みなさん、こんにちは(^^)/

 

前々回、オスカルがアンドレに恋に落ちていく過程について考察しました。

 

司令官室でアンドレの胸にもたれかかりながら、

 

「もう…どこにも嫁がないぞ…一生…」

 

とアンドレに告げるオスカル。

その言葉を聞き、無言でオスカルに知られないように目頭を押さえるアンドレ。

 

この美しいシーンで、オスカルがもうほかの男のものになることはないことが確かなものになり、アンドレにとっては人生で最も幸せな瞬間の一つだったのではないでしょうか。

 

その直後から、アンドレはオスカルを落としにかかり始めたのでは、という描写の数々について書きました(笑)

 

「あはん、おまえのほうがずっと美人だ」

みたいな口説き文句をオスカルに言ってたり、

 

挙句の果てには司令官室で上半身裸ショットを繰り出したり(笑)、

 

オスカル攻略作戦ついにスタート? 

つづく…

 

だったのですが、

その後のシーンを細かく見ていくと、アンドレの苦悩はまだまだ続いていることがわかります。

今日はそのアンドレの心境に注目してみたいと思います。

 

オスカルがもう一生嫁がない宣言は1789年6月17日少し前、

オスカルとアンドレが愛を確かめ合うのが6月23日の夜。

 

なんと! この間たったの1週間なのです。

アンドレ、あと1週間ちょっとで、あなたはオスカルの愛をゲットできるのですよ!

 

でも、実はその瞬間まで、アンドレは報われない愛に苦しんでいることを発見してしまったのです( ゚Д゚)

 

わたくしてっきり、アンドレは毎日ウキウキで、あの手この手でオスカルを落としにかかっていた、と妄想していたのですが(笑)

アンドレ、全然違っていたのですね、ごめんなさい(>_<)

 

アンドレのまだまだ続く苦悩に気づいたのが、

アランのオスカルへの不意打ちキス事件☆

 

この話の展開、唐突すぎて、えっ、アランお前もかΣ(゚Д゚)

って、初めて読んだときはびっくり仰天でした(笑)

(そして、アンドレとセリフがシンクロ(笑))

 

このシーン、すでに6月23日。

もう、この24時間以内にオスカルとアンドレは愛を誓いあうのですが…

 

はい、アランですね!

 

ドルー・ブルゼ候の平民議員に対する扱いに我慢できなくなったアラン、

かっとなり、彼をぶった切りに(笑)猛ダッシュ。

その姿を見て顔面蒼白で後を追うオスカル。

 

オスカル、アランより足早い!

彼に追いつき、サーベルを握った彼の手首をつかみ、ひねり、その動きを抑え込みます。

 

あ、オスカル、案外腕っぷし強い(#^^#)

 

と思っている間もなく、今度はオスカルが腕をつかまれ、そのまま壁に押し付けられてからのキスΣ(゚Д゚)

 

ああ、なんて生なましい(@_@)

オスカルが「はなせ…」と言い切れずもがいているシーンのアランなんか、例のブラびり事件のアンドレ思い起こして、なんかいやあああああああって思ってしまいますが、

 

ここで2人に追いついたアンドレ登場。

 

これまた、オスカルの手首を抑えつけたアランの腕をつかみ、ひねりあげ、ものすごい形相でアンドレはアランを抑え込みます。

 

そりゃそうなるわな~

(;´・ω・)

 

なぐりかかるアンドレ

無抵抗なアラン…

 

…で、アンドレの動きが止まります。

 

アランのすべてを受け入れる姿勢に何かを思い、こぶしを下ろし、つかんでいたアランの腕を振り払い、

静かに彼を去らせます。

 

そして次のセリフ

 

「お…まえも…か

おまえもかアラン…‼

むくわれぬ愛に これからじっと…長いときのいとなみを たえるの…か…」

 

んん??(?_?)

 

このセリフで思い知らされたのです、

 

アンドレ、この時点でも、むくわれぬ愛にこれからじっと長い営みを耐える覚悟をしているのです。

 

そしておまえもか、の顔のアップ。

アンドレが20代前半のころ、ロザリーに自分の心の苦しみを打ち明けた時の描写とそっくり。

その当時の心境とシンクロさせているかのようです。

 

そう、オスカルから、もう嫁ぐ心配はいらない、ずっと一緒だ

 

と告げられたけど、

アンドレは10年以上抱えてきた同類の苦しみを、この時点でまだかかえているようなのです。

 

そう、オスカルにはっきりと愛を告げられるその瞬間まで、ずっと苦しみ続けている。

 

オスカル、もうあなたに恋に落ちているのに…

もうその日の夜に告白されるのに…

 

だからオスカルが愛を告げたとき、あんなにも衝撃が走ったのですね。

信じられないことが起こったと☆

 

アンドレをここまで苦しめているのも、

アンドレをその苦しみに囚われさせてしまっているもの

 

そう、それは身分というどうしても超えられない壁

言ってしまえば、身分という呪縛

 

思えばアンドレ、ブラウス破ってまでオスカルに愛の告白をしたとき、

 

たのむ、オスカル

おまえのためならどんなことでもしてやろう

ほしいというなら この命もくれてやる

だから…

 

と、オスカルからの愛の代償として

みずからの命を差し出す、と言っています。

 

これだけみると、命を懸けて一人の女性を愛すると、美しい愛の形に見えますが、

 

掘り下げて考えると、アンドレには身分も地位も力もなく、

いってみればオスカルからの愛の交換条件として、

なんでもする、言うことを聞く、もしくは自分の命をささげる、この2つしか価値のあるものがないと思っている…

自分には価値がそこしかない、

そんな卑屈な状況を黙って受け入れている、そう思えるのはわたくしだけでしょうか。

 

この後も、ジャルジェ将軍がオスカルを成敗しかけ、将軍に逆らいオスカルを救った時、

 

結婚などのぞんでいない

自分の命なぞ10あってもたりはしないけど

オスカルの命と引き換えに自分のいのちを差し出す

だからオスカルを助けてほしい

 

と言っています。

ここでも、交換条件として差し出すのは自分自身の命。

 

オスカルに

アンドレ・グランディエの妻に

と言われたとき

 

自分には地位も身分も財産も武力もなにもない

ほんとうになにもない

それでもいいのか

 

と問います。

 

アンドレは本当はとても魅力的な人です。

ウィキペディアに書かれるほど、長身でハンサム、

物腰も柔らかく多くの人に愛され、

ジャルジェ家の使用人として数々の仕事をこなし、

将軍にも頼られ、ひいきにされ、

オスカルの従僕として完ぺきな仕事をし、

平民なのに教養を身に着け宮廷にも出入りし、

剣の腕前もオスカルと同等、

軍隊にまで入隊し、

数々のオスカルのピンチも救い

性格もルックスもよいのに

 

身分という足枷は

そんな彼の数々の優れた点など本人に見えなくさせ、

自分には命しか差し出すものがない

オスカルに愛される資格がない

と思わさせてしまっている

 

本当にもう呪いの域…

 

アンドレは本当は明るくてコミカルで愛らしい性格。

オスカルにないいいものをたくさん持ってる(笑)

暴走するオスカルを幾度もなく止めているし(笑)

 

でも、身分という呪いが、彼のいい面を闇に沈め、

後半のアンドレはいろいろなものを抑え込んでいるような、内にこもっている、そんな描かれ方をしています。

 

前回のブログでアンドレの恋愛感情が、観念的なもの衝動的なもの2重構造になっていて、どちらも真実で同時進行、という記事を書きましたが、アンドレの性格もしかり。明るい物腰柔らかなアンドレと、身分で抑えこまれた暗い内面を内在したアンドレ、その両方が真実なのです。このギャップに読者は翻弄され、それが彼のミステリアスな魅力になっているのは真実ですが…

 

もう10年以上、そんな苦しみの中に身を置くアンドレを思うと

アンドレが気の毒でならないし

アンドレをそうさせてしまっている絶対王政の身分制度に怒りすら覚えます。

 

なんか自分の中に革命心が起こってる?

(笑)

 

そしてそんな身分制度を絶対なものにしているのは

制度そのもの、

そしてそれを維持する一人ひとり。

 

アンドレは後半、ベルナールとの出会いや啓蒙思想、そして衛兵隊での隊員たちとの交流で、身分制度について疑問を持って行ったことでしょう。

 

ばあやに目が見えないことを気づかれ、だんなさまには知られないようにしなければいけないとくぎを刺された時、恩のある旦那様にこれ以上迷惑はかけてはいけないからと言われた時、

アンドレはわかっている、といいながら

同じ人間なのにな…と疑問を心の中でつぶやきました。

 

アンドレに繰り返し、身分という呪いをかけ続けた一番影響の強い人はたぶんばあや。

ばあやはもちろんアンドレを愛しています。

でも身分制度の中で生きる一人であり、そう生きるのが当たり前と思って生きている。

 

アンドレはその思想から徐々に解放されていき、

オスカルに愛を告白し、

旦那様にも逆らい、

最後はオスカルとともに身分を超えていった。

 

でも、人生の最後の最後まで

やはり身分という呪いの中で生きざるを得なかったようです。

本当に、残りの人生が数日になるまで…

 

そんな視点でアンドレという人物を観察すると、

また新たな発見があります。

 

うーん、アンドレ、せつない

そして

目が離せない…(*'ω'*)

 

まだまだ分析することたくさんありそうです。

 

では今日はこのへんで

 

お読みいただき、ありがとうございました(^^)/