黄 昏 ハ ン ド メ イ ド 。 -23ページ目

黄 昏 ハ ン ド メ イ ド 。

耕 せ ば ま た よ み が え る 星 だ か ら ぼ く ら は 両 手 を も っ て 生 ま れ た

またまた行ってきました。千葉市美術館。

もう友の会入ってしまおうかしら。

今回行ってきたのは
水彩画家・大下藤次郎の展覧会。

明治時代、旅行で訪れた房総で
自然の美に目覚め
日本各地の風景を水彩で描いた藤次郎。

製作の傍ら指導や普及活動にも
力を入れていた彼の画業を
水彩、スケッチ、絵具箱など
120点以上の展示から振り返ります。

展示は藤次郎が写生を始めた
1892年の作品から始まり
房総や関東各地の風景画へと進みます。




小石川 1896年

まず藤次郎の絵を見て最初に感じたのは
水の描き方のうまさでした。

この絵でも水に不思議な透明感があり
水面にすっと入る白線が印象的でした。


1898年、藤次郎は海軍の遠洋航海に
明治美術会の特派員として同行し
船員の様子などをスナップで撮るように
100枚近いスケッチを描いています。

さらに船から見える広大な海の風景を
水彩画としても残しています。




シドニー湾 1898年

この空と海は本当に素晴らしかった。

どうやって描いているんだろうと近くで見ても
どうやって描いているのかわからない。

というか、同じように描いても
こうなる気がしないんです。




赤道直下にて 1898年

藤次郎がこの船旅で
一番感動したという赤道直下の海の風景。

波の立たない静かな海と
空に混在する鮮やかな色彩。

空と海以外なにもない
静寂に張りつめる空気が
伝わってくるような作品でした。




秋の雲 1904年

これはもう藤次郎の
雲の集大成というような作品。

これから「雲」と聞いたら
この絵を思い出してしまうだろうなと
思うような印象的な絵でした。

晩年になるにつれて
絵はより写実的になっていきます。




多摩川湖畔 1907年

こちらは水の集大成といった感じ。

点描のような独特の作品でした。


藤次郎の作品はとにかく色彩が美しく
本当にこんな色をしていたんだろうなと
確信してしまうような色使いでした。

水彩画の素晴らしさや可能性を
改めて感じさせてくれる展覧会で
スケッチブックと絵の具だけを持って
どこかへ出かけたくなりました。



島根県立石見美術館所蔵 水彩画家・大下藤次郎

千葉市美術館 2014.5.20 ~ 2014.6.29






チョコレートドーナツ

2012年 アメリカ

監督:トラヴィス・ファイン  音楽:ジョーイ・ニューマン

出演:アラン・カミング、ギャレット・ディラハント、アイザック・レイヴァ



1979年のアメリカ。

ゲイであることを隠しながら弁護士として働くポールは
いつか自分の声で歌うことを夢見て
ゲイバーで踊るルディと出会い、恋に落ちる。

ルディの住む安アパートの隣室には
麻薬中毒の母親とダウン症の息子マルコが住んでいた。

全く育児をしていない様子の母親に憤り
マルコを心配するルディ。

ある日母親が逮捕され
マルコは強制的に施設に連れて行かれる。

施設を抜け出し彷徨うマルコを見つけたルディは
彼を育てていく決意をする。


前評判もよく、連日満員と噂の作品を観てきました。

私が観たのは千葉劇場の水曜昼間でしたが
まだ席には余裕がありました。

都内などでは売り切れ続出みたいだったので
千葉、穴場ですよ(笑)


で、作品の感想ですが…

泣きました。声を殺すのに必死でした。

「泣く」とは聞いていたのですが
それは感動の涙というより怒りの涙でした。


麻薬中毒の母親のもとで
愛されることを知らずに育ったマルコ。

そんなマルコと出会い母性に目覚めるルディ。

戸惑いながらも力を尽くそうとするポール。

徐々に家族になっていく3人の姿は
観ていて本当に微笑ましいです。

しかしそこに立ちはだかるのは差別と法。

今より差別や偏見に溢れていた時代に
2人の進もうとする道はあまりにも困難でした。


2人が男女のカップルであったら
家族になることはきっとそれほど難しくない。

でもゲイのカップルだというだけで
彼らがどんなにマルコを思っていても
誰よりマルコを幸せに出来るとしても
家族になることが出来ない。

そして、その先に待っている結末。

いまこうして思い出しても涙が出てきます。

悔しくて、やるせなくて、涙が出ます。


残念な点としては
ルディとポールがなぜ惹かれあったのか
2人のこれまでの人生
ルディがマルコを育てようと決意した過程など

背景をもう少し描いてくれると
さらに感情移入しやすかったのかなと思います。

また、この物語では
麻薬中毒の母親や強制的に入れられる施設は
完全なる悪のように描かれています。

それは偏った見方だと言われても仕方ないと思います。

ただ、それらを悪として描くことで
ルディとポールはゲイであること以外は
どんな両親より理想的であるという構図が生まれるので
それでも認められない不条理が際立つとも言えます。

それから、ゲイやダウン症を題材にすることで
泣かせようとしているというような意見もあるようです。

たしかにフィクションなら私もそう思うかもしれません。

でもこれは実話なんですよね?

だとしたらそれは感動の押し付けでもなんでもない。

事実を知らせているだけのことです。

もしマルコが健常者で
映画にする段階でダウン症の設定にしたというなら
話は変わってきますけどね。

そうではないことを願います。


ただこの作品には
映画としてどうこうという議論を超越するものがあります。

もしそんなことで観るのをためらったりしたら
きっと後悔すると思います。

これは決して過去の話ではありません。

今でも同姓婚や同姓カップルが養子をもつことを
認めている国はごくわずか。

反対派がデモを起こしたり
逆に養子を持つことを禁じた国もあります。

少しずつ社会が変わっているとしても
本当に根深いのは
人々に根付いた偏見なのかもしれません。

正直、私も全く偏見がないかと問われたら
迷わず「はい」とは言えないと思います。

でも、だからこそ
この映画に出会えたことを本当に感謝したい。

そして一人でも多くの人にこの映画を観てほしい。

もしそこに偏見が混じっていてもかまわない。

ただこれが事実であることは忘れないでほしい。

実際にルディとポールのようなカップルがいて
マルコのような少年がいたことを忘れないでほしい。

それを作品として残したことが
この映画の本当の意味です。

この映画には意味がある。

この映画には意義がある。

私はそう思います。


今年2回目の千葉市美術館は
中村芳中の展覧会。

江戸時代後期に大阪を中心に活動し
光琳の画に傾倒したらし込みを多用した
作品を多く残した日本画家です。

江戸琳派の祖として知られる
酒井抱一と同時期の画家ですが
抱一とはまた違う魅力があります。



扇面貼交屏風より「波に千鳥」

扇面貼交屏風は
扇面図を集めて屏風として仕立て直したもの。

芳中は扇面図をたくさん描いていたらしく
いろんな扇面図が展示されていました。

その中でも目をひいたのがこの「波に千鳥」

なんなんすかこの可愛さ。




「白梅図」

芳中の代表的な作品。

これでもかと多用されたたらし込みと
これでもかと簡略化された梅の花が印象的。




「白椿図扇面」

こちらはなんと煙管で描かれた作品。

芳中は指や煙管でも絵を描いていました。

きっとあるものでちょちょいっと
絵を描いていたんだろうなぁ。




「月に荻鹿図」

この鹿のアホ面ったら…(ごめんなさい)

思わずにやけてしまう可愛さです。




「托鉢図」

これも可愛かったー。

表情豊かなお坊さんの行列です。


展覧会では芳中の作品と共に
同じ琳派の画家の作品や
当時の大阪画壇の作品も展示されていました。

とにかく芳中の絵は可愛くて
グッズたくさん作って!って感じでした(笑)

それぞれの絵につけられた解説も面白く
とても癒される展覧会でした。



光琳を慕う-中村芳中

千葉市美術館 2014.4.8 ~ 2014.5.11