『邪道ティラミス』の秘密
   ~エピソードゼロ~



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店長がまだ20代前半の若かりし頃、

今は押しも押されぬ観光名所となっている某所で

イタリアンのコックをしていました。




お店の規模は

うちのPANNACOTTA よりも
ずっとずっと大きくて
たくさん席数があったそうです。



その大きなお店で
店長はスイーツ担当でした。




その頃一緒に働いていた

ピッツァ担当の  “ロベルト” (通称ロビ)  が
店長の作るスイーツが大好きで


よく試食という名のつまみ食いをしに来てたそうです。
(あれ?どっかで聞いたことがあるような…)




イタリア人のロビは
ティラミスが大好きでした。




その頃店長が作ってたティラミスは

『王道ティラミス』。


マスカルポーネが主役のティラミスです。






そんなある日、


連日鬼のように忙しく、ヘトヘトに疲れたロビが
デザート場にいた店長のもとへ来ました。






『スズキサーン、ティラミスタベタイデース』






そう懇願して
試食という名のつまみ食いをしたロビが
突然項垂れて言いました。





『タクサンタベタイノニ、タベレナイーーー(泣)』






連日の疲れとキッチン内の暑さ。

そこに気候という湿度が加わって

ティラミスが喉を通っていかないと言うのです。




このロビの一言で
店長の中にある『王道ティラミス』のピースが
バラバラと崩れたんです。





イタリア人
ティラミス大好き
イタリアと日本
気候の違い
湿度
疲労
味のメリハリ
酸味



これらの新たなピースが加わって出来上がったのが
店長が作るティラミスでした。
(後に『邪道ティラミス』と命名する)



この味の構築が

今の店長の料理の礎になっているといっても
過言ではありません。





ていうか。


やっぱり若いときから
料理オタクだった…



年月の重みよ。。。








店長のデザート大好きなロビの




“タクサンタベタイノニ、タベレナイーーー”




という嘆きの一言があったからこそ誕生した

『邪道ティラミス』の始まりのお話。








ロビがイタリアに帰るとき
店長は、風鈴をお土産に渡したそうで。
(そういうところマメなんです)
(なのに、隊長が髪切っても気づかない)











ロビの幸せを願って。

Ciao .



隊長