薔薇とアザミとシャムロック ・・・今後の運命は?
英国のEU離脱。
2016年6月23日の国民投票で離脱派への支持が51.9%となりました。
前回スコットランドのこともあり、「揉めるけど、結局残留なのではないか」と思っていただけに、とても驚きました。
この結果が引き金となり、スコットランドとイングランドの分裂、そして北アイルランドとの分裂・・・と混乱の時代の幕開けになってしまうような気配すら漂っています。
英国アンティークを扱っていると、折々に見えてくるのは、それぞれのつらい歴史です。イングランドとスコットランドの長い長い対立、ひどい戦争。
それだけに、過去にひとつになったときに(それがイングランドがスコットランドを飲み込んだことであっても)薔薇(*1)とアザミ(*2)を美しいステンドグラスに共に並べ、未来への糧とした人々がいたであろうことに、英国人の強さを見てきたように思っていました。
アーツアンドクラフツの象徴的なシンボルのひとつであるシャムロック/三つ葉(*3)は、イングランドでとても愛されているモチーフであり、家具でも時々目にすることができます。
薔薇とアザミとシャムロック。
英国の紋章にも登場しているこれらの草花が、紋章から消えてしまう時が来るのでしょうか。
変換の時代が始まりそうな今、ちょっと昔の映画からのセリフをご紹介いたします。
007 ロシアより愛をこめて/1963年 制作:英国
”My reading of the British mentality... is that they always treat a trap as a challenge.”
“ 罠にあえて挑戦するのが英国人気質だ ”
犯罪組織"スペクターの幹部が、ジェームズボンドへの復讐のための罠をはる時に言ったセリフ。結果、ボンドはもちろん見事に危機をくぐり抜けるのですが・・・。
果たして、今回の危機の行方は、どうなるのでしょうか。
by N
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薔薇(*1)
イングランドを象徴する花。15世紀の薔薇戦争からうまれたチュードル・ローズ(赤い薔薇のなかに白い薔薇がある)が紋章に使用されています。
アザミ(*2)
スコットランドを象徴する花。13世紀、夜の闇にまぎれてスコットランドを攻撃しようと裸足で身を潜めていたヴァイキングたちが、アザミのとげを踏み、その痛さに思わず声をあげたことによって、スコットランドの人々が侵略の危険を察知した、という言い伝えから。
シャムロック(*3)
アイルランドを象徴する草。守護聖人、セント・パトリックを象徴するモチーフです。
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