• 過去120年で一度しか間違ったことのない、景気後退を示す警戒すべき兆候が現れている。
  • 「ECRI景気先行指数」はこの1年で低下し始めていると、トップエコノミストのラクシュマン・アチュータンが語っている。
  • GDP成長率や雇用市場も特定の分野で弱くなっており、これはアメリカにとってトラブルにつながる可能性があるという。

トップエコノミストによると、アメリカ経済は過去120年で一度しか間違ったことのない景気後退を示す典型的な警告を点滅させているという。

景気循環の専門家であり、経済循環研究所(ECRI)の共同設立者であるラクシュマン・アチュータン(Lakshman Achuthan)は、アメリカ経済の複数の分野で景気後退の警戒すべき厄介な兆候が現れていると指摘している。

4月3日に公開されたRosenberg Researchのウェブキャストでアチュータンが語ったところによると、「ECRI景気先行指数」(ほぼ完璧な実績を持つ経済指標)は2023年から低下し始めているという。


米国同時指標(US Coincident Index)」は、2021年の約20%をピークに、それ以降0%近くまで急落している。


一方、経済における「循環的な労働インパルス」を示す「ECRI循環的労働条件指数」は、ここ数年で50%近く急落した。ECRIの過去のデータによると、このような落ち込みは2001年、2008年、そして新型コロナパンデミック期の景気後退前にも同様に見られた。

消費者が希望よりも必要性を優先するように、雇用の伸びは市場の非裁量分野に関連しているようであり、これは景気後退の前によく起こることだとアチュータンは言う。ECRIのデータによると、教育・保健分野の雇用増加率は2023年に約4%上昇したが、他のすべての分野の雇用増加率はほぼ0%だった。

非裁量分野について、「それがなければ、おそらく景気後退に陥っていただろう」と、アチュータンは述べた。

こうした警告は経済の「綱引き」を示しており、アメリカの成長は、循環的な弱さとパンデミック時の景気刺激策や人材確保といった外部からの支援との間で一進一退を繰り返しているという。アチュータンは、このような支援がなくなれば「問題が発生する」可能性が高いと警告した。

インフレがなかなか収まらず、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が長期にわたって高金利を維持するリスクもあることから、他のエコノミストも景気後退の到来を警告している。トップエコノミストのデビッド・ローゼンバーグ(David Rosenberg)によると、景気後退は景気拡大よりも4倍起こりやすく急激な雇用減少を伴う景気後退が年内にも起こる可能性があるという。