前回の記事、L174として紹介した個体群は、キングゼブラやキングダップルド(L399/L400)では?とご指摘を頂きました。調べてみるとその通りですね。現物をそんなに見た事が無かったので、そのままインボイスを信じていました。ドイツブリードのL174として購入しましたが、キングゼブラ系のようです。
生息地はインペやニューインペリアルダップルドと被る地域で、L66系のキンペコとL174とのハイブリットでは?と言われています。
ウチではインペとスーパインペと同居しています。スーパーインペ以外は若い個体群なので、成熟するまでもう少し時間がかかりそうです。

ニューインペリアルダップルド(Hypancistrus yudja, ハイパンシストルス・ユジャ)。この魚はシングー川の水深8m以上の深場に、しかもシングーの中でも非常に限られた場所でしか生息していないようです。アルタミラ下流の急カーブから採取されるようですが、多少のバリエーションが有ります。私が好きなのは、白と黒のブロッチのコントラストが高いタイプです。


ダルメシアン調の柄が特徴的なニューインペリアルダップルド。


この魚はなぜか水深の有る場所が好きなようで、インペ、L66と生息域が被るものの、深場に生息していると言われています。深場に通常のインペが全く居ないわけではなく、ハイブリッドも起こると見ていますが、ワイルドでそれっぽい個体を見る事は個人的には有りません。いわゆるL250と言われるインペリアルダップルドやサムライゼブラがそういう個体群なのかは分かりませんが、まず普通は目にしないようです。


この魚の白質は透明感があり、ストレスを受けると直ぐにくすみます。フォルムは尾筒が細く、尾のフィラメントも長いタイプです。良く見かけるもっとずんぐりむっくりな、頭頂部がクリーム色の強いニューインペリアルダップルドとは少し毛色が違うようです。


この魚、成長が遅い。そして稚魚がうまく育たない事で有名な種です。繁殖はするものの、稚魚が残らないようです。ウチではまだ増えていませんが、インペやスーパーインペと同居中です。ただ、体はキンペコより小さく、長い目で見るとインペとの同居にとどめておく方がいいようです。


ウチではさまざまなサンダーロイヤル系を飼育していますが、いわゆる下流産の背鰭が大きいものです。恐らくタパジョス下流域、良くてもジャマシン川産でしょう。



目の下の窪みが少なく、シングーのプラチナロイヤルさながらです。地の黄色も薄く、オリジナルのサンダーとは違います。




尾鰭のスポットは良いのですが、体高も高く、背鰭も大きいです。



下唇が小さく、プラチナロイヤルような形です。


この個体、立派なメス個体でした。




抱卵していたのですが、大きい水槽への移動時に使っていたタブにエアーが1つ送られておらず、酸欠(?)になったようです。他のプレコは大丈夫でしたし、もう1本のエアーは出ていました。抱卵したメスの難しさは、想像を超えます。残念無念。

数年前、グレスカに近い個体群の入荷がありました。オリジナルのグレスカはトカンチンス流域の街、グルピーからWBサビーが仕入れた個体群ですが、最近の個体群はそれにほど近いものです。しかし、グリーン色が薄いのが特徴です。グルピーのオリジナルの個体群はわずか少数の漁師しか採取しておらず、現在は0です。その漁師さんも今では他の魚を扱っているようで、その地域に居られないとも聞きます。

最近の個体群はどこ産なのか分かりませんが、あまり出回らないのは確かです





こちらはオス個体。体色が黒ずみ激シブです。


顔が黒っぽいタイプです。




かつてのグレスカほど緑は強く出ない印象です。




こちらがメス個体。この個体は極美で、かなりコントラストが強く出ます。美しく大人しく、非の打ち所が有りませんでした。オスよりも数cmですが大きかったです。




オスに舐められてしまい、しばし別居を始めました。



しかし折を見てお見合いをさせたところ、最初はオスが追いかけ回しました。が、セパレーターで区切るほどでも無く、少し経つと離れ離れになり、お互い無関心で居たのです。しかしその日の夕方、メスの過呼吸が止まらず、何とあっさりと落ちてしまいました。




メスの腹を押すと、未熟な卵がぎっしり…。




とてもかわいそうなことをしてしまいました。あと数週間でもセパレーターで仕切って世話出来ていれば、ワンチャン繁殖行動が見られていたかも知れません。しかしこうなっては後の祭り。
その後オスも停電事件で死んでしまいました。抱卵個体は敏感で、大型種の難しさを教えられた出来事でした。

アメリカにも良質なスーパーインペのラインがあります。クリス・レイントンと言うゼブラ好きのおじいさんが、ワイルドとヨーロッパブリードのCBを爆殖させています。彼は井戸水飼育で、管理の大変さから今ではほぼリリースは無くなりましたが、彼のワイルドF1は古き良きL173です。



私が初めて購入したヨーロピアンブリードのペア。今思うと両方オスであったと思います。



こちらがクリスからのWF1。インペの血が濃いです。胸鰭に入る模様が普通のL46インペと違います。




小さい頃はインペと少し模様が違うくらいです。




成長につれ、模様が乱れてきます。




貴重なメスを落としてしまいました。




どの個体も個性的なラインの系統です。




そしてこの秋、ついに待望の産卵です。はっきり言いますが、このラインは日本のスーパーインペよりも増えると思います。




こちらがパパさん。




そしてこちらがママ。しかし今年は我が家は良くありません。こちらのメス、プレコマンションに引っ越して直ぐにオスに舐め殺されてしまいました。うちにはもうメスが居ません。3匹居る兄弟魚は、全てオスです。




他のブリーダーさんに訳を話すと、クリスのラインではないけれど、他の人からのL173の幼魚であれば譲れると言うお話を頂きました。どちらかと言えばL173bのようで、キンペコの血が強いラインのようです。とりあえずこちらの稚魚達を分けてもらいました。この方はクリスラインも持っているようですが、まだ繁殖にまでは至っていないようです。




こちらは幻の黄色いL173。大変貴重な幼魚でしたが残念なことに落としてしまいました。この写真でも見えますが、うっすらと右の背中(私たちから見れば写真の左側の背かな)が鬱血しています。移動中にどこかで打ってしまったのかも知れません。これが生きていれば、衝撃の個体になっていたと思います。