友則もまた手を挙げていた
和哉「今までのことを考えると信じられない」
友則「確かに」
友則はポケットの中にあるものすべてを出し、床に置く。その後、上着も脱ぎ床に置いた
和哉「わかった、とりあえず信じる」
友則「ありがとう」
和哉としては許しがたい相手だが、事件解決を最優先に考えられる
和哉「さっそくだが」
友則が頷く
友則「今回の誘拐は来(きた)るべく時のエージェントを育てるのが目的だ」
和哉「来たるべく?エージェント?」
友則「その時はもうすぐ来る」
和哉は眉間にシワを寄せる
和哉「子供たちは生きてるんだな?」
友則「ああ」
その言葉を聞いて、偕子は力が抜け床に座りこんでしまった
和哉「子供たちはどこにいる?」
友則「山梨のとある施設跡地だ」
和哉「とある施設?」
友則「俺も詳しいことは知らん。すまないが場所も」
和哉「それじゃ、来たるべく時とはいつだ?」
友則「それは…」
友則がしゃべり出したその時、友則の身体が前後に揺れ倒れた。和哉は姿勢を低くしながら友則に近づく。和哉が友則の身体に触れると、その手は真っ赤に染まった
友則「に、逃げろ」
和哉「偕子、外の2人を逃がせ」
偕子は階段を走り下りて行った
友則「お前も…」
和哉「ふざけるな、まだ聞いてないんだよ。お前の他は?トップは?」
友則「それを聞いたら、ほんとに後戻り出来なくなるぞ」
和哉「そんなもの…」
友則はニィと笑う
友則「トップはけ…」
和哉の目の前で友則の頭が弾けた。遠くからパトカーのサイレンの音が近づいて来る。「逃げられたか…」和哉は友則の遺体をそっと床に置いた
つづく