愛は持続的に









弟が遊びに来た。

驚くほど美味しくて香りの良い珈琲と

慈悲深い色をしている木蓮を抱えて。


「お姉ちゃん、髪伸びたね」

弟とは久しぶりに会ったわけでもないのに

私の少しの変化に気付くのは

きっと、

私達の記憶の片隅にいる父親に似たのだろう。


「お母さん、元気にしてる?」

木蓮を眺めながら 私は静かにそう訊く。

「うん、まぁ相変わらず泣いてるよ。時々。」

弟の言う〔時々。〕という言葉には

鋭利な冷たさと 肌寒い不安感がある。

でも、私にはただどうする事もできない。

「そっか、お母さんらしいよね。」

私は半ば弟を励ますようにそう言った。


四月が始まると 私は必ず思い返す記憶がある。

公園に桜が踊るように咲いていて、

私はまだ小さな6歳の女の子で、

お母さんが赤ちゃんの弟を大切に抱いて、

桜を見上げながら 三色団子を頬張った。

誰もが満ちていた。まるでそれは満月のように。


あの頃に戻りたい。

そんな感傷的にはならない。

けれど―――。


けれど、またあの頃の季節を

肌や心や感性で たっぷりと味わいたい。

そして、その隣には

愛する人がいて 笑っていてほしい。










~中原はぐ~








~はぐの言葉~


「木蓮が咲く頃に。」

誰もが心から満ち足りる事がないように、

私と弟も心から満ち足りた事がないように、

きっと、世界は作られているのだろうか?

〔僕らはいつだって幸せそのもの。〕

そうやっていつも励ましてくれた弟。

あなたには木蓮が似合う、そう思った。


詩のテーマです花

4月がスタートしましたねクローバー












最後までご覧頂きありがとうございましたハート


今後ともよろしゅうですピンク薔薇