最後に爆買い | ぱね便り(旧:V町便り)

ぱね便り(旧:V町便り)

スウェーデン暮らし12年目。おかしいな、いつの間にそんな時間が経ったのだ?と、毎年同じことを考えています。

全力疾走を毎日続けていた気持ちの2週間弱の福島滞在が終わり、金曜日の夜に東京に戻ってきました。

福島2週目も、ぱねは毎日大活躍。

まずは
11月27日、月曜日。

・・しかしまず、話は1週間前に遡る。

そもそも今回の滞在初日(事実上、初日は11月20日(月)であった)。ぱねは、例の恐怖魔窟冷蔵庫を開けようとして、震え上がった。

なぜなら、

そもそも、冷蔵庫のドアがちゃんと閉まらなくなっている

ことに気がついたからである!

よく見たら、ドア下のパッキンが外れているではないか。

ぎゃー!!(絶叫

心の中で恐怖のあまり絶叫しながら、ぱねは考えた。

この三菱冷蔵庫は、2010年製である。かなり古いのだ。しかし両親宅の財政を考えると、そもそも去年の12月にエアコンを新しくしたばかりであり、冷蔵庫を新しく買うことなど無理だ。

三菱電機に電話して、パッキン替えてもらえるかどうか確認しなくちゃ!それも私がここにいるうちに!

と、お客様サポートセンターが開くと同時に電話にしがみつく・・・

・・・つながるまでかなり待ったが、とにかくつながった。そして事情を説明したところ、「部品の在庫を確認して折り返しお電話します」ということになり・・

・・・長い話を短くすると、

1. 部品の在庫はある。
2. 福島県のサービスセンターは郡山市にあるので、そこから技術者が伺うが、伺えるのは最短で11月27日(月)。何時頃に伺うことになるかは、当日の9時から10時の間にお電話でお伝えします。

・・・ということになった。ぱね、まずはホッとする。

・・・で、その「冷蔵庫パッキンの交換」がこの27日(月)だったわけです。

そしてこの日、ぱねは10時過ぎにチチに同伴して銀行に行くことになっていた。三菱のサービスセンターから電話が来てから出かけよう・・と思っていたので、まずはその電話を待つ。

早くも9時過ぎには電話が来て、「12時半から13時半の間に伺います」とのこと。それなら特に問題はない。それまでにはチチも私も家に戻っているし、

そもそもこの日は、13時半から、ケアマネさんたちが、ハハの買い物に同伴してくれるヘルパーさんたち(ヘルパー事業所の担当の人たち)と一緒に来てくれることになっていた。その前に冷蔵庫が片付けばまずは安心である。

銀行の用事が終わり、うちに帰ってきて、お昼ご飯を食べようとしたところに、パッキン交換の技術者のおにーさんがやってきた。20分ほどで交換してくれて、まずはホッと一息。この恐怖冷蔵庫は、1週間前の月曜日に大掃除をしたおかげで、今のところは「見通しのいい」状態にある。しかし、ハハ1人にこの冷蔵庫を任せていたら、また恐怖の魔窟状態になるのは避けられない。だからこそ、冷蔵庫の中を定期的に覗いてくれて魔窟化を阻止してくれるヘルパーさんの助けが不可欠なのだー!その運命のヘルパーさんとの対面はこの時、あとほぼ1時間後に迫っていた・・・

ちなみにハハは、「私はまだボケてない」と思っている・・というか、必死にそう思おうとしているんだと思う。でも同時に、「物忘れが激しくなって、頭がおかしくなってるわあ」ともよく言う。発言内容に一貫性(筋道)がなく、「言っていること」と「やっていること」が全く一致しないのがまさに認知症の現れなのだが、本人はそれを自覚していないわけである。というか、自覚させたところで意味はないし、そもそも、それもすぐ忘れる。

・・・ともかく、「私はまだボケてない」と思っている(思いたがっている)だけに、「ヘルパーさんなんかいらないわよ。自分で全部できてるし」と拒否の気持ちが強いのだ。ただしこれも、場所と状況を選んで伝えれば「そうね、その方がいいわね」という答えが返ってくる。発言に全く一貫性なし。ふっ。

というわけでこの日、実際にヘルパーさんとの顔合わせがどうなるかはちょっと不安であった。ハハは、「外部の人」には愛想がいいので、失礼な態度を取ることはまずないだろうとは思ったものの、心配なことは心配だったぱね。

午後1時半。玄関がピンポンと鳴り、まずはヘルパーさんが2人登場。2人とも女性。年齢は私より少し若いくらい。

どうぞよろしくお願いします、とご挨拶。ハハも愛想よくご挨拶。

・・しているうちに、ケアマネさんたちも到着。今回はハハのことなのだが、チチケアマネのEさんも来てくれている(涙)。

で、テーブルを囲んで全員で色々話し、まずは「週に3回、月・木・土の午後2時から3時半まで」ヘルパーさんにハハの買い物に同伴してもらうことで始めてみましょう、ということになる。

・・・・・面倒な書類の記入やらサインやらも無事済ませ・・・

ヘルパーさんたちには、台所の状態と冷蔵庫の中の状態も見てもらい、写真に記録してもらい・・

「それでは、土曜日の午後2時にお伺いしますね」

ということになったのである。

カレンダーの、12月2日のところに赤丸をつけ、「ヘルパーさん来る」と書き込むハハ(ただし、すぐ忘れるが)。

12月2日には、私はもう福島を離れている。「土曜日の午後2時にヘルパーさんが来る」ことをハハはもちろん覚えてはいられないので、リマインドするしかないのだが、あまりやりすぎると「ヘルパーさんなんかいらない!イヤ!」と言い出すので、そこは加減が必要。がんばれぱね。orz

11月28日、火曜日。
この日は午前10時に、ハハの美容院の予約を入れてあった。最後に行ったのが8月末だったようで、ハハの髪(元々ショートカット)は伸びて相当にヤマンバっぽくなっている。なので、「おかーさん、美容院に予約入れようね」と、美容院に電話をかけさせ、「この日なら大丈夫」という日にちを紙に書き、それを指で指し示しながら予約を入れさせたのである。私はその美容院に行くのは初めてで、場所を知らなかったのだが、ハハは場所は覚えているようだった。

美容院に到着し、ハハとはもう20年以上の付き合いであるそのサロンのオーナー美容師さんにご挨拶。そして、ハハがまず若い美容師さんにシャンプーをしてもらっている間、そのオーナー美容師さん(62歳)に、ハハが認知症を発症していることを伝える。そしたら美容師さん「私の母もそうなんですよ」ですって。彼女のお母さんは96歳だというので、ハハよりもはるかに年上だけど。「最近、そういうお客様が多いんですよ。みんな、古くからのお客様だから・・」と美容師さん。

そりゃそうよね・・これだけの超高齢化社会、認知症のお年寄りなんて、至るところにいるに決まってるのだ。誰もがいつかは通る道、なんだから、お互いに助け合うしかないんだよね・・

髪を切ってスッキリしたハハと、その後、駅ビルの1階を少し回遊。以前はこの駅ビルにもよく買い物に来ていたハハだが、最近はほとんど来る機会はないようだ。以前からの顔見知りの店員さんたちに「あら、お久しぶりです」などと挨拶されるハハ。「最近はなかなかこちらまで来ないのよ」などと答えるハハがカウンターを離れたすきに、認知症を発症していること、今後はもしかしたら、ヘルパーさんと来ることになるかもしれないことを店員さんに伝えておく。

11月29日、水曜日。
午前中のデイケアでの体操にハハ「も」無事送り出し(これに自然に行ってくれるようになればずいぶん違うんだけどね)、ぱねはその間、ハハのiPhoneのOSバージョンアップなどに取り組む。それとエアコン掃除も済ませる。去年の12月に買って以来、掃除してなかったエアコンの中身がどうなっているかがとても心配だったのだが、「・・まあ、これくらいかな・・」程度のホコリで済んでいたのでホッとする。

午後はチチの用事を済ませるために外出に同伴。ハハには「おとーさんの用事が済んだら一緒に買い物に行こうね。だから帰ってくるまで待っててね」と伝えておいたが、

その後、チチと一緒に、ハハがいつも行くスーパーに行ってチチ用買い物をしていたら、

やっぱりそこにハハ発見。あはははは。orz

まあ仕方ない。「覚えておく」「思い出す」という能力が落ちてるのだから、こうなるのよね・・

11月30日、木曜日。
午前中にこれまたチチの用事を済ませるためにチチに同伴して外出。この日は午後1時過ぎに、例の宅配生協の配達がある日なのだが、さて、ハハは、配達の内容が、自分の注文したものより減っていることに気がつくかな?

・・と思って観察していたぱね。配達品を引き取りにマンション入り口に降りる前に、ハハが鉛筆を1本、コートのポケットに入れたのに気がついた。

「おかーさん、どうして鉛筆をポケットに入れるの?」

と聞いてみたら、

「照合するのよ」

とハハ。

なるほど。「照合しなくちゃ」という気持ちはあるんだな、と、ちょっと切なくなるぱね。気持ちはあっても、すぐに忘れてしまうんだよね(涙)。

で、もちろん、実際に照合はせず。配達されたものたちは、冷蔵庫・冷凍庫などに収納されておしまい、だったのでした・・・

この日は、午後に、チチの右耳用の新しい補聴器を取りに行くことになっていた。チチに同行して3時半にその補聴器のお店に伺い、聴力検査やら補聴器調整やらを丁寧にやってもらって、終わったのはほぼ2時間後。補聴器のお店はうちから歩いてせいぜい5分くらいのところなのだが、チチはくたびれて、いつものヨタヨタ歩きがさらにひどいヨタヨタになり、おまけにすっかり日が暮れて真っ暗のなか帰ってきたので、とても怖かった(泣)。冬の間は、暗くなったら外出などしないのが一番だよね、とチチと改めて確認したのであります。

そして最終日。12月1日、金曜日。
私は借りていたウィークリーマンションをチェックアウトする日。まずは両親宅から借りていた掛け布団だの枕だのシーツだのを両親宅に返却し、その後、大きなスーツケースをコンビニから羽田空港に送ってしまい、それからウィークリーマンションの部屋に軽く掃除機をかける。

そして、午前中にチチと今後の「財政健全化計画」について話し合い・・というかぱねが作った予算案をチチに見せ、説明。その時にチチが、自分がもっと歳をとり、動けなくなったら、

「ユキコに近くに住んでもらいながら・・」

と、考えていたらしいことを知る。orz

「おとーさん、それは無理です」と、キッパリ答えるぱね。「私には私の生活がある。私の生活はスウェーデンにあるの。それを捨てるわけにはいかないの。へも(妹)も同じよ。あのね、静岡のおじいちゃんとおばあちゃんが歳をとって、今のおとーさんの立場だった30年前には、親が歳をとったら子供が面倒をみるのが当たり前だったけど、今は違うの。世の中には、子供がいないお年寄りもたくさんいるし、子供がいいても、うちみたいに遠くにいる、というお年寄りもたくさんいるでしょ。そういう人たちでも困らないようにできた仕組みが、介護保険制度なの。これは30年前にはなかったものなの。できたのは2000年だからね。その介護保険制度を通じて、ケアマネのEさんやTさんや、ヘルパーさんが、おとーさんとおかーさんをサポートしてくれるのよ」

と、説明したら・・・

チチ、

「そうだったのか!」

だってさ・・・・orz

とにかく日本の介護保険制度、始まってもう23年もたってるのに、どうしてこんなに認知度が低いのだ?と、いつも不思議に思う。みんな自分の収入から毎月介護保険料払ってるのに?いつかはみんな、必ず必要になることなのに?制度が複雑すぎるのか、それとも「親の面倒は子供がみるのが当たり前」意識がいまだに根強くあるからなのか?全く謎だよ・・・

というわけで我が家では「私も無理、妹も無理」である以上、介護保険をフルに使うしか方法はないのだ!だからぱねが今回(今回「も」)これほどのフル回転を成し遂げたのだよ・・・(泣)。

その後、ぱねは台所の換気扇の掃除をし、トイレの掃除もし(トイレはそれほど汚れているわけではないものの、やっぱり一応ね)、トイレに冬用の簡易ヒーターを置き、今年の冬が厳寒にならないことを心の中で祈願した。どうかどうか、暖冬になりますように・・!!

そして、夕方の新幹線で福島を離れたのでした。今回は午後5時近く、日が暮れてから家を出たので、チチハハとは玄関口でお別れ。いつもこの瞬間がたまらなくイヤなのだが、今回はなんというか、それほどまでに気持ちが沈まなかった。「やりきった」気持ちになったからかもしれない。私にできることは、とにかく全部やった、という気持ち。これ以上は私には無理。できないことは、できないんだし。orz

そして、翌日。12月2日、土曜日。

運命のハハの「ヘルパーさんお買い物同伴第1回目」の日である。

前日までに私はヘルパーさんに「現在冷蔵庫に入っている主なもの」情報を渡し、「多分、必要になると思われるものは卵とパン」という情報を流していた。ヘルパーさんが午後2時にやってくることをハハはおそらく覚えていないので、土曜日の午前中に軽くリマインドも入れておく。リマインドしすぎてハハに拒否反応が出ないように、微妙なさじ加減で・・。

ともかく、午後1時45分。私は予定通り、ハハに顔電話をかけた。「もうじきヘルパーさんが来るからね」とハハに伝えつつ、ちょうど私はその時友人たちとお昼を食べているところだったので、友人たちの姿をカメラに映し出すなどし、さらに友人たちは2匹のワンも同伴していたので、そのワンの姿などもカメラに映し出し、動物好きのハハの気持ちをそれでグッと引きつけるなどして、玄関で「ピンポン」が鳴るまで引っ張り続けた・・・

・・・ら、午後2時少し前に、ピンポンが鳴った!

ヘルパーさん登場!

「こんにちはー」という声が聞こえ、カメラの向こうにヘルパーさんの顔が映る。「こんにちはー、今日はどうぞよろしくお願いします」と私も挨拶をする。

ハハは、ヘルパーさんが家に上がるのを別にイヤがる様子もなく、「どうぞどうぞ」と招き入れている。そして台所にも抵抗なく招き入れ、ヘルパーさんと冷蔵庫の中を一緒にのぞきこむなどし、あれがある、これがある、などと話している様子である。事前の情報伝達通り、ヘルパーさんが「卵は・・」などと言っている声も聞こえる。

うむむ。なんかうまく行きそうな感じ?

と思っていると、ハハ、

「じゃあ、買い物に行ってくるわねー。行ってきまーす」。

「行ってらっしゃーい」

と、そこで顔電話を切るぱね。

・・・・やった!

やったぞ!とにかく無事にヘルパーさんと一緒に出かけて行ったようだ!

まずは初回、成功!・・だと思うぞ?

・・・・
・・・・

 

で、その後。

ハハに「ヘルパーさんとのお買い物は無事終わったかな?」とメッセージしたら、「ハァーイ、終わりましたよ、ありがとう」との返事。

・・・しかしハハの言うことは信用ならんので、やはりここはヘルパーさんからの報告を待ったほうがいいな、と思うぱね。

しばらくして、ヘルパーさんからも「いろいろ、楽しくお話ししながら行って来ました」という報告が来た。

・・・まずは、よかった・・(泣)

なんとか今後、この「ハハとヘルパーさんお買い物プロジェクト」が軌道に乗ることを祈る!次回は早くも明日、月曜日なのだが、明日の午後2時はぱねは飛行機の中であり、昨日のようにハハに顔電話作戦を展開することができない。明日は私なしでもなんとかなることを祈るしかない。明日を乗り越えれば、次の木曜日はぱねはもう家にいるので、スエ時間の早朝にまた顔電話作戦を展開できるのである。

・・・というわけでですね。

今年の5月をさらに上回るハードな大活躍をしてペラペラに擦り切れたぱね。

今夜は、蒲田のホテルに前泊なのですが。

先ほど、蒲田駅前のドンキで、思わず大好きな米菓その他を爆買いしました。 

 

 

自分の中で、何かがプチッと切れた音がしたのでした。ふっ。

自分の記録用にも書いた福島滞在記、長々と失礼しましたー(平伏