「あかり」の歴史 ③ ~電気~
あかりの歴史③
~電気のあかり~
19世紀半ばから、電気によるアーク灯は存在していました。
アーク灯は眩しく、高価で、炭酸蒸気をだして空気を汚すため、
街灯や工場などの広いスペースでの使用に限られていました。
英国のスワン卿、そしてアメリカのエジソンによる
実用的な白熱球の発明から普及は1878年以降。
1890年代には街灯や大きな建造物のあかりの大半は、電気で
占められてきましたが、家庭にまで電気をいれられる人はほとんどいませんでした。
1911年に金属製フィラメントの電球が完成してだいぶ安価にはなりましたが、
電気の配線には多大な工事費がかかり、
以前として電気を家に通すことはお金持ちの特権でありました。
多くの家庭に電気が普及したのは、大体1920-1930年代といわれています。
1922年にBBCの前身である国営放送が始まり、
ラジオの普及が進んだことが電力の普及をも推し進めました。
実は、英国においては、アメリカよりも電気の普及がだいぶ遅れました。
英国は1870年代には大都市のガス供給網をほぼ完備していました。
それにくらべ、アメリカでは都市のガス供給網がそれほど完成していなかったため、
電気の整備が比較的スムーズだったといわれています。
「あかり」の歴史のお話は今回でおしまい。
ヨーロッパの古いものを扱っていると、
昔のガス灯を改良して電気の配線をとおしたものや、
キャンドル用のスタンドに電気を通したものなどを時々みかけます。
もしくはその逆・・・つまり一度電気を通したけれどやっぱりキャンドルのみに
したのだろう・・・なんていうものもあります。
ただ、ガラスのシェードや本体のアイアンやブラス、
ブロンズなどはずっと使われてきたものばかり。
色々と手法は違っても、心地良いあかりを表現するために、
様々な工夫と労力が捧げられてきたのでしょう。
ひょっとして、将来、電気に代わる光源が出てくるかもしれません。
それでも、きっと人はまたその光に、古いガラスシェードを
かぶせるのでしょうか。
・・・そうであってほしい、と思います。
そのときまで、そしてその先までもずっと手元に置きたくなるような
本当に良いもの。
是非、手に入れてください。
パンカーダのあかりのコレクション、こちら
からご覧いただけます。
by N