iPad Proで推敲・校正がペーパーレスに? | 化石の日々

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オフィス ジオパレオント代表のサイエンスライター 土屋健の公式ブログです。
化石に関する話題,ときどき地球科学,その他雑多な話題を書いていきます。

久しぶりにiPadの話題。

3年近く前 に書いたように、私は取材時にメモや資料整理としてiPadを使っています。
著者校正時のゲラも、基本的にはpdfで編集さんから送って頂いて、それにiPadのアプリ Note を使って、タッチペンで書き込んでいます。


Note の良いところは、
・手書きで書き込めるために編集記号がそのまま使えることと、
・印刷ゲラだとなかなか書き込みにくい「黒地色」にも朱文字が書き込めることです。


「黒地色に書き込める」という点の良さ、同業のみなさまにはわかって頂けると思います。通常の赤ペンでは書きにくいし、見えにくいですよね。
ほかにも、当然のことながら、書いたものを消すのもカンタン。
もちろん、そうして書き込んだゲラをそのまま編集さんに送信できる(印刷ゲラのようにスキャンをする必要がない)ことも大きな利点。

下は、Note 校正の一例。黒地でもはっきりと赤文字が読めます。
仮に赤地でも、ペンの色がカンタンに変更できるのも優れものです。


これまでも、とくにこれで不便を感じていませんでしたが、

今回、iPad ProとApple Pencilを導入して、価値観が変わりました。

この二つで編集作業をはじめてしまうと、もうiPad+タッチペンの世界には戻れません(^^


私は絵を描く人でも、写真を撮る人でもないので、もともとiPad Proにはあまり興味がありませんでした。
あんなに大きいの、邪魔なだけじゃ……
……というのが、最初の感想。iPad Airの新型の登場を心待ちにしていたものです。

しかし、新宿のヨドバシカメラで実機を触ってみて、心が変わりました。

意外と小さいし、軽い!

もちろん、12.9インチというディスプレイは、圧倒的。
でも、よく考えると、A4ノートとさして変わらないのです。


上は、A4のレポート用紙とiPad Proの写真。
A4サイズの用紙であれば、ごく日常的に使っているサイズです。
そして、重さは実は、現在の愛機であるIPad第3世代とあまり変わりがないのです。

もちろん、大きいことは大きいので、例えば電車で立ちながらの作業等には向かないと思います。しかし、卓上や膝の上などでやるのであれば、なんら問題ありません。

なによりも、この大きなディスプレイは、A4用紙に原稿を印刷して見るのと、さほどちがわない感覚で、読むことや校正作業ができるのです。
iPadと比べると、拡大のための作業や、画面移動のための作業がかなりおさえられます。

私は、編集さんに原稿を送る前に、推敲を重ねることを常としています。
PCの画面に表示させたままでは今ひとつ原稿を読んでいる気がしないので、これまで推敲のたびにA4用紙に印刷してチェックしていました。
これが、短いニュース原稿ならば問題ないのですが、数万文字の書籍用原稿を推敲するときは、まあ、びっくりするほどの勢いで、紙とプリンタのインク、赤ペンのインクを消費していきます。
これまで推敲時にiPadを使っていなかったのは、地色や画像などがついてくる校正ゲラとは異なり、テキストだけであれば、紙に印刷した方が読みやすかったからです。
推敲は自分で直すので、紙印刷に朱入れをしてもそれをスキャンする必要がないという点もiPadを使っていなかった理由の一つです。
他にも、文字のサイズもiPadでは小さくならざるを得なかったという点もあります。
また、iPadで見ていると「iPadで見ている」という感覚で、「紙で見ている」感覚とは大きなちがいがあり、「紙で見ている」感覚の方が好み、という感覚的なものもありました。

しかし、iPad Proの Note でpdf推敲をする感覚は、紙印刷とほぼ変わりません。

試しにここ数週間のすべての推敲作業(これまで紙印刷していた作業)をiPad Proで行いました。
今のところ、ストレスを感じずに、作業を続けることができています。
(もちろん校正もiPad Proで行っています。校正においても大きな画面はありがたいです)


さらに秀逸なのが、Apple Pencilです。


手に持った感覚は、通常の赤ボールペンよりも少し重い感じ。
長さは、数センチ長いといったところです。

Apple Pencilは、これまでのタッチペンとは完全にベツモノです。

今のところ感じているのは、Apple Pencilの反応の良さ認識能力の良さ

反応は、まったく入力のタイムラグを感じさせません。
タッチペンで書いたそのまま、まさに手書き感覚で文字を書くことができます。

Apple Pencilのペン先しか認識しないという点は、かなり大きなポイント。
普通のタッチペンですと、ペン先以外はディスプレイにつかないように注意する必要がありました。
2か所以上がディスプレイについてしまうと、誤入力が起きてしまうことが多々あるからです。
しかしApple Pencilを使っていると、Apple Pencilの先端しか認識しません。
ですから、手のひらや服のそでがディスプレイについても、それが原因で誤入力がおきことがないのです。

もう完全に手書きと一緒です。

推敲や校正用のマシンとして、非常に重宝しそうです。
これで、推敲に関してはペーパーレスでいけそうな気がしています。
また、校正に関してはこれまで以上に効率的に進められそうです。

なお、多くのタッチペンの先端がやわらかい素材でつくられていることに対し、Apple Pencilはの先端は硬質です。したがって、タッチペンの感触に慣れていると、当初はその「硬さ」に違和感を感じるかもしれません。
しかし、実際に使い慣れて来ると、この硬さは気にならなくなります。
よく考えると、印刷ゲラに書き込むときも、下に硬い下敷きのたぐいを敷いていれば、同じですものね。


……そして、せっかくなので、同時発売のSmart Keybordも購入してみました。


こちらのキーボードは、日本語がプリントされていません。
しかし、ローマ字入力をしている方であれば、何の問題もないと思います。

リターンキーの大きさやちょっとしたキーの配置が異なるので、気になる人は気になるかもしれません。

しかし、これまでiPadのディスプレイに表示されるキーボードを使って、出先で取材のテープ起こしやメールを書いていた身とすれば、これもたいへん便利です。
ディスプレイのキーボードと異なり、ちゃんと「押している感」はありますしね。

これで原稿を執筆しようとは思いませんが(そこはやはり、PCの方が圧倒的に便利)、出先で作業をする程度であれば、十分でしょう。


iPad Proに感じたのは、編集・校正作業の未来でした。
今までのiPadともちがうし、PCやノートPCともちがう。
そんな未来の可能性を感じています。



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