これに似た感慨に「本当に映画すきなら、映画から離れてくれ」と映像学科時分に「本当にどうしようもない」作家希望者に感じたのを思い出しました。
駄作続きの映画を頻発させられて、学生映画はどーしよーもねーなー・・に括(くく)られた側は「俺のはどーしよーもなくねぇえよ!」って心底はらわたが煮え繰り返った側でした。
「漫画家あるある」なんですけど、小林さんていうアシスタントの方がいて、その人の絵がめちゃくちゃ光ってるんですよ。もちろん、本当に光っているワケじゃなくて、あまりにもうまいから発光してるように見えるんです。「これが、プロの絵なんだ」って思って。
だって、こっちはね、それまで世界でいちばん絵がうまいと思って生きてきたのに、「あれ? ぼくよりうまい人がこんなところにいるのか」って思ってね。ちょっと自信をなくしましたよ。ま、当たり前なんですけどね。
あー。
あれは、どういう基準なんだろう? それから、何人か新しい人が入ってきたけど、ぼくが見た基準でいうと、漫画がずっと好きで、自分で同人誌を出すような人は、あんまり残れない。どちらかというと、人間的にタフな人の方が重宝される。
実際、どう考えても、ヤンキーあがりっていうか、族あがりみたいな人もいましたけど、その人もデビューしたはずですよ。絵のうまいヘタっていうのは、半年や1年ぐらいやっていると、自然と上達するんです。あんまり大きな声では言えませんが、ぼくとほとんど同期で、今や日本を代表するヤンキー漫画を描いて、「ばっこちゃん」と呼ばれていた人も、一時期ここでアシスタントをしていましたが、最初はそんなに絵がうまくなかった。
でも、見るみるうちに上手になって、独自の世界を表現する漫画家になっちゃったんですから、この世界もわかんないもんですよ。
🐼も漫画講座で口にしてるのは「やめない人はプロになります・・・いつか」です。
生涯やめないでいたら、プロですよそんなの。やめないんですから。
でもね、こんな逆説めいた言い草が、さほど嘘でもないし、記事にもあるように、タフさは何事にも苔の一念岩をもなんとやらで、「上手くなってく」んですよ。使えるくらいまでにね。
なんとかなるんですよ。
周りが折れる・・ってことも、人生にはありますしね。案外面白いんです。