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 フタを開けてみれば、第一希望の先生と結ばれなかった人も数名いたものの、基本はみんな納得のカップリングであった。数多くの学生を指導して来られた百戦錬磨の先生方は、私たちの希望を汲みつつも、研究テーマや性格や(おそらく)手間のかかり具合などを勘案して、8×25の順列組み合わせパズルを美しく仕上げてくださった。

 「この時期は、ぼくたちも本当に、ほっんとーぉに神経使うんですよ」とおっしゃっていた先生、ありがとうございました。

 

 これまで25人でだんごになって仲良くお勉強をしていたのが、これから先はゼミ単位である。いきなり「まずは論文50本読んでね」と言われ、翌週は数本の論文要約を各自発表、というスパルタ式もあれば、「第一回は2月29日」、果ては「まだ何も連絡がない」というのんびり組も。まさに、先生のカラーが出る。

 私が師事するA先生は、個別指導形式である。ほとんどのゼミは集合形式で、2時間程度を3~4人で分けたり、1回ごとの持ち回りだが、個別だと1時間以上、先生独り占め♡

 

 というわけで、先週から二人きりの甘い時間…ではなく、いきなりガチの真剣勝負。

 「1回目は手ぶらでいいですよ」と言われたわりには、冒頭から「12月の面談のあとは、何してますか?」 

 バルセロナでピンチョス食べてました、とは言えず、念のため持参していた資料をあれこれ見せる。入学以来これまで、「とにかく先行研究を読みましょう」としか言われず、やみくもに先行研究を読んでいただけだったのが、瞬く間に Things to doのフォーカスが絞られていく。やりたいことをたどたどしく説明すると、「ん~、それだったら、こんなやり方があるかも」と、いきなり目ウロコな発想が飛んでくる。面白い。

 「じゃ、次回までにこれやってきてください」

 気づくと1時間40分たっていた。脳みそフル回転、爽快な疲れ。

 

 前後して第一回を終えたゼミ仲間と情報交換する。の手前、ちょっとひそひそ声になる。

  「やっぱ、サイコーだよね、A先生」

  「私たち、正解だったね」

 おそらく、どのゼミでも同じ会話が交わされているのだと思う。2月末開始のゼミのクラスメートは、「ほんわかしてて、いいよね~」と言っていたし。やはり、相性、かもしれない。

 

 教官選びや転職や就活や結婚や、あるいは家を買うとか旅行に行くとか、人生は選択の連続である。振り返ってみると、大きな選択をするときは、かならず「星取り表」を作った。他の人はともあれ、私の場合、「一目惚れ」と勢いで決めうってしまえたのは、若いうちのほんのわずかな期間だけ。いや、あの頃でさえ、就活は「星取り表」ベースだった。

 この選択にあたって考慮すべき項目を列挙して、取り得る選択肢A・B・C(今回なら、A先生・B先生・C先生)ごとに、5点満点で点数をつけ、合計得点の大きい選択肢を第一とする。特に大切にしたい項目の点数を3割増にすることもある。一番大切なのは、星取り表の脇に「直感」という項目も置いておくこと。

 大体が直感に従うものだが、星取り表を作ると、「この項目を大切にしたいから、選択肢Aがいいと思ったんだなぁ」と還元的に納得できる。逆に、合計得点がどんぐりの背比べになった場合は、直感が勧める選択肢にわざと加点したりもする。

 客観的視点と直感の、両方が大切だと思う。

 

 こうやって選んで、決まったあとは、「自分の判断は正しかった」「この選択がサイコーだ」と自分で納得することである。信じる者は救われる。心理学で、ナントカいう理論名がついていた気がするが、どうしても思い出せない(💦)。

 

 余談だが、ゼミの先生は30代後半男性。ゼミ仲間は、30代後半と前半の男性一人ずつと、30代女性一人、私以外は全員既婚。若さあふれるメンバー構成に、ひとりホクホクしている。