『ハッピーエンド』
人は誰しもその言葉を幸せで、円滑な終わり方と錯覚して生きている。でも言葉というのは本当に不思議で、表現一つ変えれば元々あった意味さえ覆してしまうことがあるのだ
それを教えてくれたのは私の最愛“だった”人
由)多分こうするタイミングは今まで何回も来てたよね。
そう私が諭すと理佐は一切表情を変えずにソファーに座り上を見上げた
理)そうかもね、お互いとっくに恋愛感情は無くなってたと思う。
私に理佐が好きって感情がなくなったわけじゃない。ただ、何かの拍子で何かが壊れただけ。たったそれだけのことなんだと思う
理)なんか、、久々にキスしたいかも。
由)あ、奇遇だね。私もそう思ってた。
チュッ
なんて言葉を交わして、理佐はゆっくり私に近づき昔のように唇を重ね合わせる。理佐のキスはあの頃から変わってる気がした
由)ンチュ、、ハアッ、
理)、由依っ、、、ハンッ、
理佐が乱暴なキスをしてくるなら私もそれに対抗しよう。一方的なのは嫌い、優しくないキスは嫌い、優しくない理佐は嫌い、私を好きじゃなくなった理佐は大嫌い
理)はあっ、、、
由)…変わっちゃったね、
理)由依も人のこと言えないじゃん。
由)明日出て行く。連絡とか、もうしてこないでね。
理)言われなくても分かってるよ。ごめんね、今まで縛ってて。
由)…。
理佐から聞かされる謝罪に何故か心が痛くなる。私たちはもうお互い謝るようなそんな優しい関係じゃない。それを自覚してない理佐は、きっと誰よりも愚かだ
理)ありがとう…由依を本当に、、愛してた。
由)っ、
今の私にそんなこと言うのはずるい。ねぇ理佐、もし私がバイバイって言わずにまだ好きだよって伝えたらどうするの?もう一度愛してくれる?もう一度キスしてくれる?
してくれないくせに…そんなこと言わないでよ、、
理)っ…泣かないで、?
由)、、
そう言って理佐は私の頬に流れる物を親指でそっと拭った。その手がとても暖かくて、心地よくて、、しんどい、
由)抱きしめて、、
理)えっ、
由)理佐が好き…大好き、愛してるっ、、
理)ちょっ、由依、、
困らないで。私の言う通りにして。嘘、やめて。理佐は私じゃない人と幸せになって
由)なんてね、嘘だよ。
理)……なんだ、嘘か。
由)理佐は、、、幸せになってね。
理)由依もね?
『ハッピーエンド』
この言葉に意味をつけるなら、きっと私はこう言うだろう
『幸せの終わり』
END.