(これは数十年前のエッセイです)
毎日暑いですね。2007年夏。
いやーね。身体が梅雨から夏にまだ慣れきらない昨今です。
朝夜ない働きから、体力不足を感じた私は、夜中(いや、早朝か)にふと思い立ち、ちまたでウフフな話題の「ビリーズブートキャンプ」をやってみましたよ。開始3分前まで全然やる気なんてなかったの。ビール飲んでさー寝るかくらいのぐったりさ加減の朝3時でしたから。
DVDをプレーヤにかけて、ほろ酔い気分で見始めたら、ホラ、あのビリー・ブランクスさんが軽妙な音楽にのせて歓迎ムードでようこそっていってくるじゃないですか。
うふふ、そうか、そうですか、じゃあやりましょうか、ってなんか面白くなってきて、部屋で踊り始めた自分がスッゲー違和感があって、その違和感そのものが面白くなってきて「うわー、なに俺?早朝になんで踊ってんのん?」とあざ笑いながら続けてたら今度は熱が入って来て、懸命に追い付かなくっちゃと大汗かきながら続けてるのね。
凝り性ではあるのでいったん面白くなると続けてしまうタチなので必死になるのね。
ビリーのダンスは間断なく動き続けるものです。一つの挙動から次の挙動に移るまでにインターバルの最中すら腕をふり続けますし、マーチをしたりと忙しいのです。
立ったり座ったりしゃがんだりパンチしたりキックしたり、なんせまあ身体の筋肉のあちこちをまんべんなく使うのですが、うまーいこと使う筋肉が少しづつシフトしているので「疲れきる」前によその筋肉が忙しくさせられて、そうそうへこたれる間も与えてくれません。へこたれそうになるとビリーがテレビから言うのです。
「効果は保証する。最後までついてきて欲しい」
熱い!熱い男じゃのう!ビリー。
うんわかった、ぼくついてくよ!って絶妙に逃げ出す口実も与えないDVDの魔力に30分以上経ってから「うわー、俺、なんでこんなに大汗かいてんのん!?」とようやく驚く始末。
モーションの一つ一つは軽妙でわかりやすいです。誰でもその気になってさえいればかなり続けることができます。
くり出す動きそのものは簡単なのでできるんですけど、1セット8回を4セットは続ける場合、後ろに流れる音楽通りに間に合って動き続けるためにはかなり早く「動きを戻す」というスピードも求められ、ああ、出し続けるよりも、戻し続けるスピードそのものが随分大事だなあ、って感じました。
DVDの中ではアメリカンな人たちがビリーの後ろで
「YEAAAA!!!!」とドス声発しながら気合いを投げ込んできます。ビリーバンドなんか持とうものならきっとものすごい筋肉がついてくることでしょう。
1日目は経過35分で腕立て始めるところでノックアウトしまして、そのまま逃げ出すように風呂場で湯舟に浸かり、身体をほぐしました。散々ほぐしたのに、翌日はもも、腹筋、肩がまるで他人のもののように痛く、効果の適切さを感じました。
日常生活で使わない部分がこんなにあるんだなってことでしょう。あとストレッチの意味合いも随分あることが分かってきました。鍛える、以外に延ばす、縮めるというのも筋肉には意味があるんですね。なんとまあ自分の身体の思い通りにならないことよ。ホホホのホ。
2日目。今日は昨日に負けるもんか!って気合いが入りまして、まず倍にしました。ビールの量を・・・・ああ、俺、酔っぱらえば諦めると思ったのに・・・生来の性格なんでしょうね、酔っぱらったくらいじゃ辞める理由になんないんですよ、わたし。
「ブートキャンプにようこそっ!」ハイ、ビリー。グッドナイト。今晩もがんばるザマスとまたも早朝3時にスタート。
アハハハなにしてんだ俺っ!残り少ないなけなしのガッツをこんなブートキャンプにやつしてる場合かよ、って踊ってたらおや?昨日は気にもしなかったところが痛くなってるよ?おお?昨日はなんともなかったモーションが重くなってるよ、と感じ受けるものが同じDVDでやってるのに違うのね。すごいなこれって。
俺の身体なのになんだか別のものみたい。
動きは昨日見てるから、ぎこちなさは少し減り、今度は自分が如何に身体がかたいか、のびたり曲げたりできていないかが分かりました。
昨日はおいつくのに必死だったのね。今日はよーく自分の身体の部品を見てみたら、ああっ、ちゃんと伸ばしてないじゃん、ああっ、ひざついてるじゃん!ああっ、省いてるじゃん!などとこっそりへこたれてた自分を節々に発見し、厳密に、追い付きながらやろうやろうとしはじめてる自分を発見したのです。
まーこのビリーさんのかけあいが本当に絶妙でね、あきらめそうになったり、へこたれそうになるあたりで、こっちをみこしてうまーいことはげましてくる。
「ここががんばりどころだ」
「腹筋に効いてきてるのがわかるだろ?」
ええっ、ビリー、うん、そうなんだよ、なんで分かるの?すごいね、うんじゃあわかった。がんばるよボク。って続くんだな、延々と。
そのうちビリーの言葉もモーローとして聞き取れなくなるまでやって、はじめてDVDのボタンを「停止」と押すだけで止められることに気付き、2日目は36分目の「ランニング」でへこたれきりました。またも倒れ込むように湯舟にドボン。さんざんほぐしたんですよ。
なのに翌日は体中の筋肉が「もーだめー。死んじゃうー」というので休ませました。つまり3日目は「やりませんでしたー」、なのでした。
つまり初級すら完了していないんですね。ああ無理さ、ぼくのような志もないままにはじめるフランキーなスタンスのボクには無理なのさ、ってなもんでした。でも効果はかなり期待できますよこれ。
集中プログラムのふれこみはあなどれません。筋肉もつくし、ストレッチもかなり人間のやわからみに寄与します。
つか周りの人がかなりやりこんでいます。男女問わず、です。
面白いからでしょうね。結果もアメリカン好みに非常に早くわかってくる。
「あれだけやって筋肉がつかないわけがありません」といってた人の気持ちが分かりました。
「平日にやっちゃいけません。休みの前の日とかがいいです」と言ってたのも本当です。
あとお風呂は用意しておいてからはじめましょう。ある程度動けるスペースも要ります。
ああでもわかんない。なんで俺こんなののはじめっちゃったんだろ?今年は本当におかしいや。
どうしちゃったの俺。いや、随分愉快なんですけどね、実際。あはは。