昨年2018年の10月、2年に1度ある北米東海岸のナマズ・コンベンンションにて、アマゾナスマガジンの編集長であるハンツ・エバーツ氏と会いました。
ハンツは毎回、色々なパナクエ話をしてくれるので盛り上がります。今回は会うとすぐにスマホを
取り出し、「見せたいものがある・・・・」と何かを探し出しました。
「これ、見て。」と言われ、画面を見ると…何やらオトシンのようなプレコのベビーが無数にウジャウジャと映っていました。「Panaque?」と聞くと、「What kind?」とニコニコと聞き返してきました。「う〜ん・・・」と悩んでいると、「It's Blue eye!」と先に言われてしまいました。さすがに驚いたので、「うぇ〜!!」とのっけぞってしまいました。しかし、模様が出るような大きさでも無く、言われても正直分かりません。こちらはただ「What?! Really?」と聞き返すばかり。
終始ハンツはニッコニコ。ハンツは「すごいだろ〜(笑)」と、私は「スゲー」を繰り返しながら、しばらく動画を何度か一緒に見入ってました。それから詳細を聞かせてもらいました。場所はインドネシアのジャワにある、「Maju Aquarium」と言うプレコやレアな魚の繁殖を熱心に取り組んでいる施設でした。首都のジャカルタから南に直ぐ位置するCibinongという場所のようです。
さて、ここからが核心です。パナクエの繁殖についてのポイントを熱ーく話してきました。
数百リッター規模の大水槽に、オス1匹とメス2匹を入れるのがポイントのようですが、オス・メス判別は「なんとなく」と言う事です。このオス・メス数の組み合わせ、大型プレコのペアリングに共通すると言っていました。そして肝心なのは、このオスとメスらしい個体達を繁殖時期ギリギリまで別々で飼育する事と言っていました。やはり普段から複数の大型個体を混泳させておくのは、殺し合ってしまいNGのようです。ひとつの水槽で複数飼育するのはブリーディングの時だけのようです。
そしていつ繁殖期になるかと言うと、やはりジャワ島の乾季と雨季の変わり目で、乾季が終わり雨季が始まると魚達が繁殖し始めると言う事です。飼育中、雨水が貯まる雨季には水換えを頻繁にするようですが、乾季は貯水量が少ないため水換えを控えるようです。雨水が豊富にならないと水換えをしないシステムは、南米出身のプレコ達にもぴったりのようですね。
こう言ったアドバイスは、繁殖成功前から何年もペアリングと観察を繰り返している事がうかがえます。ブルーアイプレコの繁殖も、まぐれではない気がします。
今回繁殖が成功したその施設では他の様々な熱帯魚も繁殖させているようで、普段は世話をする従業員が2人だけで管理をしており、施設内は薄暗く、ペアリング水槽のライトはつけないようにして静かな環境を心がけているようです。
前回、台湾のホビーストがアラグアイアロイヤルを繁殖させたのは、たまたま良いペアに巡り会えた可能性が高いのですが、今回のブルーアイ繁殖成功は長年の試行錯誤の結果と言えると思います。
最近ちらほらショップにブリードのブルーアイを見ますが、恐らくハンツが見せてくれたファームからのリリース個体達でしょう。あれだけの小さなブルーアイを飼育できる機会なんて、繁殖個体ならではです。変化を楽しみながら飼育できる、良い機会ではないでしょうか。