黄 昏 ハ ン ド メ イ ド 。 -6ページ目

黄 昏 ハ ン ド メ イ ド 。

耕 せ ば ま た よ み が え る 星 だ か ら ぼ く ら は 両 手 を も っ て 生 ま れ た

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「ぼくを探しに」


原題:Attila Marcel

公開:2013年

製作国:フランス

監督、脚本:シルヴァン・ショメ

出演:ギョーム・グイ

         アンヌ・ル・二

         ベルナデット・ラフォン

         ヘレン・ヴィンセント



幼い頃に両親を亡くし、そのショックで喋らなくなってしまったポールが、偶然出会ったマダム・プルーストによって過去の悲しみと対峙するというお話。

大好きなアニメーション映画「イリュージョニスト」のシルヴァン・ショメ監督による初の長編実写映画。

しかもプロデューサーは「アメリ」のクローディー・オサールということで、視覚的に楽しい映画であることは間違いないと確信しての鑑賞。


間違いなかった!(笑)


実写になることでショメ監督の世界観はどうなるんだろうと思ったけど、なんて言うのかな…実写になったことで少しだけその世界観に自分が近づけたような気がした。


ポールは人と関わりを持たず、一緒に暮らす伯母2人とも、必要最低限のことを黒板に書いてやりとりしている。

そんな彼の至福の時間はシューケットを食べながらピアノを弾くこと。

ピアノに並んだシューケットがまあ可愛い。

これ観たら絶対シューケット食べたくなるよなぁ…と思ったら、パンフレットにはレシピが載っていたのだそう。

そういうとこ素敵(笑)


ポールは同じアパートに住む怪しげなマダム・プルーストの作る怪しげなハーブティーによって、悲しくて蓋をしていた過去を旅することになる。

徐々に明かされていく過去はミステリー要素もあり、悲しい出来事もあるのだが、そういったものも全てが優しいフィルムに包まれているような作品で、観終わった時の心がとても穏やかだった。


喋らないポールを演じたギョーム・グイの不思議な魅力が良い。

と思ったら回想でプロレスラーの父親を演じてたのもギョーム・グイ。

あまりに雰囲気違くて分からなかった…凄いなこの人。

「イリュージョニスト」同様、切なさが心地よいキラキラした映画だった。




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「幸せなひとりぼっち」
 
原題:EN MAN SOM HETER OVE
公開:2015年
製作国:スウェーデン
原作:「A Man Called Ove」
         フレドリック・バックマン
監督、脚本:ハンネス・ホルム
出演:ロルフ・ラスゴード
         バハー・パール
         フィリップ・バーグ
 
 
毎朝家の周りをパトロールし、ルール違反を見つけては細かく注意するのが日課のオーヴェ。
 
愛する妻をなくし、仕事も失い、生きる意味を見失ったオーヴェは、自ら命を絶とうとする。
 
しかし、ひとり静かに旅立とうとするオーヴェの行動は、向かいに引っ越してきたパルヴァネ一家によって、ことごとく邪魔されることになる。
 
 
スウェーデンといえば福祉に力を入れていて、お年寄りに優しい国という印象がある。
 
しかしこの映画で描かれるスウェーデンの現状は、高齢化社会で数々の問題を抱える私たちにも共感できるものだった。
 
そしてこの映画がスウェーデンで「スターウォーズ」よりヒットしたというのは、この問題が身近である証拠だろう。
 
 
オーヴェは59歳。立派な体格で足腰も丈夫。口も達者で見た目はとても元気だ。
 
しかし愛する妻に先立たれ、子どももいない。唯一の生きがいだった仕事も、リストラの対象となり自ら辞めてしまう。
 
家に帰ればひとりぼっち。他人との会話はルールを守らない者への文句。弱音を吐けるのは妻の眠る墓の前でだけ。
 
きっとオーヴェって傍から見たら、「あの人絶対100歳まで生きるよね」とか言われちゃうタイプなのだと思う。
 
そんな彼が死を選ぼうとする理由が、生きている「苦しみ」ではなく「諦め」であることがつらい。
 
 
そんなオーヴェの心にズカズカと入ってくるのが、向かいに越してきたパルヴァネ。
 
オーヴェのような口煩いおやじがいたら、敬遠する人がほとんどだろう。
 
でもパルヴァネは気にしない。怒られようと煙たがられようと、自分の扉を全開にしてオーヴェに近づいてくる。
 
日本で言えば、「煮物作り過ぎちゃったのよー」と持ってくるおばちゃんみたいな感じなのかな(笑)
 
要するに二人は、昔はどこにでもいたけれど、近所付き合いが希薄になった現代では煙たがられてしまう、そんな存在なのだ。
 
 
時代が変われば生き方も変わるし、「昔はよかった」って言葉は好きじゃない。
 
でも、私たちが見失っていることは確かにある。
 
オーヴェの心の、鎖でがんじがらめにされた扉なんて、パルヴァネみたいにトンカチでガンガン壊さなきゃ開けられない。
 
そんなパルヴァネがいなければ、間違いなくオーヴェは首を吊って死んでいたのだ。
 
 
映画ではオーヴェの人生を振り返ることで、冒頭で「こんな爺さん近所にいたら嫌だわー」なんて思ってた人も、いつの間にか感情移入してしまう。
 
でも現実は違う。それこそパルヴァネのようにズカズカと入って行かなければ、その人のバックボーンなんて見えない。
 
いま目の前で笑っている人が「死にたい」と思っていることだってある。

その時、自分に出来ることはあるのだろうか。

 
重いテーマを取り扱いつつも終始笑いを忘れない作りが素晴らしく、回想で描かれるオーヴェと妻の物語も美しかった。

映画館が、温かな笑いとすすり泣く声で溢れていたのが印象的だった。






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原題:Les heritiers

公開:2014年

製作国:フランス

監督:マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール

脚本:アハメッド・ドゥラメ

         マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール

出演:アリアンヌ・アスカリッド

         アハメッド・ドゥラメ

         ノエミー・メルラン



様々な人種や宗教が混在するパリ郊外の貧困層地区。

レオンブルム高校の落ちこぼれクラスを受け持ったのは、歴史教師のゲゲン。

誰もが彼らをあきらめ、彼ら自身も自分をあきらめている。

そんな教室でただひとり、あきらめることを知らないゲゲンは、生徒達に全国歴史コンクールへの出場を提案する。


実際にあったこの出来事を、60ページ程のシナリオにして監督のもとに持ち込んだのは、本作でセザール賞有望男優賞にノミネートされたアハメッド・ドゥラメだ。

彼はレオンブルム高校の卒業生であり、この出来事の体験者である。

学校や大人達が“いい話”として持て囃すのではなく、生徒側から生まれたということが、この出来事の素晴らしさを物語っている。


今を生きる生徒たちは、コンクールへの挑戦を通して、過去の暗く重い扉を開けることになる。

写真や映像を見て、その場所を訪れ、生存者の話を聞く。

私たち観客も、それを追体験しているような感覚だ。

特に実際の生存者が語る話は、ひとつひとつの言葉がとてつもない重量を持ってのしかかってくる。

このシーンを観られただけで、この映画を観て良かったと思えるほどの力があった。


しかし、それ以外は平凡に感じた。

いい話をただなぞっているという印象しか受けなかった。

せっかく本当の生徒がいるのだから、彼をもう少し掘り下げるなり、どこかに焦点を当てれば全体が引き締まったのではないかと思う。

そういった点は少し残念だったが、歴史に触れるという点では入りやすい作品かもしれない。



そして相変わらずなにこの邦題…。