マスク氏8兆円報酬、米裁判所が無効判断-世界一の富豪の座失う恐れ

 

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  • テスラからの総額550億ドルの報酬パッケージが無効と裁判所が判断

  • オプションの価値を除けば、純資産は世界3位の1543億ドルに減少

米電気自動車(EV)メーカー、テスラがイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)に付与した報酬パッケージ が行き過ぎとの株主の申し立てを受け、米デラウェア州の衡平法裁判所は30日、総額550億ドル(約8兆1200億円)のパッケージが無効との判断を示した。

  上級審で決定を覆すことができなければ、マスク氏の資産は一気に目減りする。役員報酬として過去最大級のパッケージをテスラが共同創業者のマスク氏に付与して5年余りが経過するが、裁判所の決定を受け、取締役会は新たなオファーを準備する必要が出てくる。

  報酬パッケージのオプション価値は約511億ドルと評価され、マスク氏の最も価値の高い資産の一つ。ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、同氏は過去数年の多くの期間を通じて世界一の富豪だったが、このオプションの価値を除けば、純資産額は1543億ドルに減少し、世界3位に後退する。

  デラウェア州の衡平法裁判所のキャスリーン・マコーミック裁判長は、2018年の報酬パッケージについて、マスク氏に求められる業績基準に関する適切な開示がなく、承認に当たり取締役会に利益相反が存在するとした投資家の主張を認めた。

  報酬パッケージを巡る裁判所の判断が伝えられた後、30日の米株市場の時間外取引でテスラの株価は一時1.6%下落した。

  裁判所の決定について、マスク氏の代理人を務めるエバン・チェスラー弁護士に電話と電子メールでコメントを求めたが、これまでのところ返答はない。