前回の続きで、もう少し。

日本でも低線量放射線の動物実験が行われ、次々と報告が上がってきました。

東北大の坂本教授の成功を教授は、免疫系の活性化で説明されましたが、もう一つ、がん抑制遺伝子活性化のデータによっても説明できることが解明されました。
「p53遺伝子」が活性化し、DNA修復能活性化のほか、細胞のアポトーシスによるがん細胞のような異常細胞排除能の向上が寄与していることがわかったのです(奈良医科大・大西教授)

「p53遺伝子」はがん抑制遺伝子。

DNA異常など、細胞に本質的な異常が発見されると、その細胞のみならず、周辺からも自殺指令が出て、核破砕という即死的な細胞自殺がおこるが、これをアポトーシスという。
アポトーシスでは、細胞が萎縮・断片化し、核自体の崩壊を伴うことも多く、細胞が内外の状況を自主的に判断して選んだ死、文字通り積極的な「自爆」(プログラムされた死)。

これに対して「壊死」は、細胞が膨張・破裂して起こる細胞死で、細胞が生きられないような重い障害や環境の激変に遭遇して起こる受身の死。


まさに、身体が身体を治す「細胞内自発治癒」ですね。
がん細胞だけでなく、周辺の細胞からも自殺指令が出るなんて、驚き。
数年前に、山中教授がおっしゃった「細胞は、意思を持って動いている」と同じ考え。

コロナ絶頂期の頃、体内に入ったコロナウイルスが爆発的に増殖して、免疫細胞が処理不可能になったときに、ウイルスの集団の真ん中で自爆して、コロナウイルスを大量に殺傷する、というのを読んだことがあります。
そんなことができるのか!と思いましたが、今回本の中で、アポトーシスと壊死の違いを読んで、がん細胞を自殺に追い込むような仕組みまであることに、ただただ、驚きです。

そこまでプログラムされた私達の身体が、いつ、どのように最後を迎えるのか、自分自身の観察を続けながら、楽しみになってきました。