風船を持つ
セロリのサラダを作ると
きみが嫌がるという事を私は憶えている。
そして 嫌がると共に
「不服」そうなきみの表情も記憶している。
窓から見える公園がある。
ブランコに乗っている幼い子がいて
「気持ちよさそう」なんて私が言うと
きみは必ず無視をする。
私の心に積もっていく孤独は
初夏に降る雪のような奇妙さと虚しさがある。
公園に行きたいのではない。
きみにこっちを見てほしいだけなのに。
「三嶋さん」
そう呼んでも きみは昼寝をする。
私は奥歯を噛む。
何もかもを捨てたくなるのには
必ず理由があるのに
私はどうしても きみを捨てられない―――。
~中原はぐ~
~はぐの言葉~
「これは終わりではない。」
きみと私は何もかもを分け合ってきた。
寂しさも幸福も全てを。
なのにきみはいつの日か変わった。
全てを「不服」という表情で生きた。
だから 私は、
「きみ」を想うのだ。
まるで、
持った風船を手放す事が出来ない子のように。
詩のテーマです
暑い日ですので どうかご自愛ください
今後ともよろしゅうです