これまでずーっと「ジェンダーの観点からオスカルの人生を考える☆」
といったテーマを念頭に、
ベルばらのいろいろなシーンについて書いてきました。
その最終回として今回、例のアンドレの怒涛の愛の告白劇のシーンを、
もう一度考え直してみようかしら?と思っていたのですが、
妄想すればするだけ思う…|ω・)
このシーン、いろいろな要素が絡み合いまくり、
とても「ジェンダーの観点から」みたいな
すっきりした枠組みでは書けないわ…^_^;
...ということで、
枠にとらわれずに思いついたまま自由に書きたいと思います(笑)
まずはこのアンドレの愛の告白シーンのプレリュード的エピソードとして、
オスカルの失恋について少しおさらいしますが、
昨日の記事でも書いた通り、
オスカルが舞踏会にドレス姿で参加し憧れのフェルゼンと踊ることで
その恋心にピリオドを打ったのが数か月前のこと。
フェルゼンとの別れのシーンからこの愛の告白シーンまで
どのくらい時間が経過しているかは不明ですが、
おそらく直ぐのことでしょう。
オスカルはフェルゼンへの恋心を
自らの意思で断ち切ったように描かれています。
オスカルがかわいそうなのが、
当時の彼女のアイデンティティーの大部分を占めていると思われる
軍人としての生き方が、
恋愛を含めた女性としての幸せの追求をする上での障害になっていたことを
知ってしまったという点...🍂
たぶん、フェルゼンとの別れのシーンでそのことに
オスカルは心底向き合わざるを得ない状況に陥ってしまった。
なぜならフェルゼンが、
「もしも はじめて会ったとき おまえが女性だとわかっていたら…
あるいは ふたりの間は もっとちがっていたものになっていたかもしれない」
なーんてこと言ったから…(@_@)
出会いのとき、軍人として軍服姿で彼の前に現れたせいで
オスカルは女性としての幸せのチャンスを奪われてしまったみたいにも受け取れる
フェルゼンの(ある意味)爆弾発言
こ...これは痛い(T_T)
そして思う。
もしオスカルが軍人としての生活をいやいややっているだけなら、
もうやってらんないぜ!(・ω・)ノ
となって、オスカルは簡単に人生の方向転換ができたかもしれません。
でも、生まれたときから男の子として育てられ、
軍人として教育されてきたオスカルは
根っからの軍人✨
ばあやさんやアンドレのおかげで女性としてのアイデンティティーは保ってはいるものの、軍人として、男性としての生活や人生の方が大部分を占めているような、
ある意味2つのジェンダーを使い分けて生活しているようにも思えます。
でもたぶんフェルゼンに恋をすることで、
オスカルの中に女性としての感情が出てきて
セクシャリティーも開花したのかもしれない🌸
そしてそんなフェルゼン本人に言われてしまった、
「もしも はじめて会ったとき おまえが女性だとわかっていたら…
あるいは ふたりの間は もっとちがっていたものになっていたかもしれない」
この言葉。
オスカルの中で、
これまで誇りに思って生きてきた軍人としての人生と
女性としての幸福の追求
この2つは共存できないのではと
思ってしまった瞬間なのかもしれません。
オスカルはフェルゼンへの恋をあきらめて軍人としての活動に
エネルギーを注いでいたけれども、
でも彼女の心の奥底で、
女性である自分と軍人である自分
ここに矛盾が生じてきたというか、
軍人として生き続けるには女性としての幸せは手に入らないのかも
みたいな呪いにかけられ始めたのかもしれません。
軍人として男として生きる
=女性としての幸せを追求できない
=女性としての感情を捨てなければいけない
=女性として男性に愛されたいと思ってはいけない
=女性として男性に触れて欲しいと思ってはいけない
と、その先にあるのは自分の女性性をも否定する人生への一歩。
でもこれってオスカルにとってはかなりつらい状況なのではと思ってしまう…
だってすでに、おそらくオスカルはフェルゼンとの恋によって
セクシャリティーが(妄想上)開花していて、
なので自分の中にすでに芽生えている感覚を抑圧したり、
見て見ぬふりをするということになり、
これはかなり深刻な自己否定の状態ともいえる。
ありのままの自分を無視して否定し、
ありのままの自分を生きて行けないということに繋がっていく。
大好きだったフェルゼンは自分の恋心を確信するや否や
自分のもとを永遠に会えないとか言って去って行ってしまい、
一人残されてしまったオスカル。
彼女の心は帰ることのできる場所を猛烈に探し求めたんだと思います🍂
オスカルにとって帰ることができる場所…
それが軍人としての人生。
もうオスカルには、もうそれしかなかったのかも…(T_T)
でも軍人として生きて行くこと
=女性としての幸せの追求ができない
=女性としての人生を手放す
みたいに考え始めてしまっているため、
そこが帰る場所なのかどうかも不安だったのかもしれません。
そしても一つ、
オスカルが帰ることができる場所。
それがアンドレ。
子どもの頃からの運命共同体で、
いつも自分の傍らで自分を受け入れ続けていてくれる存在。
...ということで、
フェルゼンとの別れのあった後オスカルは、自分の寝室で
自分が唯一帰ることのできる場所だと思ったアンドレを待っていたのかも、
なーんて妄想してしまいました。
で! このアンドレですよ!
彼、この後オスカルに、15年以上(?)封じ込めてきた思いを
吐き出すように愛の告白をするのですが、
久しぶりに読んで思うのは、
オスカルが軍人としての人生を生きるしかないと思っている
=女性としての人生を否定し始めている
=自己否定の世界に足を踏み入れている
という状況に対し、
アンドレの愛の告白って、
もう自分のありのままの姿を愛のままにさらけ出す形をとっているの(*'ω'*)
アンドレの愛の告白は、
【ベルサイユのばら 電子版 5巻】
「おまえを愛している!!」
からのいきなりのキスで、
読者のみなさん、Σ(゚Д゚) な状態になった人、多いと思いますが(笑)
たぶんアンドレは深い愛情と性的に触れ合いたい気持ちが
一致しているタイプの男性(と大妄想)
長年にわたり積もり積もった思いがいきなり出口を見つけて噴き出したため、
理性をとっぱらって愛を表現したらこうなった、
みたいな感じなのかもしれません^_^;
愛しているの言葉とキスしたい衝動がもう同時に飛び出しちゃう(笑)
...でその後のポエムのようなアンドレの愛の告白...
これ、おもしろいのが、
【ベルサイユのばら 電子版 5巻】
アンドレの愛の告白のセリフ、よく読んでみると
どうやってオスカルに恋に落ちて行ったかのお話ですが、
ほぼアンドレの性の目覚めのお話でもある
(笑)
しかもこのセリフで感じるのは、
アンドレがオスカルの側にいることでどんどんと得体のしれない熱を体の中から感じてきて、そのことにアンドレが戸惑いを感じていた様子。
これ、ものすごくリアルな心と体の結びついた
恋愛のプロセスのお話だと思っていて(特に男性側の)
そんな自分に起こった出来事を否定しないで
とまどいながらも受け入れてきたアンドレの姿もうかがえるし、
でも自分に起き続けたリアルな恋の目覚め、性の目覚めを
不安な思いで一人で持て余し続けてきた彼の姿もうかがえる。
そしてそんな生々しい体験ををちゃんと自分のこととして受け入れていれて、
そしてそれをアンドレはそのままオスカルに伝えているの。
全く飾ることなくそのままの自分として。
これ、最上級の愛の告白なんじゃないかと思い始めたわ…
いや、実際に、いきなりこんな愛の告白されたら
オスカルみたいにフリーズすると思いますが…(笑)
この後アンドレ、理性なんてふっとんでやりたい放題で(笑)
「愛している!」とか叫んでオスカルをベッドに押し倒したりしているけど、
たぶんこの瞬間は、アンドレはものすごく
自分のことを肯定して解放してあげたんだと思います。
だってずーっと、本当の自分の思いを隠し通してきたんだもんね。
15年以上?...|ω・)
自分がオスカルのことを愛しているという事実。
そのことをずっと伝えたかったという思い。
そして伝えるだけじゃなくて、
オスカルを抱きしめたい、キスしたい、
もっと言ってしまったら、
結ばれてしまいたい思い
とか。
もう、自分の本能を受け入れ忠実に表現した
自己肯定の極みの愛の告白
(笑)
あっ、でも、どんなに愛が溢れてきても
性的なアプローチはお互いの同意が必要なので、
きちんとお相手の反応を見てO.K.かどうか確認しましょう
愛の告白は慎重に
あと思うのは、
オスカルもたぶん、アンドレと似たような恋愛のプロセスを
フェルゼンに抱いてきたんじゃないかと妄想してしまうのです。
原作の中ではっきり描かれるオスカルのセクシャリティーの開花は
アンドレに対するものなのですが、
こういうの👇
【ベルサイユのばら 電子版 6巻】
でもよーくオスカルとフェルゼンのシーン見てみると、
オスカルは観念的にフェルゼンのことを尊敬して愛し続けただけじゃなく、
彼のことを思って彼女のセクシャリティーは開花していき🌸
彼から触れて欲しいという思いを胸に抱き続けてきたのかも、
なーんて妄想してしまうのです。
でもオスカルは、自分の中に目覚める恋心とかセクシャリティーの開花とかの経験に対し、アンドレ以上にとまどっていたということは想像がつくし、
それらを心から表現できるチャンスもなくその恋は終わってしまった。
オスカルは軍人として男性として人生の大部分を生きてきたこともあり、
心の中に眠る女性としての恋心とかセクシャルな欲求を、まず理解して、
自分で肯定してあげたり、表現したり、解放してあげることは
より難しくなってしまっているのかもしれません。
でも確実にオスカルもフェルゼンへの恋を体験することにより、
セクシャリティーの開花をともなう恋愛のプロセスを経験してきただろうし、
なのでこのアンドレの怒涛の愛の告白のシーンで、
オスカルとアンドレの恋愛やセクシャリティーをとりまく人生のプロセスが
交わっているんじゃないかと妄想してしまいました(*'ω'*)
あ、もちろん、
自分の恋心や性の目覚め、愛と性的な欲求が結びついていることとかを
感じたまま受け入れ表現しているのはアンドレ側だけで、
オスカルはいろいろな事情、つまり、
軍人として男として育てられていること
大貴族の令嬢で結婚するまで性的なものについてお勉強できない環境
カトリックなので子づくり以外のセックスや性的なものに対して宗教的に否定的な環境で育っている
みたいなところから、
すぐにそういったものを受け入れられるわけでないと思うし、
自分の唯一帰れる場所と思っていた安心安全要員のアンドレに
怒涛の愛の告白をされたので
ただただおびえた、
それはそうだと思います^_^;
でもアンドレの中の嵐が去った後、
【ベルサイユのばら 電子版 5巻】
以前にも書いたのですが、
たぶんこの手ですね…
このオスカルの手に触れてアンドレが、
ダメ惜しみのように愛をささやいたとき、
オスカルもフェルゼンに触れて欲しかった思いとか、
彼の手に触れたときに体の中に芽生えた感触とかを思い出して、
なんだかここで2人の気持ちがシンクロしたんじゃないかと
妄想してしまいました(*'ω'*)
いやー、このアンドレの告白シーン
いろいろ衝撃的すぎてこれまで冷静に読めませんでしたが(笑)
アンドレの気持ちだけじゃなくて、
これまでのオスカルの恋愛の上で抑えてこんできた気持ちとかを
勝手に想像して読み直してみると、
この後オスカルが、以前にも増してアンドレに心を開いていくといった理由が
なんとなくわかってくる気がします。
自分の恋愛感情、オスカルへの深い愛、性の目覚めなど
全てを肯定し、思いっきり愛の告白として表現してきたアンドレ。
女性である自分の感情や肌を触れ合わせたい思いとかを
自分の中に押し込めて生きてきて、
この先も否定して生き始めようとしているオスカル。
でもアンドレはそんなオスカルを女性として愛し、
オスカルの傍らにいることでセクシャリティーが開花し🌸
女性としてのオスカルの心も体も求めてきたし
今もそうだと宣言&表現してきたのね
|ω・)
なんだか、もんのすごいドラマが展開されております!
(笑)
...ということで、
まだまだ語ります(笑)
長くなったので一旦切ります。