今の主治医と前の主治医の大きな違い。
それは
「希望」を与えてくれるかどうか
だと思った。
前の医者は、「一生薬を飲み続けて、病気と共存するしかない」と私にいった。
たしかに、そうなのかもしれない。結果的にそうなるのかもしれない。
でも。
それを言われてはたして患者は希望を持てるだろうか。
この先の人生を生きていくために希望を見いだせるだろうか。
現実を突きつければいいというわけではない。
それがまぎれもない真実だとしても、それを伝えようとするなら「希望」を失わないようにしかるべきフォローの言葉もなくてはならないと思う。
今の医者は、「当分の間は薬の力を借りることになるかもしれないけど、一生ということではないからね」といってくれた。
結果的にどうなるかが問題ではない。
患者が今このときを希望を持って生きていけるかどうか。
それを今の主治医は大切にしていると感じる。
診察では必ず、これがもっとこうなっていったらもっと安心して過ごせるようになるかもしれないですねというような、未来に対して希望を持てるような言葉を笑顔でかけてくれる。
今の主治医は、「治療者」だけど「福祉」の精神も持ち合わせた人だと感じる。精神科医がほかの科の医者と違う点はそういう側面も持ち合わせないといけないところだと思う。
前の医者は、まったくその面が欠けていた。
今の主治医と接していて感じるのは、医者という意味の「先生」でもあり、何かを教えるという学校の先生のような意味の「先生」という存在でもあるということ。
私は先生から、病気のことだけでなく、「生き方」を教えてもらっているように思う。
「どの選択が○○さんにとって一番希望を持って生きられるか、ですよね」
進路の選択に迷っているときにかけてくれたこの言葉を、わたしもいつか自分が支援する人に言えるようになりたいと思う。