久しぶりの伊坂さんの長編。
2008年に本屋大賞と山本周五郎賞を受賞。
その後映画化もされた超話題作。
仙台で行われたパレードで首相が暗殺される。
容疑者として名前が挙がったのは、元宅配ドライバーの平凡な青年。
彼が昔強盗犯を捕まえてマスコミがとりあげたこともあり
その名前と顔は全国に垂れ流される。
見に覚えのない主人公は無実を訴えるが
その背後にとてつもなく大きな力の存在を感じ
親友の「生きて逃げろ」という声を胸に、得体の知れないなにかから逃げる。
ストーリーだけを追ってしまうと
国家の陰謀を描く社会派ミステリーのようにみえる。
実際、そう思って手にとってしまった方は
内容にガッカリしたという意見もあるようです。
でも伊坂さんが描きたかったのはたぶんそこじゃない。
「人物」に視点を当てると、もうひとつの物語が浮かび上がってきます。
「思い出っつうのは、だいたい、似たきっかけで復活するんだよ。
自分が思い出してれば、相手も思い出してる。」
たぶんこれは、人と人のつながりの物語。
人と人のつながりほど危ういものはなくて
人は時に疑心暗鬼になり、自らそのか細い糸を切ってしまったりする。
主人公はこの、誰も信じられないような状況の中で
まっすぐに人を信じようとする。
その主人公の心が、奇跡のようなつながりを引き寄せる。
ミステリーとして読んでしまうと
都合がよすぎたり、現実的じゃない場面も多く、つっこみたくなるかもしれません。
でも、だからといって本を閉じてしまうのはあまりにももったいない。
そういうものが、たくさん詰まっています。
平凡な一市民を追い詰めていくその強大な力がなんなのかは明かされず
すっきりしないという意見もあるようですが
この「すっきりしない」気持ちこそ、真の恐怖のような気もします。
これこそが、いちばん現実的だと、あたしは思います。
物語は五部で構成され
一部から三部がプロローグ、四部が本編のようなかたちになっています。
この一部から三部の書き方がうまく
ここを読んでしまうともう本を閉じる気になれません。
そして五部はなんというか、おまけです(笑)
でもこのおまけに、泣かされます。
いい小説だと思います。
映画版もずっと気になっていたんですが
原作を読んでから観たかったので、もうこれから借りに行こうと思います(笑)
主人公が堺さんてのは知ってたんで、読むときも当てはめて読んでたんですが
これはほんとうにピッタリな気がする。
そしてキルオ役が濱田岳くん!!!!!
これにはちょっとびっくりしたんですが
個人的に伊坂作品に濱田岳くんは外せないと思っているので楽しみです。
…とここまで書いてちょっと調べてみたら
実はキルオは伊坂さんが濱田くんをイメージして書いたらしい!
そしてそれを本当に濱田くんが演じたのかぁ。
これは楽しみだー。
