それでは、どうぞ。
























理)由依は綺麗だよ。



そう言いながら窓にもたれかかってお酒を飲む理佐の方が、私は綺麗だと思う。今日は満月の日だから、三日月の方が好きな私は必要以上に薄手の掛け布団で首から下を隠してる



由)横きなよ。

理)んー?まだ行かないよ。飲んでるもん。

由)捨ててよ。

理)バカ、もったいないじゃん笑。



『私よりお酒が大事なの?』


なんて言えたら、多分私はスッキリするんだと思う。理佐はお酒が好きだから、理佐はいい人だから、自分勝手な私は理佐の良いところを独り占めしたいって思っちゃう



由)…そうだよね、

理)…。



こういう反応したら、理佐はいっつも困ったような表情をする。悲しい気持ちになってるのかもしれないけど、私はきっと理佐より苦しいし辛いのにな



理)私はお酒も好きだし、誰かに優しくするのも嫌いじゃない。

由)っ、うん、、

理)でも私は由依の恋人だから、当たり前に由依のことが好きだよ。



なんて当たり前みたいに言ってくる理佐にムカついて、でも心の中で喜んでる自分もいて…理佐のせいで、私は私のことをもっと嫌いになる



由)それってさ、、付き合ってる意味あるの?

理)ん?

由)私も理佐のことが好きだよ。でもさ、それだけじゃ解決できないことだってあるし…なんていうか、

理)…ふふっ、



怖さを隠すみたいに布団を握りしめながら話した私に、理佐はまたお酒を喉に流しながらバカにしたように笑いかけた


理佐は私よりもずっと大人で、物事に対して意味とか理屈とかを考えるタイプだから、今理佐が何を考えてるのかが私には分からない。きっと理佐も伝える気なんかないと思うし、私はそれを知ることができない


だからこそ、私は理佐から離れられない



理)先に寝ちゃいな。

由)でも、、

理)大丈夫だよ。私は由依が思ってる以上に、由依のことが好きだから。

由)っ////////、



なんて一言だけ吐き捨てて、理佐は寝室から出ていった。安心なんてしてないし、今の言葉だけじゃ理佐を信じる理由にはならないけど、やっぱり私は理佐が好き



由)あーあ、、満月なんか大嫌い、



































理佐side.



理)…。



シンクに残りのお酒を流した。これのせいで由依が不安になってるなら、由依のためにいくらでも流せるぐらいには由依が好き


だから私は、はっきりとは伝えないよ



理)ふふっ、やっぱり私は満月が好きだな。
























END.