さてリメイクさんを後にすると、今度は北上。あのアクアショップ・finさんです。だいたい年に一度は日本へ帰るようにしているのですが、地元の名古屋の熱帯魚屋さん以外では、まずfinさんにうかがいます。旧店舗時代からご主人の小林さんのセレクションには目を見張るものがありました。まだK2やサビーといった日系ブラジルの業者から、世界初と言われる魚が入荷していたアツい時代に、素晴らしい魚達を見せて頂きました。何より産地の情報の信頼度がネットを通じて格段に上がった事が、それまでの熱帯魚飼育の趣味レベルと違いました。採取業者から直接チャットで産地情報が聞けた時代に入り、熱帯魚飼育が盛り上がった時期でした。とにかく京都のfinさんには、特別個体や特殊なナマズ、特に美しいプレコの入荷には昔から定評が有りました。
このfinの小林さんの偉業は、いち早くから美しいHypancistrusの血統を見い出し、ブリード技術を確立しラインブリーディングを始められた事だと思います。まだリアル表現が遺伝するのか分からないうちからブリードの可能性を検証した事が、現在様々な美キンペコをブリードする趣味の世界につながったと思います。そして運命とも言えるCF血統との出会いが有り、今現在でもこの血統が持つ魅力を引き出し続けています。累代を重ねてなお素晴らしい表現の幅を見せるこの血統は、finさんのブリーディング技術で花開いたと言えます。日本はL236に関してはドイツに遅れをとった感がありましたが、L333のクオリティに関しては世界トップです。世界ではインペのようにどの子供も安定して同じ形質が得られるラインが人気であるのですが、同じ一腹でも生まれてくる子供達が様々な表現を見せる日本のL333には、また違った楽しみ方があると思います。
さて今回は、いつもながらのヒパンキ話の他にも、若い店員さんのシノピーさんを交えてお話が出来ました。私達が伝えられるうちに、こう言った若い世代の方が一緒にこの趣味を広げていく事は非常に重要だと思います。我々が30-40年間培ってきたものが、この先彼等の代でどの様に進化するのかを一緒に見ていける事は、楽しみでしかありません。
また来年1月にも、finさんを訪れる予定ですが、私は個人的にCF血統の家系図が欲しいところです。
さて実はこの夏、我が家では旅行中に停電が起こり、バックアップバッテリーが思ように作動しなくなる事故が有りました。すぐさま知り合いに救助を求め、バッテリーのスイッチを手動で入れて頂いたのですが、デカい親もののプレコを全て殺してしまいました。体がデカい分、酸欠に陥るのが早かったようで、ウチのブリード用の親魚は全て死んでしまいました。先回紹介した10年もののアラグアイアパナクエも居なくなってしまい、急遽水槽の整理をし、120匹のキンペコ、3匹のポリプ、その他諸々を売りに出して再スタートを切りました。プラチナロイヤルとジャマシンのサンダー幼魚、そしてセレクトされたHypancistrusだけに絞り、現在水槽を再編成中です。
そんな最中にも、トカンチンスのボウズロイヤル、ペルーのフォークテールアカリ、そして最近では8年ぶりに入荷のあったドラゴンハイフィンを仲間に加えました。