みなさまこんにちは(^^♪

本当は前回のブログにも書いた通り、
アンドレのあの事件の前後の時間の流れの分析をする予定だったのですが、

なかなか進まないので(^_^;)
今日も違う記事を書きたいと思います。


ベルサイユのばらは池田理代子さんの初めての長編物で、
その前はずっと学園物の短編マンガを描いていたようです。

それらの作品の内容は結構悲劇的なものが多かったらしく、

例えば主人公のあこがれの男子が病気で亡くなったりとか、
他にも登場人物が病気になったり亡くなったり、
ストーリー展開が多かったようです。


池田理代子作の悲劇物の代表作と言ったら

「オルフェイスの窓」!

この作品はベルサイユのばらに次ぐ池田理代子さんの長編作品ですが
(ベルばらより断然長い)

長編だけあって覚えきれないほどの登場人物が出てきます^_^;

そしてその登場人物たちは
これでもかというくらいに次々と死んでいきます(゚_゚i) 

あまりにも人が死に過ぎて人が死ぬことにマヒしてしまうほど^_^; 
読んでいてとても疲れる作品でした(笑) 

気力と体力がある時にしか読めない作品です(笑)

でもよく考えると、ベルサイユのばらも
まあまあ悲劇物なのではということに気づきました。

ということを考えたのは、

ベルばらの主人公3人の最期が、
そろいもそろって悲劇的な最後であることに気づいたから。


前回のブログに書きましたが、

オスカルの最期は、
戦場で軍隊を指揮している最中に王党側の軍隊の銃弾を何発も浴び、
血を流し苦しみながら死んでいくというもの。

オスカルの人生は華やかなものでしたが、
その死にざまは何とも衝撃的でした。


さらに池田理代子さんがもっともその人生を描きたかった
ベルばらの主人公マリー・アントワネットも、

皆さんもご存知の通り、

最後は国家の罪人として牢獄に入れられ、
粗末に扱われ、
裁判にかけられ、
そしてギロチン台で処刑されました。

これは池田理代子氏の創作というより史実ですが、
華やかな宮廷生活の描写から始まったベルばらのストーリラインを考えると、
かなり衝撃的な主人公のラストです。

その姿を池田氏は淡々と描いています。

オスカルの死ぬシーンもそうでしたが、

そう、

原作者さんは登場人物の死を結構淡々と描いていくのです。


ベルばらのもう一人の主人公フェルゼンの死などは、
数コマの絵と説明文で彼が暴徒に襲われ虐殺された状況説明がなされるのみで、

フェルゼンが街路時に一人血まみれで倒れているシーンで
ベルばらはラストを迎えます。

フェルゼンの死も史実を描いているだけなのですが、
ベルばら全体にわたって申し分ないほど優雅な、
そして性格もよい貴公子だった彼が、
そんな悲惨な形で死を迎えたという事実は衝撃的です。

そしてその事実を池田氏はまたもや淡々と描き、

そして、

フェルゼンの虐殺された姿を上からのぞき込むような形でベルばらを終わらすという、
すごいストーリ展開を描き切りました。


でも、池田氏はこんな悲劇を淡々と、
そしてスピードをもって描き切きってしまうので、

なのでベルばらは読む人の心に「残ってしまう」のかもしれません。


ベルばらの主人公3人の死に様は
「悲劇的」という点で共通点があります。

そしてその死に様にそれぞれのキャラクターの
生き様が表れているように思います。


まずは、アントワネット🌸

アントワネットはオーストリアの皇女に生まれ、
フランスにお輿入れして王妃となり、
フランス革命によりギロチンにかけられ短い生涯を閉じました。

高貴な王族としての人生から最後は罪人として殺されるので、
その人生のふり幅、すごいです。

そして注目すべきは、

アントワネットはギロチンにかけられる時、
彼女はフランスの王妃であり、
オーストリア帝国の偉大な女帝マリア・テレジアの娘であるという
誇りを貫いて死んで行ったということ。

その事実を見ると、

アントワネットは生涯フランス王妃でありつづけ、
マリア・テレジアの娘であることの誇りを貫いた人生だったということがわかります。

そのことが彼女の死ぬシーンでクローズアップされて、
読者はマリー・アントワネットという人物の
人生の芯の部分をその瞬間に知ることとなる印象です。


オスカルにしても然り🌹

私がオスカルの死で印象的だったことは、
オスカルがいつもの軍服姿で死んでいったこと。

生まれた瞬間から死の間際までオスカルは
軍人であるということを貫いた人生だったといことが分かります。

アニメ・ベルサイユのばらでは、

オスカルが最後に見たのが記憶にあるアンドレの笑顔であるというシーンから、
オスカルが軍人としてよりも女として生きたということを
強調しているような印象でしたが、

原作のオスカルは根っからの軍人。

軍人として生き、
軍人としての人生を貫いて死んでいったことがよくわかります。


そしてフェルゼン🌳

フェルゼンはアントワネットやオスカルよりもはるかに長生きしました。

フランス革命で命を落とすことはなかったけど、
祖国スウェーデンで暴徒に虐殺されてしまう。

この死に姿を見て考えたのです。

彼の死に様から見える、彼の人生を貫いていた
彼自身の生き様のテーマとは何だったのだろうと。


フェルゼンの死のシーンの直前のコマで、ナレーションというかたちで
彼の死についての経緯が書かれていました。

彼を殺したのは彼を憎む民衆たち。

憎まれた原因は、彼が心冷たい権力者として民衆の上に立っていたから。

心冷たい権力者になった理由…

それは「愛する女性をその手からうばいとった民衆を憎悪したから」…


フェルゼンの残酷な死に様に見えるのは、

フェルゼンの人生を貫いてきたものが、
オスカルのように軍人という肩書ではなく、

アントワネットのように、
フェルゼンの場合はスウェーデンの大貴族に生まれたという誇りでもなく、

そう!

アントワネットを愛してきたという事実だった🌸

その愛ゆえ、彼は心冷たい権力者になり、
そして民衆に殺された、ということらしいのです。


死に様に、その人生の中心がたった一人の人への愛であったことを
読み取ることができるのは、

ベルばらの3人の主人公のうち、
なんとフェルゼンだけなのですね。


ベルばらの物語の最後から2コマ目のナレーション☆

「かくして運命は死をもって愛し合うふたりをむすびつけたのである…」
とあります。

つまり、フェルゼンは死をもって愛する人と結ばれたということが
明確に書かれています。

ベルばらの主人公の3人とも激しい愛のうちに生きたのですが、

その死の中心に思いを寄せる人への「愛」が中心になっているのが
フェルゼンだけとは面白い発見です。


さらに面白いのが、
アンドレもフェルゼンの死に様に近いということ。

アンドレはオスカルの盾になって戦場で死んでいきましたが、
最後の最後までオスカルのことを思い、守り、そして死んでいきました。

その死を目の当たり読者は、

アンドレの人生の中心にはオスカルへの溢れんばかりの愛が
一貫してあったことを再確認することでしょう。

これ、フェルゼンの展開と似ているような気がします。


アンドレはベルばらでは主人公の内に入っていませんが^_^;
その存在感は主人公レベル。

そう考えると、

ベルばらの男性主要キャラ2人は
その死に様に愛する人への忠誠にも似た愛情が中心にあり、

女性主要キャラは違うという、
面白い最期の展開になっている印象です。


これ以上の分析は今日はありませんが、

ベルばらが愛されるゆえんは、この2人の男性キャラたちの、
死に際まで明確に示される、
愛する人への人生で貫いた忠誠にも似た愛ゆえなのでは?
と思ってきました。

2人とも愛する女性のほうが身分が上で、
身分違いの恋でしたしね🌹


主人公3人の最期の時の分析のはずが、
なんかアンドレが割り込んできてしまいました(^_^;)


では本日はここまで。

お読みいただき、ありがとうございました(^^♪