高卒認定試験本番、そして大学のAO入試 | 高校中退者が塾長になった話。

高校中退者が塾長になった話。

都内の私立高校を半年で中退し、その後10年のブランクを経て、高校卒業程度認定試験を取得。大学に進学。紆余曲折あり、塾長になった話。

本編の続き。


高卒認定受験期、

予備校のクラスメイトから刺激を受け、

自分の経験を活かせる仕事に就きたいと思い、

私はとある大学に話を聞きに行った。

特待生試験の受験資格を得られる

AO入試を勧められ、

高卒認定の試験日を待たずに、

大学へ願書を出した。


25歳の11月、

高校卒業程度認定試験の受験日を迎えた。


直前に予備校の先生から

「入り口でサポート校のパンフレットを

配ってるから、それをもらってきなさい。」

と言われていた。


高校卒業程度認定試験とは、

全科目が合格点に満たないと

取得にはならない。


落ちた科目は、

サポート校でレポートを出し、

数回のスクーリングで単位がもらえるという。

だが、その費用はとてつもなく高い。


「1科目でも多く、受かりなさい」

そう予備校の先生に言われた。


私に全科目を合格できる力がないことは

明白だった。

それを私を含めた誰もが思っていた。


私は不安でいっぱいの中、

試験会場に行った。


試験会場の大学へ行き、衝撃を受けた。


そこには、たくさんの人が居た。


ここにいる人たち、

全員高校卒業してないんだ。


そう思ったのを今でも鮮明に覚えている。


10代20代も居たが、多くは主婦層だった。

私の席の前に座っていたのは、

どう見ても70歳を超えた男性だった。

老眼鏡をかけ直しながら、

最後の追い込みをかけていた。


年齢は様々だが、一見、普通の人たち。

とても高校を卒業してない人たちとは思えない。

だが、みんな何かしらの想いを胸に

今日を迎えてこの場所に来たんだ、

そう感じた。


試験時間はあっという間だった。


帰りにサポート校のパンフレットを

もらって帰った。


地理ができなかった。


落ちたかもしれない。


試験前よりも不安になった。


速報が出て、自己採点をした。


    

国語 68
数学 70
英語 68
現代社会 79
世界史A 58
地理A 50
生物基礎 76
科学と人間生活 60


高卒認定試験は、

40〜50点が合格点のボーダーだと

言われているが、

地理がギリギリだった。


受からないかもしれない…

そう思ったが、後の祭り。


後日、大学へAO入試に行った。

AO入試は2回あった。


1回目のAO入試の日目前、

私は以前大学に訪れたときに

話をしてくれた先生のことが

気になっていた。

ネット検索で

その先生が出ている動画を見つけ、

夢中になって見た。


2回目のAO入試を終えた日、

偶然オープンキャンパスをやっていたので、

私は大学の許可を取って

学校見学をさせてもらった。

(普通、見学が先だと思うけど。)


見学をさせてもらう中で

学食の無料券をもらったが、

オープンキャンパスは終盤、

学食が終わる時間であった。


最後の部屋を訪ねた時、

ある先生に言われた。

「学食食べておいで。待ってるから。」

その先生は優しく迎え入れてくれ、

私のことを待っていてくれた。

カウンセリングの専門家であり、

私が学びたい学問とは少し違ったが、

臨床心理学の先生であった。


私は思わず、その先生に

スクールカウンセラーに裏切られ、

不登校になった過去を話した。

その先生は優しく話を聞いてくれた後に、

「そのカウンセラー、良くないね。」

と言ってくれた。

後に私は卒論を書くゼミに

この先生を選ぶこととなる。




AO入試の結果通知が来る日は、

高卒認定試験の合格通知が来る日と

同じ日だった。


家とマンションの1階にあるポストを

忙しなく往復し、結果を待った。


どっちが先に来る??


不安でいっぱいだった。


先に来たのは、高卒認定試験の結果だった。


「合格」


力が抜けた。よかった。


そうこうしているうちにAO入試の結果が来た。


「合格」


こうして私は、晴れて高卒認定試験に合格し、

大学入試も合格したのであった。


だが、喜びもつかの間、

次に待っていたのは、特待生試験だった。


学費の一部を免除してもらえるという

特待生試験を受ける必要があった。


受験科目は、国語と英語


もう二度と勉強したくない

と思っていた英語との縁は切れず、

私は再び英語の勉強をすることになった。


圧倒的に語彙力がなかった私は、

とにかく単語を詰め込んだ。


特待生試験までの1週間、

1日13時間、英語の勉強をした。


高卒認定の受験期よりは

気持ちがラクだったものの、

それでも英語の勉強は苦しかった。


何度も逃げ出したくなったが、

必死で勉強し、

特待生試験に合格。

学費の一部を免除してもらった。


こうして、受験期を無事に終え、

私は25歳の春、

大学生になった。