ところで、その頃広場に並ぶ店々の陳列台の下を一人の少年が物凄い速さで駆け抜けていた。手を伸ばし、片っ端から品物を掴んでは、背中に担いだ大きな袋に投げ入れていく。そのあまりの速さに店主はおろか周りの人々でさえ少年に気付かない。

 そして、少年はついにメイスに店の下まで来た。今までどおり品物を掴んでは袋に投げ入れていく。しかし、メイスは全く気付いていない。鏡で自分の顔をうっとりと眺めていたのだ!時折、「ああ、なんて俺は……」などとつぶやいている。道行く人達は、彼の方を見ないようにしていた。いい年した男がこんなことしているのだから、気持ち悪くて仕方がない。少年はメイスの店をあっという間に過ぎていった。

 そして、袋が一杯になるとさっさと広場から去っていった。

 それから暫らくして、広場では「くそっ、やられた!」という呻き声があちこちかた飛び交った。

 メイスなんかは髪の毛を引っ張り、地団太を踏んで声にならない叫び声をあげていた!



今回は少し短いですね。すみません。次回はもうちょっと書きます…。