お勤め記録@福島その3 | ぱね便り(旧:V町便り)

ぱね便り(旧:V町便り)

スウェーデン暮らし12年目。おかしいな、いつの間にそんな時間が経ったのだ?と、毎年同じことを考えています。

6月3日(月)続き

 

朝食の席で、チチとの車椅子バトルを展開したぱね。なんとかチチを納得させ(「おとーさんも、学生さんたちを連れて巡検に行った時は、学生さんたちの安全に責任を負う立場だったでしょ?今、私がそれなんです。私は、おとーさんとおかーさんの安全に責任を負う立場なんです。だから、巡検リーダーである私に従ってください!」と言ったのが一番効いたような気がする)、お昼前、まずは最寄バス停から福島駅東口に向かうべく、バス停にGO!

バス停までは200mくらいなのだが、この距離ですら、途中で電信柱につかまって休まないと歩けないチチ。この状態でどうやって東京駅での乗り換えをこなそうと思ったのか謎だが、やはり車椅子の拒否は自尊心と関わる部分が大きいんだろうなと想像。

ともかく、バス停まではいつも通り歩いてもらい、バスを待っている間は車椅子に座ってもらいました。

そしてバスに乗り込む。ぱねは車椅子をたたんで乗車。

東口のバス乗り場で降り、そこからは東口改札まで再び車椅子で移動。チチには慣れてもらわないといけません。

V町の高齢者住宅で訪問介護のお手伝いをしていたときに、たくさん車椅子を押す機会があったので、車椅子を押すことには慣れているぱねだが、今回、日本の歩道で車椅子を押してみて気がついたのが、

点字ブロックの存在

である。目の見えない人たちのために敷いてあるこの点字ブロックが、車椅子移動の際には障害になるというこの皮肉。どうしてもガタガタと振動するのである。チチは単に「長距離歩くのが大変」というだけで一時的に車椅子に座っているだけだが、さまざまな事情から、ほんの少しの振動でも身体に響くと痛みを感じる、などの車椅子ユーザーにとっては、これは辛いだろうなあと思った。だからと言って点字ブロックがなければ、目が見えない人たちが困る。車椅子ユーザーがもっと外で移動しやすくなるように、何かいい方法はないものだろうか・・

・・なんて思ったりもしたが、そもそも日本の歩道にはそれ以前にもっと大きな問題があるんだよね。「平ら」なとこが少ないのだ。路面がデコボコしてたり、段差があったり。2本足できちんと歩ける人、ちょっとつまづいても自力でちゃんとバランスを立て直し、転ばずに済む人の存在しか想定してない。チチに一時期、歩行器を使わせようとしていたときにもそれを痛感したけど、「誰もが安全に外を歩ける」路面には全くなっていないのである。地方都市だからなのか?とも思ったけど、人口が多いところで、路面の整備をもっと考えているようなところでは、今度は歩いている人がそもそも多すぎて危ない・・という状況もあるだろうし。「人間」にふさわしい環境を作る道のりって、遠いのよね・・

・・と考えつつ、福島駅東口改札から西口の新幹線改札へ移動。

さて、東口改札を通るとき、ぱねはうっかり、ハハにチケットを自分で持たせて、自動改札を通らせてしまった。それくらいは問題なくできるからだが(そして実際できるのだが)、問題はその後だった。ハハは、自動改札から出てきたチケットを「どこか」にしまったのだが(「どこ」にしまったのかは、ぱねは見ていなかった)、西口の新幹線改札に着いたとき、当然ハハは「どこにしまったか」を忘れていた。

新幹線改札の手前で、ハハのハンドバッグの中を大捜索し、発見。

チケットは私が持たないとダメだな、と思ったぱねは、「おかーさんのチケットも、ぱねが預かるからね」とハハに伝える。「はい、わかったわ。よろしく」と答えるハハ・・

・・しかし当然、それはすぐに忘れるため、この後ハハは、駅の改札を通るたびにチケットを探してバッグの中を探し始めるのである。そしてそのたびに、「おかーさんのチケットはぱねが持ってるよー」と繰り返すぱね。

で、チチの方。

コロナ前は、それこそ1人で泊まりがけで静岡までS高の野球を見に行っていたチチである(新幹線の予約もホテルの予約も全部自分でやっていた)。ところが今や、福島駅での新幹線乗り場(西口)すらどこにあるのかわからなくなっていたorz。車椅子に乗せられるという大変化に脳みそが全く対応できていないことはあるにしても、やっぱり衰えたんだなあ・・と実感。「それがどこであろうが、時刻表と地図さえあればどこでもスタスタ歩く」とらべるぱねの能力はチチから受け継いだものだが、やっぱり加齢にはかなわないんだな・・。私の30年後の姿でもあるだろうな、と思いながら新幹線乗り場へ。

妹宅に行くためには、東京駅から京浜東北線に乗り換える必要があるのだが、前日、そのルートをチチに説明したときも、「京浜東北線」という名称すらピンとこないようだった。東京駅の乗り換えも問題なくこなしていた昔のチチの姿はもうないのだ・・

・・しかしそれを言うなら、ハハも、認知症以前は、1人で新幹線に乗って、東京駅で乗り換えて、1人で妹宅まで行っていたものである。迷子にもならずにへっちゃらだった。

90歳近くなって、おまけに認知症だもんね。仕方ないことなのだが。

新幹線改札を通り、まずは新幹線の中で食べるためにおにぎりとお菓子(甘いもの)と、お茶を買っておき、その後、ホームへGO!

新幹線が入るまで少し時間があったので、チチには車椅子に座って待機してもらっていたのだが、そこに、駅員のおねえさんがやってきた。「お手伝いが必要ですか?」とお声かけいただいたのだ!ありがとうございます(涙)。チチの場合、乗り込むときには立ち上がって自分で歩けるので、車椅子ごと乗り込む必要はない(だから折り畳み式の車椅子を借りたのだ)。それを説明しておねえさんにはお礼を言ったのだが、この後、改札を通るたびに、どこの駅でも「お手伝いが必要ですか?」と声をかけていただいた。車椅子ごと乗り込む必要がある場合は、事前にアシスタントを予約する?ような仕組みになっているようだったが(そして私たちには必要なかったわけだが)、鉄道各社、いわゆる「バリアフリー」の取り組みは懸命にやっているんだな、と感じられたなり。

新幹線に無事乗り込み、まずはお昼を・・というわけで3人でおにぎりを食べる。普通のコンビニおにぎりだったのだが、ぱねが注目していたのは、ハハがどれくらい食べるか、だった。家ではおにぎり1個すら食べないハハである。食べられるかな・・?

・・と、それとなく観察していると、ともかく30分以上かけて、1個完食。やれやれ、よかった、と心の中で胸をなで下ろすぱね。そしてこの後、夜のお弁当(外のスーパーでお弁当を買ってきて、ホテルの部屋で食べた)も、ハハは、いつもの家での夕ごはんよりは食べたのである。

ハハが食べなくなっているのは、「自分で作ったものをおいしいと感じない」(認知症のせいもあって、味覚が極端に変わっている)、「ごはん作らなくちゃ、という義務感で自動的にごはんは作っているが、それだけで疲れ果ててしまって食欲がなくなる」せいもあるのではないかとぱねは疑っているのだ。だから、「自分で作ったものではない」外のごはんの方が食べられるんじゃないかな?と思っていたのだが・・なんとなく、その想像は当たっているような気もするのである。

東京駅到着後、妹から事前にもらっていた「乗り換え経路」通りに乗り換え。新幹線ホームからのエレベーターの前には大行列ができていたが、車椅子を押しながらその行列の後ろに並ぼうとしていたら、「どうぞどうぞ、前に来て乗って」と手招きしてくださる大きな荷物を持ったおにいさんあり。こういう時でも遠慮するのが日本式なのかもしれないが、ぱねはこんな時は遠慮しません(鼻息)。というわけで、「ありがとうございます!」とお礼を言い、ハハを後ろに従えて先に乗らせていただきました。ありがとうございます・・

・・・そして思った。

あのおにいさん・・・外国人だったな、と。

外国人観光客だったんだと思う。濃い顔はしていたが、多分西洋系だ。「こういう時」のとっさの対応に慣れている人たちなんだよな。本当にありがとうございます。助かりました!

時間は月曜日の午後3時前。登下校の子どもたちが乗り込んでくる直前の時間帯だったから、空いている車両を選んで、京浜東北線でもその後の乗り換えの私鉄でも、チチハハを座らせることができた。ぱねも、折り畳んだ車椅子をおさえながら着席。

そして、東京駅到着からほぼ1時間半後に、ホテルがある最寄駅に到着しました。妹が住んでいるのと同じ路線の駅なので、どの電車のどの車両に乗っているかを彼女にあらかじめ伝えておき、その目的地の駅で合流~。チチハハがナマの妹に会うのはほぼ1年ぶりである。妹はウィッグをかぶって登場した。今、ようやく髪の毛が少しずつ生えてきていて、「自毛」はかっこいい坊主頭、みたいな感じにはなっているのだが、さすがにそんな姿でチチハハの前に現れたらショックを与えるだろうと思ったようである。

その夜は、全員でホテルの部屋で一緒にお弁当を食べ(前述の通り、いつもよりは食べることができたハハ)、その後、甥っ子1号と2号、さらには妹夫も合流して、

チチハハ大喜び、でした。

甥っ子1号と2号はいつの間にか高3と高1になり、チチハハは「街中でばったり会っても、もうわからない」状態。ハハは大喜びでiPhoneで写真を撮りまくっていた。

そして、

「タケルくん(1号)とハヤトくん(2号)にも会えるようになるから、できるだけ早くこっちに引っ越して来れるようにしようね。ぱねが引っ越し先、がんばって探すからね」

と、さりげなく仕込むぱね。もちろん、そんなことハハは数分で忘れるので、100万回ほど繰り返す必要はあるのだが。ふっ。

この晩、チチハハが泊まったツインルームは、幸運にもちゃんとバリアフリー設計になってる部屋だった。たまたま、だったのだが、ラッキーだったー!トイレとバスルームが別で、段差もなく、そこは安心。

・・だったのですが、問題は、彼らが「部屋のドアは、閉めると自動的に鍵がかかり、ルームキー(カード)がないと外からは開かない」というのをもちろん理解できないこと。なので、夜中にどちらかが廊下に出てしまって、部屋に戻れなくなる・・なんてことが起きたらどうしよう??とそれがちょっと心配だったぱねである(←超心配性

まあまだ徘徊するようなことはないし、「ここはホテル」ってのは理解できてるから、心配ないだろうとは思ったのだが、

やっぱり心臓ドキドキの夜を過ごし、あまり眠れなかったぱね。

6月4日(火)

朝、起きて、朝食を食べる前にチチハハの部屋に行ってみると、2人ともちゃんと着替えて待機してました。ふう。よかったよかった。

そして朝ごはん。チチを混雑しているビュフェで歩かせるわけにはいかないので、チチの分は私が取ってきて、ハハは自分で取ったのだが、なんとハハ、自分が取ってきたその朝ごはんを、完食したのである!!家にいるときは、朝ごはんもほんの少ししか食べないのに。

その姿を見ながら、やっぱり、自宅での生活は(ハハは全く自覚してないが)栄養面でも限界なんだなと思ったぱね。家にいても、外からのお弁当の配食とか、ヘルパーさんにご飯作ってもらうとか、そういうことを受け入れられる人であれば話は違うのだろうが、ハハの場合それは絶対に無理だし。

多分、ハハの場合は、施設で3食出してもらう生活になった方が、栄養状態は改善するだろうなと思った。もちろんチチも。

2人に合う施設を、なんとか見つけなくちゃ・・・がんばれぱねー!

この日は、午後3時半くらいの新幹線で福島に戻ることになっていた。妹宅最寄り駅を出るのは午後2時の予定。ぱねは午前中はチチハハを妹に託し、1件、施設見学を入れていた。

というわけで、まずは妹宅最寄り駅にGO!

その移動中(妹宅からは電車で20分ほど離れたところのホテルだった)も、「ここは何て場所なんだっけ?」「これからどこに行くんだっけ?」とチチ。

大混乱であります・・・無理もないわ。

さて、無事、目的の駅に到着し、駅まで妹に迎えにきてもらってチチハハを託し、ぱねは施設にGO!

これがぱねにとっては3件目の施設見学。結果から言えば、とても勉強になり、チチハハの引っ越し先のイメージがようやく「見えてきた」感じになったのはありがたかった!

ただ、この施設の説明をしてくれた人が残念だったのだorz本来説明をしてくれるはずだった施設長さんがなんと、急病で入院しちゃって、ピンチヒッターのおじさんができる範囲で説明してくれたのだが・・。

そのおじさんが、結局最後まで、自分の名前を名乗らなかったのである(泣)。そしてこの人、日本によくいると思われる「人の目を見て話をすることが苦手」なおじさんだった。まあ、いきなりのピンチヒッターで緊張していたんだろうし、そういう人もいるよね、と思うから、仕方ないんだけど・・

それにしても、この人が介護業界で働いてて大丈夫なのか?って気になってしまったぱね。

施設長さんに会えれば本当によかったんだけどなあ・・。

というわけで、見学自体はものすごくためになったんだけど、あのおじさんが残念だったのである。

その後、妹宅最寄り駅にぱねが戻ったのは午後1時。駅を出るのは午後2時にしていたので、ぱねは妹宅には行かず、駅で待機していることにした。もうくたくたで、どうしても糖分が欲しかったので、ミスタードーナツでドーナツを2つ平らげてしまったー。:-D

午後2時近く。妹がチチハハを駅まで送ってくれて、私たちは大遠征復路の途についたのである。

そして無事、東京駅から新幹線に乗ったハハのセリフ。

「これからどこに行くの?」

うちに帰るんでっせー。orz

さて、無事福島駅に帰着した3人はバスに乗り、降りたバス停の目の前にあるスーパー(ハハがいつも爆買いするおなじみのスーパー)でまずは買い物をした。ただしこの日は、夕ごはん用のお惣菜を買っただけ。:-)

そして、スーパーから260mほど離れた(こんなに近いのだ。すごく便利なのだが、だからこそハハはこのスーパーに通って/通えてしまうのである)家に向かい、チチを車椅子に乗せて歩いていたら・・

チチ「どこに行くんだ?」

ぱね「うちに帰りまーす」

チチ「うちはこっちの方角じゃないだろう?」

ぱね「いえ、こっちですよー」

チチ「そうなのか??反対方角だと思うけどなあ」


チチ、大混乱・・・orz

でも、うちのマンションのある道に入ったら、ちょうど、マンションの目の前にある体操デイケア(チチハハが毎週水曜に通っている)から、担当のMさんが出てきたところだった!

「Mさーん!」と手を振ると、Mさんはものすごく驚いた顔をして、車椅子に乗ってるチチに駆け寄ってきた!!

「ヨシオさん!どうしたんですか??」って。

それでぱね、「1泊で妹を訪問しに行っていたんです。新幹線で行ったので、駅で歩くときのために車椅子を借りて行きました」と説明した。そしたらMさん。

「あーそうですかー!いやーよかった!!ケガでもしたかとびっくりしましたよー!」と。

そりゃそうだよね(涙)。いつも体操リハビリに来てる利用者が、いきなり車椅子に座ってたらびっくりするよねえーー

でも、Mさんにバッタリあったことで、混乱状態だったチチは「正気に戻った」(?)らしかった・・・。

このようにして、大混乱チチハハ連れての大冒険は、無事終了したのでした。

ぱね、疲労困憊・・いや、毎日そうだけどさ。

翌日、6月5日(水)は、午後から、チチハハの介護関連の「担当者会議」がありました。これもまた後ほどまとめます・・・

ああ疲れた。orz