「さらば!文在寅外交」…尹錫悦大統領が前大統領に送った「痛烈な批判の中身」とその「当然すぎるワケ」【元駐韓大使が徹底解説】

 

文政権が北朝鮮の本質を偽装し、北朝鮮との対話と北朝鮮への支援を基本とする政策を取り続けてきたのに対し、北朝鮮は善意で応えることなく、韓国により一層の脅迫行為を続けてきた。

尹錫悦大統領は、文在寅政権の対北朝鮮政策を批判してきたが、上記の実態を、正面から批判することは控えてきたように思う。

しかし、最近、これを抜本的に改める動きが始まった。

文在寅政権は「反国家勢力」

尹大統領は6月28日、自由総連盟創立記念行事に参加し、「文政権は反国家勢力だ」と述べた。さらに統一部の幹部人事を全面的に改め、北朝鮮に強硬な人物を長官に抜擢した。

こうした一連の動きは、文政権の対北朝鮮対応を全面的に改める決断を下したということではないか。

尹大統領は「歪曲された歴史意識、無責任な国家観を持つ反国家勢力は、核武装を高度化する北朝鮮共産集団に対して国連安保理制裁を解除してくれと要請し、国連軍司令部を解体する終戦宣言を唱え続けてきた」と述べ、これまでにない言葉で文在寅政権を激しく非難した。

また、尹大統領は文政権が唱えた終戦宣言の推進は、「でたらめな偽りの平和主義」と非難した。

終戦宣言を行えば、国連軍が韓国に駐留する最大の名目は失われかねない。

文政権は、国連軍が撤退すれば、平和が訪れると考えるが、それは幻想であり、尹大統領の言う「でたらめな偽りの平和主義」である。現在の大統領室の高官は、「(文政権が)終戦宣言を急いだ理由」を説明する中で、「国連軍司令部が終戦宣言により解体されれば、北朝鮮が南侵したときに国連は自動的に介入できなくなる」と、最大野党の共に民主党の姿勢を批判した。

国家存亡の危機を招くことは、反国家勢力のやることだと批判されてもやむを得ないのではないか。