近年、スイス住民がフランスへ買い物するついでに、家庭ゴミを放置していくことが大問題となっている。フランス税関はこのように不法投棄されたゴミが2017年に10トン近くあったと推測。スイスとの国境に位置するフランスのフランシュ・コンテ県では昨年、家庭ごみを不法投棄するスイス人140名を取り押さえたとも発表した。
地元住民のゴミ捨て場や山の中に家庭ごみを不法投棄していくスイス人、その清潔さで有名だったスイス人の伝説は神話になっていくのだろうか?
では、そもそも、なぜスイス人はフランスにゴミを捨てにやってくるのか?
現在スイスでは一部の地域を除いて、ゴミ袋一つ捨てるのに2ユーロ(260円)ほどかかるという。また、スイスはフランスに比べて1、5倍ほど物価が高く、国境沿いに住むスイス住民は日常生活の買い物をするために、わざわざ自動車で国境を越えてフランスへやってくるのだ。
自国でお金を払って家庭ゴミを捨てる代わりに、一部のスイス人らはフランス国内の地域コミュニティーのゴミ捨て場や山の中に不法投棄してきたのだ。
フランス当局は対抗措置としてゴミ袋一つの不法投棄に対して150ユーロ(約2万円)の罰金を科すことにした。しかし、最低賃金がフランスの2倍以上高額なスイス人にとって150ユーロの罰金はあまり抑止力を持たないという。一般的にフランスでは最低賃金が月額1480ユーロ(約19万円)ほどであるが、国境を少しこえるだけのお隣スイスでは月額3027ユーロ(約39万円)と跳ね上がるのだ。
それでも、罰金を回避し、不法投棄はいけないと自覚するスイスの買い物客は、スーパーマーケットの駐車場内で常習的にゴミと商品を分別する。たとえば、ある買い物客はあらかじめ、ナイロンの袋を用意してきて、プラスチック容器に入った生肉を取り出して袋に移し替える。また、ピザやパスタの入った、かさばる紙製の箱もスーパーマーケット内のゴミ箱に捨てていくのだ。
まわりを海に囲まれた島国に住む日本人にとって、外国がすぐ隣にあるということはあまり実感が沸かないが、今回のニュースで国境という問題を深く考えさせられた。
