「独裁者と小さな孫」
原題:The President
公開:2014年
製作国:ジョージア/イギリス
フランス/ドイツ
監督:モフセン・マフマルバフ
脚本:モフセン・マフマルバフ
マルズィエ・メシュキニ(英語版)
音楽:グジャ・ブルドゥリ
タジダール・ジュネイド
出演:ミシャ・ゴミアシュヴィリ
ダチ・オルヴェラシュヴィリ
どこでもないどこかの国。街はイルミネーションで彩られ、活気に溢れている。
大統領は孫とともにきらびやかな街を見下ろし、電話一本で街の灯りをつけたり消したりしてみせる。
無邪気に驚く孫。しかし不穏な空気はすぐそこまで忍び寄っていた。
この作品が寓話的に感じるのは、架空の国という設定もあるが、主役2人のキャラクターによるものも大きいと思う。
特に孫の存在は大きく、支配する側とされる側の間に立つ無垢な視点が、様々なことを考えさせられる(しかも超かわいい)。
しかし内容は悲痛だ。
冒頭のきらびやかな街は大統領の視界に入る範囲だけであり、そこを外れれば独裁政治の実態が見えてくる。
悪魔のような独裁者に苦しめられていた人々が、今度は悪魔になる。そんな光景を、私たちは現実に何度も見てきた。
どこでもないどこかの国は、実はどこにでもある国なのだ。
独裁政治やそれが崩壊した後の社会というものを、面白い切り口で痛烈に描いていると思うが、詰め込みすぎだったり語らせすぎだったりと、監督のメッセージ性が強すぎる気はした。
孫に関しては存在だけで様々なことが伝わってくるのに、色々言わせすぎているように感じる。
また、終わり方は考えさせるものなのに、それまでのメッセージが強すぎて、観客に委ねているように思えない。
そういった点は好みではなかったが、設定や映像の雰囲気、音楽、そしてキャスティングはとてもよかった。


