わたしの瞳がぬれているのは 涙なんかじゃないわ
泣いたりしない

松山千春の歌の中で
この「旅立ち」が1番好きです。

人生(たび)の空から
という歌も旅情をそそられてて好きなのですが、
わたしの中では千春といえば「旅立ち」です。

題名は「旅立ち」ですが、
自分が旅立つわけではありません。

「あなたの旅立ち」
であって、
自分の旅立ちではないのです。

この構造は面白いなぁと感じます。

「あなた」の旅立ちだけれども、
ともに過ごした時間がそれなりにあり、
日々の生活の中で、共感したり、語り合ったりすることが
当たり前であったならば、

その人が立ち去ったあとに、
自分の日常生活の一部も、変わるはずです。

「あなた」は、
今までの土地から離れて、
生活を一変させてしまう。

でも、
あなたがいない時間を過ごすことになるわたしも、
その部分は新しい時間が始まるのですよね。


そう、だから
「あなた」と共に過ごした時間が
別の時間に変わっていき、新しい可能性が開く、はず。

そのように開き直れば良いと思います。




しかし、この3月の同僚のお別れは突然すぎて、
自分の感覚もついていかない感じです。

このような感情感覚の変化の対応が遅くなるのは、
自分自身が、
変化よりも安定を望む気持ちのほうが
強くなってきているからかもしれません。

その方が辞めるという話を聞いたときには、
「旅立ち」ではなく、
「冬の稲妻」が頭の中をよぎりました。

突然すぎた 別れの言葉
忘れないあなたが
残していった傷跡だけは


見送るときもまた旅立ちである
という記事を最初に書いたのは数年前のことでした。

そう割り切れるようになり、
自分も中年になったなぁ、大人だなぁと、
うっすら思っていたのですが、

今回は、
突然の別れには不慣れなままだったのだなぁ、と気づきました。

でも、あなたの旅立ちだもの 泣いたりしないさ

同僚のこの先の旅も、
残されたわたしたちにも、
心豊かな人生の旅路が待っていますように。

日々の生活もまた、良い旅でありますように!


※「旅立ち」作詞・作曲・唄・松山千春
※「冬の稲妻」作詞:谷村新司・作曲:堀内孝雄・編曲:石川鷹彦