ボビンレッグとは | 東京の高級アンティーク家具店パンカーダのブログ

ボビンレッグとは

ボビンレッグ/bobbin turned leg とは、スピンドル/Spindle、

スプール/spool レッグとも呼ばれる家具の脚のデザインのこと。



実際には、脚のみならず貫や背もたれなどにもしばしば使用され、
ボビン・糸巻きが連なるように、球体に近いパーツが連続する意匠です。





由来ははっきりしませんが、英国では既に17世紀からこの意匠が見られます。


こちらはV&A美術館所蔵のひと品。




1640-1660年に作られたと思われる「Backstool」です。
チェア、というよりはスツールにバック(背もたれ)がついたもの、という扱い。


オークの構造体に革が張られ、
ディスプレイよりも実際にダイニングチェア等として使用されていたものです。



やはりこちらもV&A美術館所蔵。




ボビンの意匠はテーブルの脚とストレッチャーに及び、

各ボビンの形に太細がみられます推定年代は1670-1700年。


球体が連なるようなこのデザインをなぜ「糸巻き」になぞらえたのでしょうか?




由来は定かではありませんが、昔から糸を紡ぐことは女性の典型的な仕事だったため、中世のヨーロッパでは「糸巻き」は、女性の典型的な持ち物として女性そのものを象徴し、さらに女系親族の暗示、あるいは女性の仕事、女性の自由な意思を象徴しているといわれます。



グリム童話の「眠れる森の美女(茨姫)」が糸紡ぎの針に指を刺されて眠りに落ちてしまうのもそんな暗喩と思えなくもありません。



多くの家具はやはり家、そして家庭に置くもの。


推測ではありますが、ボビンの家具は女性への尊敬の念を
こめて作られたものかもしれません。


くるくると連なる意匠は、可愛らしく、それでいてたくましく、
連続して果てしない未来へとつながっていくようです。


パンカーダにもボビンレッグの英国アンティーク家具がございます。



お家に置けば、あるときは可憐なお嬢様のように愛らしく、
あるときは頼りがいのあるお母様のように、

貴方を支えてくれるのではないでしょうか。




by N