名画にみるアンティーク:賑やかなおしゃべり | 東京の高級アンティーク家具店パンカーダのブログ

名画にみるアンティーク:賑やかなおしゃべり

今日はとびきりエレガントな絵を生み出す画家をご紹介します。


チャールズ・ジョセフ・フレデリック・ソウラクロス
/Charles Joseph Frederic Soulacroix(1825-1879)は
1825年にフランス南部・モンペリエに生まれました。



1849年にパリのサロンでデビューした彼は、その優美な世界観と巧みな筆致で、
当時の富裕層に絶大な人気を得たと言われています。


「The proposal」



エレガントなドレス。

凝った壁紙。

高価な家具。

シルクサテンのファブリック。




「A Lady in her Boudoir 」




彼の生涯は長くはありませんでしたが、その間ずっと評価が高く
現代でもその人気は衰えていません。



さて、この絵。




タイトルは「A Stirring Conversation」


「賑やかなおしゃべり」と訳せばよいのでしょうか。



一方、この絵は過去にクリスティーズでオークションに出品されたこともあり、
その時のタイトルは「Afternoon Tea for Three 」となっています。
副題でもあったのかもしれません。




貴婦人が三人よりそってのお茶会。


上流階級の夫人らしく、白い滑らかな肌。


ご婦人だけで寛ぐお茶会らしく、それほど着飾り過ぎない、

ゆったりとしたドレスに身を包んでいます。




それでも、輝くようなサテンのドレスはその肌触りまでも伝わってきそう。


軽食やお菓子もいらない、お茶と、おしゃべりが主役の小さく優美なひととき。



三人の輪の中には、彼女たちに負けないほどに優雅なテーブルがひとつ。


なめらかな曲線の脚が美しい、小さなオケージョナルテーブルです。
恐らく脚は真鍮かブロンズ、天板は石でしょうか。
華奢に見えても意外に重いのかもしれません。



このテーブルがここにあるからこそ、ドレスのしなやかさ、優しい色合いが引き立つようになっています。


少し素材は異なりますが、良く似たフォルムのオケージョナルテーブル がパンカーダにもございます。




素材は銘木、ローズウッド。


象嵌の天板も見事ですが、しなやかな脚のフォルムが

まるで重力を感じさせないよう。



19世紀後半、フランスはナポレオン・ボナパルトの甥による第二帝政が敷かれていました。政治の動乱のなかにも、しっかりと腰を据えていた富裕層は間違いなくしたたかに生き延びていました。そして、そんな動乱があるからこそ、フレデリックの美しい絵が人気だったのかもしれません。



三人の貴婦人たちのように、綺麗な脚のテーブルをひとつ、
ティータイムのお共にいかがでしょう。





19世紀後半のフランスが生んだ、ひとときの夢を共にみながら。


by N