インド産オーレア
中国産のリコリスが認知されるようになって、もうひとつ注目をあびているリコリスが有ります。
それがインド産のオーレア。サカタのタネさん、アタリアさんから発売されています。
果たしてインドで球根生産されているオーレアとはどんなものなのか?一般に知られているオーレアとはどう違うのか?
ここが違う(判別点)という視点でご紹介します。
まずは蕾です。
インド産オーレアは蕾(総苞)が細長く尖り、緑色をしています。(個体差があります)
また、蕾の形、約の色、めしべの色も違います。
インド産オーレアは蕾も細長く緑色を帯びています。葯の色は白黄(中国産オーレアは赤褐色)、めしべの色は柱頭から0.5cmほど赤みを帯びる(中国産オーレアは2~3cmと長い)。長いため蕾の中では折れ曲がっており徐々にまっすぐになります。
中国産オーレアはめしべが下垂しますが、インド産オーレアは下垂しません。比較が無いと判別しずらいですが、花弁が細く、斜め上向きに花を咲かせます。
上から花柄を見るとまた違いが分かります。
インド産オーレア。
長さはオーレアとトラウビの中間ぐらい。子房のふくらみが無く、子房のところまでストレートな印象を受けます。
中国産オーレア。
花柄は長く、子房が丸く花柄と子房の差がはっきりしています。
トラウビ。花柄は短く、子房も丸みを帯びています。また、薄い緑です。
トラウビ(奥)との比較です。こうしてみると違いが分かりますね。単一では黄色系のリコリスは本当に判別しにくいものです。
大体上記が判別点ですが、後インド産オーレアは花期も遅い傾向があります。。宮崎ではリコリスの最後を飾る種類です。分球率、葉の形状でも違いが有ります。
と、その上にこのインド産オーレアは混乱をしていることがあります。
以前、リコリス・ネリネ品種保存会から「中国オーレア」として配布を受けた種類がありますが、これがこのインド産オーレアに酷似。
「中国オーレア」の名称は黄花の判別(オーレアとトラウビの判別)がはっきりしなかった頃に、日本産との区別のためにつけられた名称でトラウビは「九州オーレア」と呼ばれていました。
また、中国産オーレアの中にも違いがあるということで、鈴木吉五郎氏由来のものは「香港オーレア」と呼ばれていました。
現在、それぞれのオーレアが画像や特徴が記載されるようになって、この保存会配布の中国オーレアは実は香港オーレアと同じものだと判明しました。
中国オーレア(リコリス・ネリネ品種保存会配布)=香港オーレア
と繋がります。で、中国オーレアはインド産オーレアはに酷似ですので
中国オーレア(リコリス・ネリネ品種保存会配布)=香港オーレア≒インド産オーレア
と繋がります。ただ、中国オーレアは不稔ですが、インド産オーレアは稔性があります。これはインド産オーレアの変異と言っていいでしょう。
で、アタリヤさんから過去に発売されていたリコリス・イエロー(生産地:鹿児島県)はこの特徴で不稔ですので
中国オーレア(リコリス・ネリネ品種保存会配布)=リコリス・イエロー(生産地:鹿児島県)
と繋がります。で、まだまだあります。最近はこの特徴から香港オーレアはオーレアの基本変種のアウレア(var.aurea)だとほぼ同定。基本変種と言うことはこの種が本当のオーレアということだと思います。
これらが全て繋がる訳で
中国オーレア(リコリス・ネリネ品種保存会配布)=リコリス・イエロー(生産地:鹿児島県)=香港オーレア≒インド産オーレア=アウレア.アウレア(Aurea var.aurea:オーレアの基本変種)
となります。かなりややこしいですけれど分かりますかね?混乱していていた状況が情報が公開、交換されることによって絡み合った糸が次第に解けつつあります。
最近刊行された「ギボウシ図鑑」の中にギボウシの種類判別項目には、「ギボウシは判別が難しいと言われる。種類の細かな違いは紙面では語れない、良く観察すればそれは分かってくる」の旨の記載がありびっくりしました。
ギボウシの専門書ですよ。普通は細かな特徴をあげて判別法を指南するものでしょう、それを投げている・・・。
でも改めて考えるとそのとおり。良く観察しないと分からない。
オーレア、トラウビの判別は最初は全く出来なかったのに、何とかできるようになったのはやはり観察を続けてきた成果でしょう。
皆さん観察しましょう、そしてみんなで黄色のリコリスの絡んだ糸をほぐしていきましょう!!