それでは、どうぞ。





















天)そんなに辛いなら私にすればいいじゃん。

ひ)…そんな簡単なことじゃないんよ。



早朝のベッドの上、冷たい目をした天が横になりスマホをいじりながらそう私に投げかける。対する私は少し離れて座って反放心状態になっていた



天)ふーん…恋人ってめんどくさそう。

ひ)私にすればとか言ったくせによくそんなことが言えるな。

天)おっ、失敬失敬。



私たちの関係はただのセフレ。体を重ねることに意味なんかないし、そこから何かを始める気もない。お互い利害が一致したからこういう関係になっただけにすぎない



ひ)私だって…できることなら保乃ちゃんなんて早く嫌いになりたい、、でも、

天)好きだから別れらんない?

ひ)、、うん。



視線だけこっちにして聞いてくる天の顔は完全に呆れ顔だった。私だって分かってる、保乃ちゃんの心にもう私はいないって。でも、、諦められないんだよ、



天)ちょっとこっち来て。

ひ)ん?



チュッ


そう言われて体を近づけると、天はいきなり私の口にキスを落とした。天から初めての優しいキスをされて戸惑いが生まれる



ひ)なっ、なに?

天)いや、純粋な愛ってどんな感じかなーって。

ひ)…。

天)やっぱ私には分かんねーや。こういうのキモい。

ひ)ほんと、人間の心ないやろ、、



本当に天は感情というのを知ってるんだろうか?体を重ねる時も、私とキスをする時も、何もしないこんな時間も、全部天にとってはどうでもよくて、私なんか沢山いるセフレの中の1人なんだ


私はきっと誰の1番にもなれない



ひ)グスッ、



なんてことを考えていたら、無意識に涙が溢れてきた。人はこういうのを我慢の限界と呼ぶんだろう。私は天にバレないように遠くを見て涙を乾かそうと必死になった



天)…バレてんで。

ひ)気づかんフリぐらいしてよ、

天)はぁ…ほんま女ってめんどくさい。



天はこの涙を拭ってくれるような優しさなんて持ち合わせてないけど、時にこの心無い言葉がやけに優しく感じる瞬間があることを私は知っている。まさにこの瞬間だ



ひ)私は誰にも必要とされてないっ、

天)あ?

ひ)保乃ちゃんからも、、天からも…私はいらない存在なんよ、

天)っ、、ふざけんなよ。



ドサッ



ひ)っ!?天、、?、



私の発言に対して急に怒り丸出しになった天は、その瞬間私の腕を掴んでベッドに押し倒した。その目はいつもより鋭くて、ちょっと怒ってるように見える



ひ)ご、ごめん…なんかいけないこと言った?

天)…。

ひ)天、?怖いよ、、



何も言わず、ただ私の目を見つめる天に恐怖を抱いてしまう。私なんか天が嫌なこと言っちゃったかな?



天)私がひかるのこといらないとか言った?

ひ)いや…それは、

天)言ってないよな?

ひ)うっ、うん、、

天)…チッ、腹立つ。



天、なんで怒ってるの?なんで悲しそうな顔するの?私は天にとってどういう存在なの?少なくとも今のは私には自分はその程度の価値しかないと思うよ



天)ひかる、お前だけは絶対に幸せにさせへんからな。

ひ)えっ、

天)私と一緒に地獄に堕ちよう、2人だけでな。



薄暗い寝室の中、2人だけのこの空間で天から言われたこの言葉に深い意味が込められていることはバカな私にでも分かった。それでも私は天の前だけでは知らないままでいたい。天と2人きりでいれるなら地獄だってどこだって堕ちてやる


いや、それは違うか



ひ)天、、



チュッ



天)んっ、



天の首に手を回して顔を近づかせた。もう一度軽くキスをして、私は小さく天に言葉を投げかける



ひ)私を…地獄に連れてって?



“保乃ちゃんを忘れれるならどうにだってなればいい”



きっとこれが私の本当の答えだ















END.