黄 昏 ハ ン ド メ イ ド 。 -11ページ目

黄 昏 ハ ン ド メ イ ド 。

耕 せ ば ま た よ み が え る 星 だ か ら ぼ く ら は 両 手 を も っ て 生 ま れ た

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「いとしきエブリデイ」

原題:EVERYDAY
公開:2012年
製作国:イギリス
監督:マイケル・ウィンターボトム
脚本:ローレンス・コリアット
         マイケル・ウィンターボトム
音楽:マイケル・ナイマン
出演:シャーリー・ヘンダーソン
         ジョン・シム


父親が刑務所に入り、仕事をかけ持ちしながら幼い4人の子どもを育てる母親。


家族の楽しみは、休日に電車に乗って父に会いに行くこと。そして、一日でも早く父が帰ってくること。

そんな家族の5年間を、5年かけて撮影したドキュメンタリーのような作品。



この作品のすべては子どもたちの成長が物語っている。


子役の4兄妹は本物の兄妹で、住んでいる家、通う学校も本物だそうだ。


そのリアルな空気感が、どんな演出やセリフよりもこの作品のテーマを物語っている。


だからこそ、それ以外に説明的な要素を一切入れず、ただただ子どもたちを丁寧に撮っているところに好感が持てた。


5年もあれば様々なことが起こる。大人だろうが子どもだろうが、どこにいようがその長さは変わらない。


しかし置かれている環境や、何をするかによって、短くなったり長くなったり、薄くなったり濃くなったりする。


だとしても。


私たちは生きている限り積み上げている。そして、その積み上げた上で生きているのだ。



ドキュメンタリーに近い空気ではあるが、美しい映像と美しい音楽がこの作品をエンターテインメントとして引き上げている。


特にラストシーンは芸術的で、音楽とともにとても印象に残った。



原題の「EVERY DAY」はこの作品を非常に的確に表していると思うが、邦題にはお決まりのごとく余計なものがくっついている。


いとしいかどうかは観る側が決めることだろうに。


そういうものを観客に委ねるタイプの作品だけに、原題そのままでいってほしかった。








「いとしきエブリデイ」公式サイト




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「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」

原題:The Imitation Game
公開:2014年
製作国:アメリカ、イギリス
監督:モルテン・ティルドゥム
脚本:グレアム・ムーア
原作:「Alan Turing: The Enigma
         アンドリュー・ホッジス
出演:ベネディクト・カンバーバッチ
         キーラ・ナイトレイ


イギリスがドイツに宣戦布告した1939年、数学者だったチューリングは、ナチスの暗号機エニグマを解読するために結成されたチームに参加する。

しかし彼は仲間と協力することなく、ひとり黙々と暗号解読のためのマシンをつくり続ける。


最初は反発していた仲間たちも、新聞広告から採用された女性クラークの計らいによりまとまり、ついにマシンは完成する。


しかし、暗号を解読した彼らには残酷な運命が待っていた。



素晴らしい作品だった。


彼の壮絶な人生をとても丁寧に描きながら、2時間弱におさめた手腕は凄い。


ベネディクト・カンバーバッチも、これだけ人気があるのが頷ける素晴らしい演技だった。


ストーリーもかなり忠実に作られていて、多少脚色はあるが、個人的にはそれも敬意をこめた脚色であると感じた。



ラストは「チョコレートドーナツ」を観たときと同じような、感動とは違う怒りの涙が溢れた。


彼はエニグマを解読により戦争終結を2年以上早めたと言われている。


また、現在のコンピュータの元になる概念を考えた人物でもある。


しかし彼の死後恩赦が認められたのは、なんと2013年なのだ。



わたしたちは過ちから学ぶことが出来る。でもそれを忘れて、また同じ過ちを繰り返す。


だから、それを忘れないために芸術があるのだと私は思う。


戦争はたくさんの人生を奪い、差別はたくさんの人格を奪う。


今の世界を彼が見たら何と言うのか、聞いてみたいと思った。



しかしなんだこの余計な副題…。








「イミテーション・ゲーム」公式サイト




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「8月の家族たち」

原題:August: Osage County
公開:2013年
製作国:アメリカ
監督:ジョン・ウェルズ
脚本:トレイシー・レッツ
原作:「August: Osage County
         トレイシー・レッツ
出演:メリル・ストリープ
         ジュリア・ロバーツ
         ユアン・マクレガー


アル中の父の失踪をきっかけに、母の元へ集まった三姉妹とその家族。


久しぶりに囲んだ食卓から、家族の秘密が

次々と暴かれていく会話劇。


原作はピューリッツァー賞を受賞した同盟戯曲。



冒頭、メリルストリープが登場した時のインパクトったら。


過大評価されているなんて誰かさんが言っていたが、よく知りもせずに攻撃しているのはあなたの方では?と言いたくなる。



家族ひとりひとりのキャラクターが濃く、そのうえでそれぞれが抱える秘密が怒涛のごとく暴かれていくので、その衝撃が凄まじい。


彼らが作り上げた砂の城は、灼熱の太陽でひび割れ、秘密が暴かれる度に見るも無惨に崩れていく。


家族なのに罵り合うのか、家族だから罵り合うのか。


あそこまでぶちまけられる関係というのは、正直少し羨ましくもある。


……まあ、言い過ぎだけども(笑)



この映画はコメディに分類されている。


たしかにストーリーだけを辿ればコメディなので、原作は突き抜けたブラックコメディなのかもしれない。


でもこの映画に関していえば、かなりシリアス寄りに撮られているように思えた。



役者の演技ばかりに目が行きがちだが、映像の美しさも印象的だった。


家族というのは本当に特別な関係。近いからこそ分かり合えることがたくさんあり、近すぎて見えないこともたくさんある。


それでも私たちはきっとまた、砂の城を作るんだろうね。







「8月の家族たち」公式サイト