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さて、ろ材の量はほぼ決まりました。これをどう組むか。
一般的なのは、ろ材の上にウールマットを敷き、ろ材は飼育水に浸してウールのみを水換えの時にすすぐ。でしょうか。

ロイヤルプレコが小さいとき、またはごく少数であれば、良いですよね。しかし、ほとんどの飼育者が多頭飼いをしているのでは?
ウールが慢性的に汚れっぱなしであったり、メンテが追いつかないことは、長く飼育されてる方ほど頭の痛い問題だと思います。



お勧めは、外部吊り下げ式でも良いので、オーバーフローを組んで、フィルターネットで糞を濾しとってしまう方法です。確かに場所や初期投資はかかりますが、ここに100から250マイクロンの網目のフィルターバッグをかますことで、ろ材の目詰まりやウールの洗浄からおさらばできます。


フィルターバッグで糞を取り除いた水にろ材を浸すことによって、糞の量に関係なく生物ろ過を組めます。
ろ材の洗浄サイクルも格段に伸び、追加魚やシステムに変化がなければ、長期間水質を安定させることが出来ます。


実は糞をろ過や水槽内に溜め込みすぎてしまうと、糞がフロック化したものなどが常に硝酸塩の貯蔵庫となってしまい、水を換えても硝酸値が高いままになってしまいます。底砂が多かったり、でかすぎる濾過槽を組んでいると、流木の粉や糞などが慢性的に溜まりやすくなってゆき、そこで排出されない窒素体が居座ってしまいます。


ろ過は必要十分の大きさで、糞や流木のカスを溜めにくい生物ろ過が組めれば、ロイヤル飼育はとても簡単になります。硝酸塩値は50ppm以下で、目標は30ppm以下。
低濃度の硝酸塩環境が必要なのは、ロイヤルプレコの共生細菌が嫌気呼吸を行うとき、硝酸塩を用いて消化管内で、亜硝酸塩を作り過ぎないようにする事が重要なのでは?と思うからです。まだ共生細菌の呼吸媒体や反応を細かく見出したわけではないのですが、高い硝酸塩濃度は確実にロイヤルプレコにダメージを与えるようです。高い濃度と言っても、普通にその他の熱帯魚は飼えるレベルです。


ろ過漕に嫌気ろ過を組み込んで硝酸塩濃度を落としたとしても、水槽のあちらこちらに糞のたまり場やフロックが慢性的に溜まってしまう環境では、水中の硝酸塩濃度は高くなってしまいます。出来るだけフィルターバッグで固形老廃物を取り除き、水中の硝酸塩濃度を落としやすくする事で、ろ過を目的の数字になるように組むことが可能になります。


硝酸塩濃度が高いときの弊害として、ロイヤルプレコの体色が黒ずむ。黒ラインの幅が太くなり、黒勝ち個体になる。消化管内での亜硝酸塩発生に伴う水飲み又は過呼吸が見られる。などなど、長くロイヤルを飼育していて「あるある」と誰もが経験したいわゆる「ワイルドっぽくなくなる」ロイヤルプレコへと変化してゆきます。


硝酸塩の蓄積=PHの降下も起こります。ほとんどの水槽で起こる事ですので、ある意味PHの低下に気をつける事が鍵にも見えることがありますが、実際はきちんと硝酸塩濃度を下げてやらないと、サンゴ片や牡蠣ガラを入れてPHを維持したとしても、根本的な対処法にはならないと思います。


出身河川や共生細菌への頼り具合、又はその種類や量のバランスによって、上記の弊害の症状が出やすい個体は確実に存在します。コロンビア出身のロイヤルやブルーアイは硝酸濃度が比較的高い状態でも対応力があるバリエーションですが、プラチナロイヤルでは幼魚斑が消えた後の個体には顕著に体調を崩し、ゆっくりと弱り、数年後に死亡する事がほとんどです。


長く飼う、良い状態でロイヤルプレコを飼うには、硝酸塩対策は避けては通れない道であると思います。

まとめ
・ろ材は必要最小限に
・大は小をかねない(水槽と濾過槽のデッドスペースを無くす)
・糞は積極的に取り出し、生物濾過槽と糞は出来るだけ分ける
・硝酸塩濃度を低く抑える