中野凛は真っ暗な部屋に一歩足を踏み入れる。顔が歪む。廊下と部屋では空気の密度が違った。息をすることすら難しい。凛は踏み入れた足を引っ込めたい気持ちになるが、それをしてしまったら二度とここにたどり着くことが出来ない気がして、何とか踏みとどまった。が、次の足が出ない。空気もそうだが恐怖が全身を支配していた
凛「負けない…負けない…私は負けない」
声に出して自分に言い聞かせ部屋の中に入った
凛「ぐっ」
部屋の中に入ると空気に押し潰されるような感じを受けた。呼吸は細くやっと出来る感じで脳に酸素が送られず、意識が朦朧としてくる
膝が笑い、腰が落ちる
凛「私はーっ」
顔を上げる
凛「負けなーいっ」
前傾姿勢で足を踏み出す
ぱっと空気が晴れる。さっきまでの圧は一切感じられない
「…」
何かが聞こえる。凛は耳を澄ませる
声が出ない
暗闇なのにその姿がはっきり見えた。ベッドの上に座る女の子の姿が
つづく