ギフト~愛する者のために~第2部・白ー旅立ちー | あ~やんのどりーむぱーてぃー

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わたしの見た夢を皆さんに紹介しています。どうぞ暇潰しに見てやってください(笑)

主理の後ろにドアを開けると、部屋の真ん中に枝衣が座っていた

佐玖伊「枝衣」

呼びかけるが反応しない。目が開いているので起きてはいるようだが、その視線は焦点が合わず宙をさ迷っていた

佐玖伊「枝衣」

佐玖伊は肩を掴み、枝衣を揺する。が、枝衣はまったく反応をしめさない。まるで、魂がないように感じた

主理「何をしてもムダさ。彼女の心は深い闇に封印されてる」

佐玖伊は主理を睨む

主理「俺はもう何にもしない。ただ、時間がないぞ。もうすぐ死神(特殊警察)が来る」

佐玖伊は強く目を瞑り考えるが、いい考えが浮かばず時間だけが過ぎて行く



枝衣は真っ白な空間の中にいた。上も下も見渡す限り真っ白だった。枝衣は何か変化があるのではないかと歩き続けたが、景色が変わることはなかった。体力的に疲れることはなかったが、精神はギリギリのところまで磨り減っていた。やがて歩くことを止め、座り込んでうつむいていた

枝衣「なに?」

ここに来て初めての変化だった。地震のように揺れた。地面だけでなく、この世界すべてが揺れたように感じた。そして

「…」

人の声。枝衣は神経を集中する

佐玖伊「枝衣」

佐玖伊の声だった。その声はこの世界すべてに響き渡っていた

枝衣「佐玖伊、私はここだよ」

枝衣は力一杯叫んだが、その声は佐玖伊に届くことはなかった



佐玖伊「枝衣ー」

主理「ムダ、ムダだよ」

主理は狂ったように笑いだした。佐玖伊はそれを無視して名前を呼び続けた

ピクッ

枝衣の指が動く

佐玖伊「枝衣ー、起きてくれー。お前がいなければ俺は生きてる意味ないんだよ」

佐玖伊はいつの間にか泣いていた。涙が枝衣の手の上に落ちる

主理「ほ~ら、死神がやって来た」

足音はこの階にやって来たのがわかった

佐玖伊「枝衣、好きだよ」

佐玖伊は枝衣にくちづけをした



真っ白な世界が揺れる。立っているのが出来ないくらい

枝衣「きゃっ」

枝衣は手をついてなんとか上半身を起こしていた。やがて、目の前の地面にヒビが入る。そしてその隙間から光がもれる。枝衣はその隙間に指を入れ

枝衣「さ…佐玖伊ー」

叫んだ。ヒビは広がり、真っ白な世界が崩れていった



佐玖伊「枝衣ー」

佐玖伊が枝衣を抱きしめる。枝衣の手が佐玖伊の背中にまわり

枝衣「佐玖伊」

枝衣は佐玖伊を抱きしめた

佐玖伊と枝衣はお互いを確認、おでこをつける

佐玖伊「枝衣」

枝衣「佐玖伊」

佐玖伊「枝衣好きだよ」

枝衣「私も、佐玖伊好き」

くちびるを重ねる

主理「感動の再会中悪いが、タイムオーバーだ」

3人は特殊警察に囲まれていた。主理が笑みを見せる

主理「危険な目に合わせた、せめての償いだ。逃げろー」

特殊警察の動きが止まる

主理「今のうちだ」

佐玖伊「主理」

主理「いいから早く行け。そんなに長く持たない」

枝衣「ありがとう」

主理「幸せになれよ」

2人は手をつないでその部屋を後にした

主理「さて、最後の仕事だ」

主理はポケットからボタンを取り出す

主理「ぐっ」

腹部に衝撃を受ける。血がどんどん流れ出る。主理はボタンを落としてしまう。幻からさめた特殊警察はライフルを構え、次々と主理に弾を撃ち込む。主理は地面に倒れ込む

特殊警察の数人が部屋を出て行こうとしていた

主理「させるかよ」

主理は最後の力で地面を叩く

部屋は閃光と轟音に包まれた



枝衣を救い出してから3日。政府が手の出せない自治区に枝衣と沙凪が旅立つことになった。2人はギフトとして、指名手配されていた

沙凪「出ちゃうよ」

枝衣「うん」

佐玖伊と枝衣が無言で向き合っていたが、自治区行きの電車の出発が迫っていた

佐玖伊「絶対迎えに行く。この国をまともにして」

枝衣「待ってる」

発車のベルが鳴る。2人の手が離れていった

絶対迎えに行ってやるから待ってろ

佐玖伊は誓った



早苗「お待たせしました」

聡子「これでこの国は…いえ、世界はすべて」

聡子の笑い声は警笛に消された



つづく