(本試験再現)公法系第1問 | トングのブログ~H25新司法試験合格体験記~

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第1 設問1


1 過度に広汎ゆえに無効


 X社の弁護人としては、参考資料法律(以下、法)8条3項について、過度に広汎な表現は、表現の自由(憲法21条1項)に対する過度の畏縮効果があるので、文面上無効である(21条1項、31条)と主張する。


本件においてこれを見るに、「第1項の申立てに係る被害及びこれと同種の被害を回復するため特に必要があると認めるとき」(法8条3項)とあるが、この文言が不明確であるため、規制する必要がない表現についても規制してしまうこととなる。


  よって、法8条3項は過度に広汎ゆえに無効であり、違憲である。


2 憲法21条1項


X社の弁護人としては、法8条3項が憲法21条1項で保障される表現の自由を侵害するため違憲であると主張する。


(1) 表現の自由はそもそもは思想を表現する自由である。もっとも、路上風景のパノラマ画像を公開するように事実を表現する自由も、ユーザーの知る権利(21条1項)に資する以上、憲法上の権利として保護に値すると解する。Z機能画像は、プライバシー権(13条)の侵害といえないし、ユーザーの利便性の向上に役立ち、詐欺防止ににも役立つなど、表現の価値は高い。


よって、Z機能画像をインターネット上で提供する行為は憲法21条1項の表現の自由として保障される。


(2) 表現の自由は自己実現の価値を有する重要な権利であり、本件において、その制約はZ機能画像自体の内容に着目した規制である。そうであるならば、厳格な審査基準が適用され、具体的には、①目的が必要不可欠で、手段が必要最小限であることが必要である。


(3) 目的はインターネット社会における国民生活の安全と平穏の確保(法1条)であることから、必要不可欠なものといえるかもしれない。しかし、その手段はZ機能画像の修正や、特定地図検索システムの中止をも含むものであるあるから、自主的な対応でも可能である以上、手段が必要最小限とはいえない。


 (4) よって、法8条3項は憲法21条1項に反し違憲である。


第2 設問2


 1 過度に広汎ゆえに無効


 (1) 被告側の反論


法が過度に広汎ゆえ無効であるか否かについては、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるかどうかの判断を可能ならしめる基準が読み取れるかどうかで判断する。


本件においてこれをみるに、法8条3項は第三者のプライバシー権(憲法13条)が侵害されるような場合に適用されることが一般人の理解においても判断が可能である。


 よって、法8条3項は、過度に広汎ゆえ無効とはいえず、合憲である。


(2) 私の見解


ア 法の対象は一般人であることから、被告のように一般人を対象とする基準は妥当であると考える。そして、多少文言が不明確であっても、憲法上の権利を侵害しないような配慮がなされている場合には、過度に広汎ゆえに無効といえないと解する。


イ 本件についてこれをみるに、「第1項の申立てに係る被害及びこれと同種の被害を回復するため特に必要があると認めるとき」(法8条3項)という文言だけでは、一般人からみてどのような場合に適用されるかの基準が漠然としているといえるかもしれない。


しかし、A大臣は中止命令を発する前に、委員会に諮問しなければならず、諮問委員会が必要と認めた場合に画像の修正などの修正勧告を受けることとなる。委員会は優れた見識を有する者の中からA大臣が任命した委員(法11条3項)は3年の任期(11条4項)で組織されるものであるから、正確性が担保され、憲法上の権利を侵害しないといえる。


ウ よって、法8条3項は過度に広汎ゆえ無効といえず、合憲である。


2 憲法21条1項


 (1) 被告側の反論


表現の自由は思想を表現する自由であるから、路上風景のパノラマ画像をインターネットで公開するような権利は、そもそも憲法21条で保障されていない。


また、憲法22条1項の「職業選択の自由」には営業の自由を含むところ、この営業の自由でZ機能画像をインターネットで公開する権利を保障されると解することもできるかもしれない。しかし、第三者のプライバシー権(13条)を侵害するような営業は許されないから、22条1項によってもZ機能画像をインターネットで公開する権利が保障されない。


(2) 私の見解


ア まず、原告の主張するように、そもそも思想を表現する自由を保障する憲法21条1項に、事実を表現する自由は含まれると解する。なぜなら、事実であっても、それが自己統治、自己実現に関わることがありうるからである。


そして、路上風景のパノラマ画像をインターネットで公開する権利は原告が主張するようにユーザーの利便性や詐欺被害防止に役立つ点が多く重要な権利であるといえる。確かに、法7条で規制するような方法、例えば、カメラの高さを1メートル60センチにするなどしても、Z機能画像には、公道上であっても、その場にいることやそこでの行動を知られたくない人にとっては、公開されたくない情報が含まれている。また、ドメスティック・バイオレンスからの保護施設にとっては公開されると困る情報も含まれている。また、誘拐の誘因となると心配する親もいる。しかし、個人情報については個別にマスキングをするなどして対応が可能である。なによりも、高度情報化社会における、個人の知る権利(21条1項)を重視するべきである。


したがって、路上風景のパノラマ画像をインターネットで公開する権利は憲法21条1項で保障される。


イ 表現の自由は自己統治、自己実現の観点から、厳格に審査をするのが原則である。もっとも、本件はX社の営業に伴う表現の自由である。また、法8条1項で諮問委員会へ諮問し、その後勧告を経て中止命令が発せられるという段階的な規制である。そこで、①目的が重要であり、②目的と手段との間に実質的な関連性がある場合に、合憲となる。


ウ 本件についてこれをみるに、目的は国民生活の安全と平穏の確保に資することであるから、インターネットが普及した社会で、個人のプライバシーを守るために、重要であるといえる(①)また、場合によっては地図検索システムの提供の中止を命じることが、その目的に役立ち、手段と目的との間の因果関係も認められる(②)。したがって、目的と手段ともに要件を満たす。


エ よって、法8条3項は合憲である。


オ なお、憲法21条1項の表現の自由で権利が保障される場合には、経済的自由権である営業の自由を主張する必要はないと解される。なぜならば、表現の自由は経済的自由権にくらべて、審査基準が厳格であることから、違憲となりやすく、表現の自由の主張で勝訴できない場合には、経済的自由での主張に勝ち目はないからである。