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 良識ある企業の経営者の陣頭指揮で、女性管理職の増強を目指して「女性活躍推進研修」を実施しても、「そもそもなんで女性だけ?」「能力そっちのけでゲタ履かせるの?」といった声が男性管理職や男性社員からちらほらする。
 

 女性活躍推進研修という ”アファーマティブアクション(AA)”が女性だけを対象としているのは、女性が男性と同様の機会を与えられてこなかったからである。暗黙のうちに女性は「管理職候補」から外され、管理職に必要な経験を積んだり能力開発をしたり先輩男性社員から叱咤激励されたりすることもなく、その結果、心の準備はおろか自分が管理職候補になれるという発想すらない、という企業が少なくない(というか、大半がそうだ)。
 暗黙のうちに「管理職昇進」というキャリアパスを描く(描かされる?)男性社員とのギャップを埋めるために、女性に対しては、アファーマティブに(積極的に)機会を提供せねばならないのである。
 またクォータ制で「30%以上」という数値が設定されるのは、社会心理学/行動科学の研究によって、その数値が「閾値」であることが立証されているからである。マイノリティが10人中1人しかいないと、その1人の意見が多数決で消されるリスクと、逆にその1人の個人的な意見が「マイノリティを代表した声」と誤解されるリスクがある。3人以上になって初めて、マイノリティの意見が適切な影響力を及ぼせる。だから「30%以上」なのである。
 日本の企業では、こういう基本的なことが、まだまだ理解されていない。
 20年も早くAAを導入して着実に実績をだしつつある欧米とは、比べ物にならない。
 欧米のみならず、アジア・アフリカ諸国も、「同質的な日本人男性による高度成長期」の成功体験という「過去のしがらみ」のない分、悠々と日本を追い越していく。
 

 日本、やばし。

 そして今回。政治と司法・アカデミア・ビジネス界などの思惑の錯綜があるにしろ、ともかく米国では「もはや差別はない」という見方が出てくるまで至った。


 日本、圧倒的に、3周くらい、遅れている。

 私に出来ることは、地道に企業で研修を行って、一人ひとりの気づきを促すことと、こうやってブログを書くことくらいである。
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 ※研修・講演も随時受け付けております(営業トークでした(^^)/)