手を伸ばせば伸ばすほど 孤独だった









涼しい風が窓から流れ入ってくる。

口の横にホイップクリームをつけた彼を

私は不意に思い出してしまう。

あの夏、一緒に笑いあった友達や

一緒に喧嘩をしたあの日も

全てを記憶している。


「真知子ちゃんはさみしくないの?」

友達の1人だった彼女が訊いてきた。 

「さみしいよ。すんごく。」

かき氷を口に含むとシャリシャリと良い音がした。

イチゴシロップの甘い味。

「なら、どうしてそんなに頑固なの?」

彼女の質問の意味が分からない。

分からないのに 理解したいと思った。

「人って不器用な生き物なんだもん。分かってても何でも無理はものは無理なんだよ。」

そう私が言うと彼女はコクンと頷いた。

そして、ただ黙々とブルーハワイ味のかき氷を

口に入れ始めた。


私にとってさみしいという気持ちは

遠い昔に置いてきてしまった気持ちの1つで。

でも、そう言うと 彼は

「失くしてないなら大丈夫。」

と、簡単に言う。

少し不服だけれど その通りだから

少し笑って「そうね、その通り。」

なんて言ってみるんだ。











~中原はぐ~










~はぐの言葉~


「さみしくって泣いている。」

真知子(まちこ)はいつだって孤独だ。

孤独の中で生まれ

孤独の中で生きている。

でも、それはいわゆる勘違いなんだ。

誰だって孤独なはずはない。

真知子は本当の意味でそう信じている。


詩のテーマですクローバー














今後ともよろしゅうですピンク薔薇