俺は思い切り2-2教室のスライド式ドアを開けた。壁に当たって跳ね返ったが、それを手でガシッと止めた。
俺は教室の隅々にまで首を巡らせた。あいつはどこに……。
「おい。あいつはどこだ?」窓際で呆然と突っ立っている一人の少年に声をすごませて訊いた。少年は震える人差し指を右側に向け、「2-3教室……」と答えた。
バッ
俺は隣の教室に怒鳴り込んだ。
「お一!出てこい!隠れてんな、こンクソヤロオォォ!!どこにいる!?姿を現せぇぇ!」
「おいおいおい。なんでそんなキレてんだよ?」掃除ロッカーの戸が開き、中から「そいつ」が出てきた。「落ち着けよ。まず、キレてる理由を話せ」
「誰がお前の命令なんて聞くか!!」
「カームダウン、カームダウン(英語で【落ち着け】の意)」
「うぜえ!」俺はそいつの元に駆け寄ると、懇親の力をこめてそいつの顔を殴った。
バシッ
「痛えっ!」
「当たり前だろ!痛くしたんだからな!」
バシッ
更に一発殴った。
「わかったわかった!ごめん!許せ!お願いしますぅ!」そいつは俺の前にひざまずき、地面に頭をこすりつけながら謝った。「すいませんでしたぁ!後でよくこの忌々しい口を叱っておきますから!」
ハッ!?もう一発殴ったろか!?反省してねえだろ、お前!
「次、こんなまねしたら蹴り飛ばすぞ!」俺は怒りに体を震わせながら、荒々しく教室を出て行った。
すると、後ろからそいつが慌ててついてきた。
「えっ!?帰るの!?まさかっ!そんなことないよね?ねっ?ねっ?……なんか返事してよぉ!ねえったら!メンバー紹介だってば!皆待ってるんだからさあ!ねえ!お願いだよぉ!」
「嫌だねっ!お前なんかと組みたくねえ!」俺は怒鳴ると、トイレに駆け込んだ。個室に逃げ込み、そいつの呼びかけをずっと無視した。
翌日、俺は竹内楽器とかいうところの貸しスタジオにいた。
目の前には、学校のよりもかっこ悪いドラムセットが置いてある。
はっきり言って、ダサい。
「おうし、じゃあ、早速あわせるかあ」
そいつが言った。