視聴者が気にする部分は絵柄でありストーリーであるときに、背景や色彩設計に自分が心取られているのに気づく人はマニアかクリエーターサイドの人。思いの外ここのセクションの威力に徹底的に負け越して、作品世界に没入をさせられまくってる事実は大きいのです。
魂はディティールに宿る、のですから。
朝焼け、夕焼け一つに囲まれたりするだけでも人の心って「雰囲気に飲まれる」を起こします。歓楽街を夜に歩いても、大雨のさなかでも、風の吹きすさぶ中を歩むときだって、アニメの中でそれらを見かけたら、そこの全部に背景があり、色があり、その逐一に「その場面に仕込むべきもの」として、意図を混ぜ込み、しかも自己主張はなさらぬ控えめな演出家。
色を構成するときに「明度・彩度・色味」が要素にあり、このうちでも「彩度」に着眼する人は少ないはずです。「色は、あらかじめあるもの」以上に認識しにくく、ましてや「赤っぽけりゃいい」「青と緑の・・間くらいかな」など、大ククリ以上の語彙すら一般人には持てないでしょうし、必要でもありません。
一般の写真や趣味のイラストなどと違い、アニメにおける、その上映時間全部に背景も色もあり、その全時間に与する影の立役者。その「狙い目」が効果するときの、そのスタッフの嬉しいこと。それは表立って活躍する存在ではないかもしれないけれど、つくり手なら「またあのひとに頼もう」になれるほど、安心して任せられるんですよね。そこ、すごく大事な「世界の構築者」なんです。