箱から生まれた椅子:スガベルロ・チェア | 東京の高級アンティーク家具店パンカーダのブログ

箱から生まれた椅子:スガベルロ・チェア

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椅子の名前:The Chair for something special
特別な響きをもつ椅子の名前をその由来と共にご紹介する特別企画
第三回:スガベルロチェア
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Sgabello/スガベルロ(スガベッロ)とはイタリア語で丸椅子(スツール)のこと。

そしてSgabello Chair/スガベルロ・チェアとは、15-16世紀頃からイタリアで流行し始めた小ぶりな椅子のことを言います。



Side chair (sgabello a dorsale)
late 16th century
Italian, Rome or Florence (?)
MET museum(pubric Domain)



形としての特徴は背もたれ、そして前後二枚の脚が板状になっていること。
もともとは背もたれはほぼ逆三角形であり、座面は八角形、座面の下には収納がついており、中世の収納箱から発展したパターンの椅子と考えられています。


その後イタリア以外にも広まり、様々なデザインがみられるようになります。




"Sgabello"-Type Chair with Scrolls
16th century France
作者不明
wood (walnut)
Walters Art Museum(Pubric Domain)



当初はサイドチェアとして幅広く使われていたようで、このような場に使われている様子が17世紀にオランダの画家バルトロメウス・ファン・デル・ヘルストによって描がかれています。



by Bartholomeus van der Helst(Dutch painter)1653


他のタイプの椅子が発展する中で、やがて装飾用として使われる機会が多くなっていきます。


例えば「hallway/ホールウェイ/玄関、それに続く廊下」におかれ、一族のビジネスにおけるシンボルや紋章などが彫り込まれたりしました。



特徴あるフォルムは現代の椅子の源ともいえるものであり、イタリア・ルネサンス、および古代ローマ時代からの意匠性を繋いできた貴重な椅子であるといえるでしょう。

http://pancada.net/item/chair/cat50/post_1236.html

 


現代日本では、やはり玄関等、お屋敷の顔となる場所に置いて頂くのがおすすめ。
軽く腰掛けたり、鞄などの一時置きに重宝しますし、ゲストが思わず驚く意匠性は、絶好のカンバセーション・ピースとなることでしょう。

風格ある姿でお屋敷の品格を高めてくれるスガベルロ・チェア。
貴方のお屋敷の門番のように、置いてみてはいかがでしょうか。

 

by N