14:42、携帯から聞いたことのないチャイムが鳴った。
警戒レベル4 避難勧告と書かれた
区役所からの緊急速報メール。
こんなの受け取るのは初めて。
うちは対象地区外だったけど
例の地下神殿はどうなっとるんじゃい!なんて
首都圏外殻放水路 のことをあらためて考えてみたら、
あれはもっと上流の方に有効な施設であって
この辺の下町の0メートル地帯には、あまり関係ないんだな。
だんだんと台風は近づいてくる。
まだ動けるうちに避難してくださいと祈るしかない。
18時過ぎ、台風は神奈川県の小田原あたりに上陸。
東京も雨風がどんどん強くなってきた。
近所の自動車板金工場のトタンが吹き飛んでいくのが見えた。
向かいのビルの非常階段にぶらさがった非常口のピクトさんが
もげそうな勢いで激しく揺れている。
こんな感じ。 でかくて強いのがゆっくり北上している。
ハギビス(Hagibis:すばやい)という名前とは裏腹に
ゆっくりとこちらに向かってきていた。
雨もこんな分布図になっていた。
ただ、実感としては風に引き飛ばされてるのか、
我が家のある湾岸部ではさほど雨量は感じられなかった。
こんな中、犬の散歩をさせている強者がいたくらい。
でも正直、「アホか」 とは思ったけど、
まだ共用廊下に出て写真を撮ってるような余裕はあった。
しかし、そんな時に追い打ちをかけるように地震発生。
(18:22)
発表では震度2となっていたけど
うちは確実に震度3の揺れがあったぞ。
幸いそんなに揺れは長くなくてまもなく落ち着いたけど、
建物は強風によってそれからもしばらく
小刻みに震えていた。
そのうち、家の排水管がごぼごぼ言い出した
と思ったら、まもなく完全に暴風圏に突入。
窓ガラスが風圧でぐわっぐわっって歪んでいるのが判るくらい。
我が家は二重サッシになっているのだけれど、不安になった。
軽くこんな状態になっていたんだと思う。
今さらながら、気休めでも養生テープしとけばよかったと思った。
割れて室内に飛び散ったら、厄介どころの話ではないからね。
昼間こういう窓を見て、「大げさに騒ぎすぎなんだよ」
と鼻で笑っていたけど、今はすなおに 「馬鹿にしてごめんなさい」
という気分だ。
風でアパートの建物自体が細かく揺れているのも判った。
こんな台風、東京では初めての体験。
沖縄で直撃を受けたことはある。
誰も乗っていない軽自動車が、駐車場を滑っていくのを見てビビった。
不安と同時に、台風の最中に近くの川とかを見に行って
被災する人の気持ちがなんとなくわかるような気がした。
「近くの運河、どうなってるかな?」と頭によぎった。
危ないのは充分解っている。
でも単純に、どんな状況なのか知りたい気持ちが沸く。
たしかによく言われている 正常性バイアス が
その時の気持ちにはかかっていた。
そんな状態が約40分間。
そして急に静かになったと思ったら、
外からは秋の虫の音が聞こえてきた。
間もなく月も見えてきた。 たいしたもんだな。
遠くで緊急自動車のサイレンが鳴っている。
ひとりでじっと室内で台風の通過に耐えてるのって
別になんにもしてないのに疲れるんだね。
いい経験にはなった。
今回の台風により被災されたみなさま
心よりお見舞い申し上げますとともに
1日も早い復興をお祈りしております。