下の「共有」と同義であり、L、Kが持分権を持ち各々が処分することが可能である。そうだとすれば、実体法上、合一確定の要請は薄い


 また、訴訟2は所有権に基づいて建物収去土地明渡を求めるものであるところ、共同相続人の義務は不可分債務であるから、1人に対して判決も得たとしても全部の執行が可能である。そうだとすれば、訴訟法的にみても合一確定の要請は弱い。


ウ よって、訴訟2は通常共同訴訟である。


(2) よって、本訴請求の認諾と中間確認請求の放棄の陳述をMだけがした場合、原則として、放棄の陳述は認められる。


2 本件での結果の妥当性を考えての修正


(1) LはKと同居しているが、Mは進路についてKと対立したため、当苦はなれた地方に居住しており、KやLとほとんど没交渉となっている。そうであるならば、Mは丙建物や乙土地の訴訟の行方については全く関心が無いといえ、無関心から本訴請求の認諾と中間確認請求の放棄の陳述をしたといえる。


     また、平成10年5月頃、NはKに対して、期間を定めないで、乙土地を、資材置場として無償で貸し渡すという、通常考えにくい契約をしている。貸し渡してから12年たち急に契約を解除していることを考慮すると、Kの贈与という主張が認められる可能性は高く、少なくとも時効取得(民法162条2項)ができる可能性もある。


そうだとすれば、L、M勝訴の可能性があったのにもかかわらず、Mは自ら勝訴を放棄していることになり訴訟2に強い利害関係を有するLに著しく不利な結果となる。


(2) よって、本訴請求の認諾と中間確認請求の放棄の陳述をMだけがした場合、放棄の陳述は却下される。


              


                                        以上

第1 ①について


 1 本件自己株式取得の効力


本件自己株式取得について、株主の相続人からの取得であるが公開会社なので相続人等からの特則は適用されない(会社法(以下、略)162条1号)。また、取得する株式には市場価格があるが、市場価格を25%上回る額であることから市場価格のある株式の取得の特則は適用されない(161条、会社法規則(以下、規則)30条)。そこで、本件株式取得が有効となるためには、①158条1項、②160条2項、3項、③160条4項に反しないで株主総会の特別決議(309条2項3号)を経る必要がある。


(1) ①158条1項


    資料①、第1号議案より要件をみたしている。


(2) ②160条2項、3項


ア 甲社は、B以外の甲社の株主に対し、法務省令(規則28条)で定めるときまでに第1号議案の「取得する相手方」の株主に自己を加えたものを株主総会の議案とすることを請求することができる旨を通知していない。そこで、160条2項、3項の違反がある。もっとも、甲社は、株主総会において、株主からの買取請求の質問に答える形で、Bから甲社株式を取得する際の価格の算定方法やその理由を丁寧に説明しているので、これによって瑕疵が治癒されたと考えられないか。


   イ ここで、160条2項、3項の趣旨は株主に情報提供をすることによって、株主に買取の機会を与えることにある。そうだとすれば、株主総会において株主は自由に議案を提出することができる以上、株主総会において株主に対し丁寧に説明した場合には、瑕疵が治癒されると解される。


ウ 本件において、甲社は、株主総会において、株主からの買取請求の質問に答える形で、Bから甲社株式を取得する際の価格の算定方法やその理由を丁寧に説明している。したがって、瑕疵は治癒されたと解される。


エ よって、本件自己株式取得について160条2項、3項違反はない。


(3) ③160条4項


       Bは他の株主が議決権を有する以上、本件自己株式取得の株主総会において議決権を行使することはできない(160条4項)ところ、議決権を行使している。もっとも、結果的に著しく不当な決議がなされなければ瑕疵が治癒されると考えることもできる。しかし、採決の結果、多くの株主が反対したものの、Bが賛成したため、議長であるCは、出席した株主の議決権の3分の2をかろうじて上回る賛成が得られたということから著しく不当な決議がなされている。


 よって、本件自己株式取得について160条4項の違反がある。


(4) よって、③160条4項違反があることから、本件自己株式取得は無効である。


 2 本件自己株式取得に関する甲社とBとの間の法律関係


   以上のように、本件自己株式取得は無効である。そして、本件自己株式取得は甲社とBとの間で行われたものであり、第三者の保護を考える必要がない。そうだとすれば、本件自己株式取得に関する甲社とBとの間の法律関係も無効である。


第2 ②について


1 必要な手続き


  本件自己株式処分は処分価格が市場価格の80%であるから、「特に有利な金額」(199条3項)で発行されたといえる。そこで、本件自己株式処分が有効となるためには、①説明義務(314条)に違反せず、②831条1項3号の取消事由に該当せず、特別決議(201条1項、199条3項、309条2項5号)を経る必要がある。


2 株主総会取消し


(1) ①説明義務違反


ア 甲社の株主であるDが処分価格について質問したのに対し、甲社代表取締役Cは企業秘密であるから答えられないとして、説明を拒絶している。これは、例外事由(314条ただし書、規則71条)にあたらない以上、取締役の説明義務(314条)に違反しないか。説明義務の範囲とその程度が問題となる。


イ ここで、314条が取締役の説明義務を規定したのは、議題に関する質疑応答の機会を保障するという会議体の一般原則を示したにすぎない。そうだとすれば、説明義務の範囲とその程度は平均的な株主が合理的に理解できるかどうかを基準とすべきである。


ウ 本件についてこれをみるに、処分価格を定めた理由は平均的な株主が自己株式処分について採決する場合、合理的な決断を下すためには必要な情報といえる。そして、Cが企業秘密で答えることができないと言うだけでは、平均的な株主が合理的に理解できるとはいえない。したがって、甲社代表取締役Cは、平均的な株主が合理的に理解できる範囲・程度にまで説明したとはいえない。


エ よって、本件自己株式処分の株主総会には説明義務(314条)違反の瑕疵がある。


(2) ②831条1項3号の取消事由について


本件自己株式処分の株主総会には、甲社株式を30万株保有する乙社が参加し賛成したため、かろうじて可決されている。そこで、831条1項3号にあたり、株主総会に瑕疵がないかが問題となる。


ア 「特別の利害関係を有する者」とは、株主としての資格を離れた個人的利害関係を有する者である。乙社は、市場価格を下回った価格で株式を取得し、甲社と資本関係を強化するという目的があるので、株主としての資格を離れた個人的利害関係を有しているといえる。


イ そして、乙社は市場価格の80パーセントで250万株も取得できているのだから、特別利害関係人に有利な決議内容であるために会社の利益を著しく害し、その他の株主と著しい不公正を生じる結果を生じているのだから、「著しく不当な決議」がなされたといえる。


ウ よって、本件自己株式処分の株主総会には831条1項3号の取消事由が存在する。


3 なお、乙社は取得した甲社の株式を250万株中50万株市場において売却している。そこで、第三者の保護を考慮すべきだとも考えられる。しかし、そもそも無効な処分を有効とすることはできないし、第三者といっても証券会社が主に株を保有しているのだから、無効原因を作った甲がその損失を補填して回収すべきである。


4 よって、本件自己株式処分の効力は取消事由があることから、無効である。


第3 ③について


1 Cの甲社に対する責任は423条1項について検討する。甲社には30億円の損害が生じており、Cには代表取締役として権限があったことから、423条1項の要件につき任務懈怠が問題となる。そこで、Cは代表取締役として会社の内部統制システムを構築し(362条4項6号)、会社に対して損害を与えてはいけない義務を負うところ、その義務に違反したか否かについて検討する。


 2 本件についてこれをみるに、C社では、本件自己株式取得及び本件自己株式処分後に粉飾決算が発覚している。しかし弁護士及び公認会計士をメンバーとする調査委員会による徹底的な調査によって、今回の粉飾決算は、西日本事業の従業員が会計監査人ですら見抜けないような巧妙な手口で行なわれたことがわかった。そこで、甲社の内部統制の体制には問題が無く、Cが架空売上げの計上を見抜けなかったことに過失は無かったとされた。そうだとすれば、Cには通常の企業人として期待される注意の程度を基準として、事実認識の過程に不注意な誤りによる不合理があったといえず、事実誤認に基づく意思決定の推論の過程及び内容に著しい不合理さがあったともいえない。したがって、代表取締役として会社の内部統制システムを構築し、会社に対して損害を与えてはいけない義務に違反したとはいえない。


3 よって、本件自己株式取得及び本件自己株式処分に関するCの甲社に対する会社法上の責任はない。


                                                                           以上 

第1 設問1


 1 小問(1)


(1) 請求の論拠及び請求額


     不当利得返還請求の要件は、①受益、②損失、③受益と損失の間の因果関係、④「法律上の原因」がないことである(民法(以下、略)703条)。


      本件についてこれをみるに、BはCの内装工事により2500円分の利得を得ており(①)、CにはAからの未払い代金分の2500万円の損失がある(②)。これはCの工事によるものであるから、社会観念上因果関係も認められる(③)。そして、BはAに対し、甲建物を改修しない状況で月額200万円で賃貸している。本来、甲建物を改修して賃貸に出せる状況にしていたのならば、賃料の相場は月額400万円であったのだから、改修費用はAが受け持っていたといえる。そうだとすれば、Bの改修費用分については、実質的に対価関係になく、Bにとって「法律上の原因」がないこととなる(④)。


よって、CはBから2500万円の不当利得返還請求権を受けることができると考えられる。


(2) 予想される反論


更新された内装の所有権はBに帰属することから「法律上の原因」があると主張することが考えられる。少なくとも、6か月分の賃料1200万円はBに未払いであることから、1200万円については「法律上の原因」があると主張することが考えられる。


しかし、BはFに対し、AからBに支払われた未払い賃金2500万円から未払い賃料1200円を減額した上で価値を算定し、甲建物をFに売却している。そうだとすれば、実質的に見て、Bには「法律上の原因」がないということができる。


(3) よって、CはBから2500万円の不当利得返還請求権を受けることができる。


2 小問(2)


(1) 請求の論拠及び請求額


     AがFに対して有する1300万円の敷金返還請求権のを代位行使(423条)することが考えられる。


ア まず、平成22年10月3日、A及びFが、甲建物の賃貸借契約を合意解除しFに対する敷金返還請求権をAが放棄していることが問題となる。しかし、賃貸借契約の解除はCに対して及ばない。なぜならば、合意解除であっても、545条1項ただし書の趣旨から、権利を害される者には効力が及ばないと考えられるからである。


イ 債権者代位権の要件は①債務者の無資力、②債務者が代位対象となる権利を行使していないこと、③代位対象となる権利が債務者の一身に専属する権利でないこと(以上、423条1項)、④被保全債権が弁済期にあること(423条2項)が必要となる。本件でこれをみるに、Aは平成22年9月末頃、無資力となっている(①)。また、Aは代位対象となる権利を行使しておらず(②)敷金返還請求権は一身に専属する権利ではない(③)。敷金返還請求権は甲建物の賃貸借契約が解除された平成22年8月1日には弁済期が到来している。


ウ AがFに対して有する1300万円の敷金返還請求権のを代位行使し、AC間の請負契約に基づく請負残代金に相当する額を回収することが考えられる。


(2) 予想される反論


    545条1項ただし書「第三者」とは、解除された契約から生じた法律効果を基礎として、解除までに新たな権利を獲得した者である。そうだとすれば、敷金返還請求権の代位行使者はこれにあたらない。この反論には理由がある。


(3) よって、CはBから2500万円の不当利得返還請求権を受けることができない。


第2 設問2


 1 法的根拠


FはAとの間で甲建物の賃貸借契約を解除しているが、Fは本件債権譲渡契約を結んでいる以上、甲建物の賃貸借契約を消滅させてはならない債務を負うと解される。なぜなら、発生可能性が低くても将来債権が一般的に認められることから、債権を消滅させてはならない債務が暗黙のうちに契約上含まれているからである。


そこで、甲建物の賃貸借契約を解除、消滅させ、本件債権売買契約を不能にしたとして、債務不能による解除(543条)を検討する。


2 解除の各要件


   (1) 履行期に履行することが不能であること


FA間の甲建物の賃貸借契約は合意解除されており、Gは賃料をAに請求することはできなくなっている。したがって、履行期に履行することが不能である。


   (2) 履行不能が債務者の責めに帰すべき事由に基づくこと


ア 上述のような債務を有するにも関わらず、FはAに対する賃料債権をGに譲渡していることを気にしつつ、Gによる賃料債権回収の可能性はないと勝手に考え、Gに確認もとらず甲建物の賃貸借契約を解除している。したがって、Fには債権を消滅させてはならない債務の不履行がある。


イ よって、履行不能が債務者の責めに帰すべき事由に基づくといえる。


   3 よって、Fは甲建物の賃貸借契約を消滅させてはならない債務の不履行を理由として、本件売買契約を解除することができる。


第3 設問3


 1 小問(1)


 (1) Aに対する請求


      エレベーターの不具合は設置工事の段階からあったのであり、Aは半年以上たっていたことから、Hを案内する際にエレベーターが揺れる可能があることを事前に知ることができたといえる。そうだとすれば、Hが満70歳であることをFを通じて知っていた以上、AはFに同意を与えてはいけない義務があったといえる。このような義務に違反した以上、過失(709条)があったといえる。


      もっとも、Aは日常的に使用していなかったのだから、そのようなことは知らなかったという反論が考えられるが、賃貸をする建物を知らなかったということは許されない。


     よって、HはAに対して709条に基づき損害賠償ができる。


(2) Fに対する請求


FはHが満70歳であることを知っていたのだから、エレベーターを使うことは予想できたはずである。そうであるならば、知らなかったという反論も考えられるが、エレベーターの安全性については細心の注意を払う義務があったといえる。このような義務に違反した以上、「過失」(709条)があったといえる。


    HはFに対して709条に基づき損害賠償ができる。


2 小問(2)


 (1)  賠償額が減額されるためには、Hの身体機能の低下及び疲 労の蓄積が、「被害者の過失」(722条2項)といえる必要がある。


       (2)  ここで、722条2項の趣旨は、損害の公平な分担である。そうだとすれば、「被害者の過失」とはいえなくても、身体機能の強度な低下の場合には損害の公平な分担の見地から722条2項の趣旨を類推適用すべきである。 


(3) 本件においてこれをみるに、Hの身体機能の低下は加齢によるものであり、無理をしなければ日常生活を送る上で支障のないものである。また、平成22年5月から毎月1回検査を受けており、特段の疾患はないと診断されている。しかし、Hの妻が病気で入院で入院したため、毎日のように病院と自宅とを往復し、時として徹夜で妻に付き添っていた。そのため、平成22年7月ごろから、かなりの疲労の蓄積を感じていた。そうだとすれば、Hは70歳と高齢であり、Hの身体機能の低下は疲労の蓄積もあいまって、強度に低下していたといえる。


(4) よって、Hの身体機能の低下及び疲労の蓄積が損害の発生又は拡大を招いたことを理由として、賠償額が減額されるべきである。

第1 設問1


 1 原告適格の基準


取消訴訟の原告適格については、行政事件訴訟法(以下、略)9条が定める。同条1項にいう処分の取消を求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利もしくは法律上保護された利益を侵害され、または必然的に侵害されるおそれのある者をいう。そして、そこでいう「法律上保護された利益」とは、当該処分の根拠法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合の当該利益をも含む。かかる利益を当該処分により侵害される者には原告適格が認められると解すべきである。


そして、本件X1、X2のように、処分の相手方以外の者についは9条2項の考慮要素にしたがって判断する。


 2 本件へのあてはめ


(1) 本件についてこれをみるに、根拠となる法令の文言(モーターボート競走法(以下、法)5条1項)には、第三者の利益を保護するといった定めはない。しかし、当該法令の趣旨・目的を関係法令からかんがみると、モーターボート競走法施行(以下、規則)12条1項1号とその関連通達において、文教上の環境利益に配慮している。したがって、Q地の近くに法化大学院を設置している者の利益を個別的利益として保障しているといえる。


また、当該処分において考慮されるべき利益の内容・性質を関係法令からかんがみると、規則11条2条の7第2項の関係通達においては地元との調整が取れていることを同意の要件としているから、周辺住民の生活の平静を保護法益としていることが伺われる。したがって、Q地の近くに住居を有する者の利益を個別的利益として保護しているといえる。


(2) X1はQ地から400メートルと放火大学院を設し、X2はQ地から200メートルのところに住居を有している。確かに、本件施設から少し離れたところに感じるかもしれない。しかし、本件施設とP駅はまっすぐ南下する県道で結ばれており、P駅からの客は商店や飲食店があることもあいまって、この県道を通ることが予想される。また、敷地面積3万メートル、700台を収容する駐車場など本件施設は巨大であり、この巨大な施設で年350日、うち300日もナイターが開催される。普段から通勤・通学客もいる以上、県道沿線の環境は著しく悪化すると考えられる。そうだとすれば、Q地から少しはなれていても、県道の文教施設であるX1や居住者X2は原告適格が認められると解する。


(3) よって、X1、X2は原告適格が認められ、本件訴訟は適法


である。



第2 設問2


1 小問(1)


(1) 2つの候補


同意書を改めて取得し、提出する義務がないことの確認をもとめる実質的当事者訴訟(4条後段)と許可取消の差止訴訟(3条7項)が考えられる。


(2) 比較検討


実質的当事者訴訟は、処分性(3条2項)が不明確なものに対しても認められる。しかし、要求措置に応じない場合には高度の蓋然性をもって取消措置がなされるから、要求措置にも処分性が認められる。したがって、どちらも適法とされる見込みが高いといえる。


提出する義務がないことの確認を求めても、別の理由で取消措置がなされることもある。一方、取消措置を差止めてしまえば、その判断は行政庁を拘束するので(38条1項、33条1項)、少なくとも取消しはなされない。したがって、取消訴訟のほうが実効的である。仮の処分として、差止め訴訟は仮の差止めの申立て(37条の5第2項)があるが、実質的当事者訴訟には、解釈上認められるのみであることもこれを理由付ける。


(3) よって、取消措置の差止訴訟を提起すべきである。




2 小問(2)


(1)ア 関連する法令の定め


規則12条は、許可の基準として地元の同意とは規定していない。しかし、法5条2項が許可基準を規則12条に定めた趣旨は法1条の趣旨に沿うためには国土交通省の裁量に委ねたからである。そうだとすれば、国土交通省は規則以外の理由で、許可を拒否することができると解する。


   イ 自治会の同意を要求する通達


    通達は、行政庁のみ拘束する行政規則であり、一般人に対しては、原則として、法的拘束力が認められない。もっとも、自治会の同意を要求する通達は、「これを確実に取得することができることを証明する書類」(規則11条2項)を具体化したものである。このような同意を要求した通達は、公聴会(行政手続法(以下、行手法)10条)を行う手間が省けるから、裁量の範囲内といえる。したがって、通達を理由として、許可を拒否することができる。


もっとも、住民の同意が必ずしも住民の民意を反映しているか疑わしいという問題がある。   


ウ 国土交通大臣がAに対して執り得る措置の範囲ないし限界


住民の同意が必ずしも住民の民意を反映しているか疑わしいという問題がある以上、疑惑が真実である場合には、「当該行政機関の任務又は掌握事務の範囲」(行手法32条)であれば行政指導を行うことができる。


一度許可をした後で許可を取り消す処分は、適法性の回復にあるのだから、法の根拠なくして行うことができる。


(2) 国土交通大臣がAに対し取消措置を執った場合、当該取消措


置は適法である。



第3 設問3


 1 考えられる規定の骨子


   住民投票により、住民の意見を聞くことが考えられる。


 2 条例の問題点


住民投票に拘束力を持たせることは、地方自治においても間接民主制が原則である(憲法93条)ことと抵触する。また、住民投票の結果が利害関係のある住民の意見を完全に反映しているかどうかも問題がある。


第1 設問1


1 過度に広汎ゆえに無効


 X社の弁護人としては、参考資料法律(以下、法)8条3項について、過度に広汎な表現は、表現の自由(憲法21条1項)に対する過度の畏縮効果があるので、文面上無効である(21条1項、31条)と主張する。


本件においてこれを見るに、「第1項の申立てに係る被害及びこれと同種の被害を回復するため特に必要があると認めるとき」(法8条3項)とあるが、この文言が不明確であるため、規制する必要がない表現についても規制してしまうこととなる。


  よって、法8条3項は過度に広汎ゆえに無効であり、違憲である。


2 憲法21条1項


X社の弁護人としては、法8条3項が憲法21条1項で保障される表現の自由を侵害するため違憲であると主張する。


(1) 表現の自由はそもそもは思想を表現する自由である。もっとも、路上風景のパノラマ画像を公開するように事実を表現する自由も、ユーザーの知る権利(21条1項)に資する以上、憲法上の権利として保護に値すると解する。Z機能画像は、プライバシー権(13条)の侵害といえないし、ユーザーの利便性の向上に役立ち、詐欺防止ににも役立つなど、表現の価値は高い。


よって、Z機能画像をインターネット上で提供する行為は憲法21条1項の表現の自由として保障される。


(2) 表現の自由は自己実現の価値を有する重要な権利であり、本件において、その制約はZ機能画像自体の内容に着目した規制である。そうであるならば、厳格な審査基準が適用され、具体的には、①目的が必要不可欠で、手段が必要最小限であることが必要である。


(3) 目的はインターネット社会における国民生活の安全と平穏の確保(法1条)であることから、必要不可欠なものといえるかもしれない。しかし、その手段はZ機能画像の修正や、特定地図検索システムの中止をも含むものであるあるから、自主的な対応でも可能である以上、手段が必要最小限とはいえない。


 (4) よって、法8条3項は憲法21条1項に反し違憲である。


第2 設問2


 1 過度に広汎ゆえに無効


 (1) 被告側の反論


法が過度に広汎ゆえ無効であるか否かについては、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるかどうかの判断を可能ならしめる基準が読み取れるかどうかで判断する。


本件においてこれをみるに、法8条3項は第三者のプライバシー権(憲法13条)が侵害されるような場合に適用されることが一般人の理解においても判断が可能である。


 よって、法8条3項は、過度に広汎ゆえ無効とはいえず、合憲である。


(2) 私の見解


ア 法の対象は一般人であることから、被告のように一般人を対象とする基準は妥当であると考える。そして、多少文言が不明確であっても、憲法上の権利を侵害しないような配慮がなされている場合には、過度に広汎ゆえに無効といえないと解する。


イ 本件についてこれをみるに、「第1項の申立てに係る被害及びこれと同種の被害を回復するため特に必要があると認めるとき」(法8条3項)という文言だけでは、一般人からみてどのような場合に適用されるかの基準が漠然としているといえるかもしれない。


しかし、A大臣は中止命令を発する前に、委員会に諮問しなければならず、諮問委員会が必要と認めた場合に画像の修正などの修正勧告を受けることとなる。委員会は優れた見識を有する者の中からA大臣が任命した委員(法11条3項)は3年の任期(11条4項)で組織されるものであるから、正確性が担保され、憲法上の権利を侵害しないといえる。


ウ よって、法8条3項は過度に広汎ゆえ無効といえず、合憲である。


2 憲法21条1項


 (1) 被告側の反論


表現の自由は思想を表現する自由であるから、路上風景のパノラマ画像をインターネットで公開するような権利は、そもそも憲法21条で保障されていない。


また、憲法22条1項の「職業選択の自由」には営業の自由を含むところ、この営業の自由でZ機能画像をインターネットで公開する権利を保障されると解することもできるかもしれない。しかし、第三者のプライバシー権(13条)を侵害するような営業は許されないから、22条1項によってもZ機能画像をインターネットで公開する権利が保障されない。


(2) 私の見解


ア まず、原告の主張するように、そもそも思想を表現する自由を保障する憲法21条1項に、事実を表現する自由は含まれると解する。なぜなら、事実であっても、それが自己統治、自己実現に関わることがありうるからである。


そして、路上風景のパノラマ画像をインターネットで公開する権利は原告が主張するようにユーザーの利便性や詐欺被害防止に役立つ点が多く重要な権利であるといえる。確かに、法7条で規制するような方法、例えば、カメラの高さを1メートル60センチにするなどしても、Z機能画像には、公道上であっても、その場にいることやそこでの行動を知られたくない人にとっては、公開されたくない情報が含まれている。また、ドメスティック・バイオレンスからの保護施設にとっては公開されると困る情報も含まれている。また、誘拐の誘因となると心配する親もいる。しかし、個人情報については個別にマスキングをするなどして対応が可能である。なによりも、高度情報化社会における、個人の知る権利(21条1項)を重視するべきである。


したがって、路上風景のパノラマ画像をインターネットで公開する権利は憲法21条1項で保障される。


イ 表現の自由は自己統治、自己実現の観点から、厳格に審査をするのが原則である。もっとも、本件はX社の営業に伴う表現の自由である。また、法8条1項で諮問委員会へ諮問し、その後勧告を経て中止命令が発せられるという段階的な規制である。そこで、①目的が重要であり、②目的と手段との間に実質的な関連性がある場合に、合憲となる。


ウ 本件についてこれをみるに、目的は国民生活の安全と平穏の確保に資することであるから、インターネットが普及した社会で、個人のプライバシーを守るために、重要であるといえる(①)また、場合によっては地図検索システムの提供の中止を命じることが、その目的に役立ち、手段と目的との間の因果関係も認められる(②)。したがって、目的と手段ともに要件を満たす。


エ よって、法8条3項は合憲である。


オ なお、憲法21条1項の表現の自由で権利が保障される場合には、経済的自由権である営業の自由を主張する必要はないと解される。なぜならば、表現の自由は経済的自由権にくらべて、審査基準が厳格であることから、違憲となりやすく、表現の自由の主張で勝訴できない場合には、経済的自由での主張に勝ち目はないからである。

辰巳の成績は800位ぐらいで、一応合格推定以上でした。本試験の択一は、243点で合格者平均よりも少し上でした。今回は力なくして落ちてしまいましたが、来年こそは合格させます。


目標として、辰巳上位1割以上、択一280点を目指します。

前のIDが微妙だったから、変えて作りなおしてみました。これで本格的に、gooブログからお引越しです。