~葉巻をくゆらせて:アルフレッド・ダンヒルが築いた英国紳士像~ | 東京の高級アンティーク家具店パンカーダのブログ

~葉巻をくゆらせて:アルフレッド・ダンヒルが築いた英国紳士像~

 

葉巻は非常に奥深い世界です。

 

 

その歴史は古く、古代中米の喫煙方法とされています。当時は儀式などに用いられ、宗教的な意味合いの強いものでした。


メキシコには7世紀末のマヤ神殿にはたばこを吸う神の像が刻まれているレリーフが残されています。

 

 

 

 

1492年にコロンブスが辿り着いたアメリカ大陸で、彼は葉で出来た筒のようなものから煙が出ていて、それを口にくわえる先住民の姿を目撃します。
それがヨーロッパ人が最初に見た葉巻でした。

 

ヨーロッパに伝播した葉巻は貴族や商人たちが嗜むようになり、嗜好品として味や香りを愉しむようになりました。
葉巻のほかにパイプや嗅ぎたばこなどそのスタイルは様々で、それらを保管するヒュミドール(葉巻用保管箱)やスナッフボックス(嗅ぎタバコ入れ)は煌びやかに装飾されました。

 

 


 

 

喫煙の習慣が広まった中で、イングランド王ジェームズ1世は実はたばこ嫌いだったそうです。在位後間もない1604年には「タバコ排撃論」を発表し、、当時スペインから輸入していたタバコに約40倍という莫大な関税をかけ、さらに国内での栽培を禁止しました。


皮肉なことに、すでにあらゆる人々の習慣となったタバコは高すぎる関税のせいで密輸入が増加し、結果的には喫煙の風習は拡大してしまいました。

 


 

 

17世紀半ばにコーヒーハウスが誕生するとタバコはさらに広がり、葉巻やパイプを片手に政治について議論を交わしたり、新聞や雑誌を読んだりする紳士の姿が多く見られ、社交の場で欠かせないものとなりました。
その後は庶民や女性の間にも広がり、刻みタバコを紙で巻いたシガレットを吸う女性の姿も見られました。

 

 


 

 

1907年、ロンドンのセントジェームズにオーダーメイドのタバコ店がオープンします。オーナーは世界的高級メンズファッションブランド、ダンヒルのアルフレッド・ダンヒル (1872-1959)。


アルフレッドは15歳のときにロンドンにある彼の父が経営する馬具店で見習いとして働き始めました。1893年に家業を引き継ぎ、自動車アクセサリーという新たな事業で「エンジン以外は何でも揃えている」というほど多くの商品を手がけ成功を収めました。
当時の店名は「ダンヒルモートリティーズ」。
自動車(Motoring)と権威(Authorities)を組み合わせた造語で、ダンヒルを象徴する言葉となりました。

 

アルフレッドの好奇心旺盛な性格と豊かな創造性、大きな野心が事業を躍進させ、メンズラグジュアリーグッズの先駆者となりました。

 

 


 

 

オーダータバコ以外にも、ライター、シガーカッター、そしてパイプなどタバコに関連する多くの商品を揃えました。上質の素材を使い、洗練された品のあるデザインは英国紳士のスタイルを確立していきました。

 

英国の元首相ウィンストン・チャーチルもダンヒルの葉巻を注文していたと言います。第二次世界大戦中にダンヒルの店が爆撃の被害にあったとき、マネージャーから首相官邸へ「あなたの葉巻は大丈夫です」と電話があったという有名な逸話もあるそうです。

 

 

尽きることのない葉巻の魅力。
パンカーダでは、そんな魅力の詰まったヒュミドールをご覧いただけます。

http://pancada.net/item/subcategory_a/post_1516.html


 

 

by A